【内田彩仍さんvol.5】心を潤してくれるものをいつも変わらず同じ場所に置いて
今週は内田彩仍さんの新刊『変えること変わらないこと』からおすすめコンテンツを毎日ご紹介しています。
幼い頃、長い休みのたびに遊びに行っていた祖父母の家。その家には一枚の絵画が飾ってあり、ふと見上げてそれを見るたび、「今年の休みも祖父母の家にいるんだな」と感じ、遊びに来た印のような存在でした。
そんな記憶があるからか、わが家にも絵画を飾りたいと思い、数年前、インテリアショップのボーコンセプトで、見た瞬間に心を奪われたコンクリートアートを迎え入れました。玄関に飾ったその絵画は、帰宅するたびに目に入るのでほっとするのか、私の心の拠り所のようになっています。
若い頃は、飾るものをあれこれ変えたり、新しいものを取り入れたりしないと、人が来た時に「代わり映えしないな」と思われてしまう気がして、そわそわしていました。でも今は、新たなものが並んでいるより、自分の心を潤してくれるものがいつもそこにあるのがいい。自分の好きなものを一番しっくりくる場所に、ずっと置いておきたい。そう思うようになりました。
近頃は、好きだと思うものを見つけたら、置き場所を決めてから手に入れるように。一目惚れした小さなアートは、階段を上がったところにある、リビングの入り口の壁に。大地を感じさせる絵画は、十五年以上前から育てているウンベラータの緑とともに眺めています。
ここに越してきた年に発売されたオイバ・トイッカがデザインしたイッタラの鳥のオブジェは、私たちの記念のために作られたように思えて、迷わず迎え入れたもの。思い入れがあるからか、リビングの棚に置かれた姿を眺めるたびに親しみを感じて、引っ越してきた時のことを思い出します。
もうひとつ大事な思い出が詰まっている鳥のオブジェがあります。それは、そらのお姉さん猫、クリムの健康を願って手に取った、ルリコマドリという名のオブジェ。リビング脇の小さな書斎の本棚に置いていて、こちらも目に入るたび、クリムとの幸せな日々を思い出し、ふふっと笑顔になるのです。
アートのある暮らしと言うと大袈裟ですが、目にするだけで、気持ちを豊かにしてくれたり、何かを懐かしく思い出したりするもの。そういった心安らぐ自分の好きなものを傍らに置いて眺めながら、日々の家時間を満喫するのもいいなと思うのです。
玄関に飾った絵画は、やさしく静かな雰囲気。すぐに飾りたくて、店に展示されていたものを購入しました。
色や形がヴィンテージのような佇まいのキャンドルホルダーはマリメッコのもの。ティーライトキャンドルを灯し、ダイニングキッチンの窓際に。
北欧家具店のネストで見つけた黒木周さんの作品。リビングのガラス扉越しに見る佇まいも好きです。
青、ベージュ、黒という私好みのカラーリングに心をつかまれました。棚のグレーともマッチして。
鳥のオブジェと同じくオイバ・トイッカがデザインした、カステヘルミのキャンドルホルダー。発表されたのが私の生まれた年で、同い年だと知って親近感が増しました。
ボーコンセプトで手に入れたキャンバス地の絵画は、軽いので壁にかけて。
photo:大森今日子
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Profile
内田彩仍
福岡県に夫と愛猫と暮らす。丁寧な暮らしぶり、センスある着こなしが雑誌などで人気を集める。主な著書に『いとおしむ暮らし』『家時間』『幸せな心持ち』『変えること変わらないこと』(主婦と生活社)などがある。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。