心も体も整った! ごま油のマッサージ習慣 「オージャステーブル」主宰 鈴木恵美子さん
体はヘロヘロ、心もボロボロ……
産後の絶不調から救ってくれたのは
近所のスーパーで売っているごま油でした。
マッサージオイルにしているごま油は安価で万能。メイク落としや保湿などさまざまに活用。湯せんで人肌に温めると肌なじみがよい。
鈴木さんの一日は、ごま油とともにスタートします。どんなに忙しい日も、朝起きたら、頭、耳、足を、湯せんしたごま油でマッサージ。温かいオイルが毛穴からじんわり浸透すると、頭がスッキリ、視界はクリア、足にはしっかりと血がめぐり、良い形で一日が始められるのだそう。
「朝のマッサージから始まって、保湿も、メイク落としも、ごま油で全部事足りてしまいます」
そんな鈴木さんのごま油生活がスタートしたのは、息子の晄希くんを出産した5年前のこと。それまでの、夫との気ままな暮らしは一変。3時間ごとの授乳とおむつ替えなど、怒濤の日々の始まり。「母親」という肩書も、肩に重くのしかかりました。
「生まじめで猪突猛進型の私は、慣れない母親としての仕事を完璧にやろうと力んでしまって、体は疲労困憊しているのに眠れなくなってしまったんです」と振り返ります。
ずっとスイッチがオンのまま、自分をゆるめる方法がわからなくなってしまったという鈴木さん。以前から興味があった「アーユルヴェーダ」にヒントを求め、わらにもすがる思いでクリニックを訪れました。
「産後に発生しやすい生命エネルギーの乱れで、『ヴァータ』というエネルギー要素が極端に高くなっているという診断でした。そして、頭頂にごま油湿布をしなさいと言われたんです」
不思議な処方に戸惑いながらも、半信半疑でごま油をコットンに含ませ湿布のように頭に乗せたら……。
「その瞬間、信じられないことに、凝り固まった緊張感がじわーっとほぐれて、蓄積した睡眠欲が一気に噴き出し眠くなりました。あのときの衝撃は、今でも忘れられません」
その日を境に、ごま油の力を借りて力みをゆるめることで、徐々に元気になっていったという鈴木さん。そして、オイルの力をもっと知りたいと、乳飲み子を抱えながらアーユルヴェーダの学校へ。古代インドで癒しや治療に用いられてきたオイルの効能や使い方を勉強しました。
ごま油が皮膚から吸収されやすく、抗酸化作用も高い優れた油だということを知り、ごま油の3点マッサージが毎日の習慣になりました。
昨年、これまでの経験をシェアしたいと自身のブランド「オージャステーブル」を立ち上げ、夫婦で極上のグラスフェッドバターを精製したオイル「満月のGHEE(ギー)」や、滋養があり胃腸に負担のない豆粥が作れる「キチャリキット」を開発、商品化しました。
仕事も子育ても、いつも順風満帆というわけにはいかないけれど、調子が出ないときは、ごま油を温めて、静かに座って目をつぶればいい。鈴木さんが回り道してようやく獲得したゆるめるおへそは、驚くほど手軽で簡単でした。誰でも気軽にできる方法だからこそ、古代インドから現代まで伝えられ、たくさんの人を癒してきたのかもしれません。
ごま油で3点マッサージをする
ツボが集中する頭、耳、足に
「太白胡麻油」をもみこん
でほぐし、保湿し、滋養する。
適量のごま油を指につけ、指の腹で頭皮にすりこむように頭全体をマッサージ。頭がスッキリ、頭痛や目の疲れも改善し、夜は深く眠れるようになった。
(右)指で耳の付け根をはさんで、上下に動かしたり、耳の内側、裏側をもむ。耳に集中する神経系が整い穏やかな気持ちに。(左)足首、かかと、足の甲、指の間、足の裏まで、足全体をマッサージ。血行が良くなり、毒素が流れ、冷えが改善した。
使う前に加熱処理をする
(右)愛用しているのは「マルホン太白胡麻油」。(左)マッサージに使う場合はキュアリング(加熱処理)を。調理用温度計を入れた鍋で100℃に加熱。冷めたら清潔な容器で保存。なめらかになり抗酸化作用が高まる。
オンとオフを整える
◆ 朝
消化のいい朝ご飯を
朝イチに常温水を一杯飲み、鉄瓶で沸かした白湯で胃を温める。朝ご飯は栄養価が高く消化に負担のないムング豆のお粥を。自身でプロデュースしている、豆粥とスパイスがセットになった「キチャリキット」を愛用。良質なグラスフェッドバターを精製したオイル「満月のGHEE」をスプーン1杯とるのも毎朝の習慣。
◆ 夜
寝る前に20分瞑想する
「今日は怒りすぎちゃった……」「いい母親じゃなかったかも……」。母業をしていると、自分を責めがち。一日の終わりに静かに自分と向き合う時間をとり、「私は完璧、これでよし」と自己評価をポジティブに切り替える。
photo:枦木 功
Profile
鈴木恵美子
スパセラピスト、ヨガインストラクターなどを経て、カナダへ移住。結婚を機に帰国。2020年、「呼吸と消化」を軸にしたウェルネスブランド「オージャステーブル」を立ち上げる。アーユルヴェーダを取り入れた食体験イベント、商品開発を行う。夫と5歳の息子の3人暮らし。
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