60代マダムのギンガムチェックのアイシャドウ【小さなヘアメイク相談室】

小さなヘアメイク相談室
2024.05.27

こんにちは、藤岡ちせです。40代まで東京やN.Y.でヘアメイクアーティストとして活動していましたが、50代で地元の高知にアトリエを開き、マンツーマンのヘアメイクレッスンを行っています。日々ここにやって来るのは、お肌の曲がり角を何度も曲がってきている女性たち。彼女たちのメイクのお悩みや自己流のお手入れは、これまでプロのモデルやタレントにメイクをしてきた私にとって、驚くことばかりです。この連載ではそんなお悩みの数々を、ちょっぴり辛口モードで解決していこうと思っています。



今日「小さなヘアメイク相談室」のメイクレッスンにやってきたのは、モノトーンのワンピースがよく似合う、60代と思われる上品なマダム。話し方はゆっくりと丁寧で、佇まいも慎ましやか。私とは真逆のタイプです。私もこのマダムのように落ち着いた話し方をしたいけれど、残念ながら、脳内の言葉を早めにアウトプットしないと、ニワトリに負けない速さで言いたいことを忘れてしまうお年頃です……。

メイクレッスンに来ていただく方にはいつも、セルフメイクをしてきてもらいます。メイク道具もご自身のものを持参してもらい、セルフメイクで使ったアイテムと順番、やり方などを詳しく伺います。そうすると、メイクの好みがわかりやすいし、使い方を間違っているところや、私がアドバイスすべきことが明確になるのです。

ひと通りお話を聞き、セルフメイクを細かいところまでチェックさせていただいたら、いよいよ恐怖のダメ出しタイム(!)に入ります。せっかく私のレッスンを受けにきていただいたのですから、容赦なくスッパスッパと斬ってまいります。いくらお上品なマダムとて、そこは遠慮なく。



というわけで、マダムのアイメイクを確認しようと目を閉じてもらったところ…… な、な、なんと! こんなにも完璧にお上品なマダムのアイメイクが、ギンガムチェック柄になっているではありませんか!

 



……ギンガムチェックとはどういうことなのか。

歳を重ねるとまぶたがたるみ、シワが増えてきます。縦にも横にも入ったそのシワの上からアイシャドウを塗ると、シワの陥没部分には色がつかず、その色むらがまるでギンガムチェックに見えるのです。上品なマダムが、これではいけません!(ちょっとギャップ萌えでしたが、笑)

ギンガムチェックを回避するには、まぶたをピーンと張ってアイシャドウを塗ることが、とてもとても大切! ピーンとね。

 

アイシャドウを塗るときは、まず片目を伏せるか閉じ、指先でまぶたの端を外側に引いて、皮膚をピーンと張ります。このとき、あごを少し上げると、自然と目を伏せた状態になるので張りやすいです。アイシャドウは一気につけるのではなく、まぶたを引っ張っている指を少しずつ移動させながら塗るのが、きれいに仕上げるコツです。

 

ただ、まぶたがかなりシワシワの方は、外側へ引くだけだと別のシワができてしまいます。その場合は、指を2本か3本使い(指先ではなく指全体を使ったほうがやりやすいかもしれません)、力が入り過ぎないように注意しながら縦と横の両方に引っぱると、まぶた全体がフラットになります。ちなみにリップも同じように、ニッとしたりワーの口をしたりして唇をピーンと張ってから塗るといいですよ。



また、アイラインがまるで切り取り線のように、とぎれとぎれになっている方もよく見かけますが、これも同じ方法で解決できます。アイシャドウと同様、あごを上げ、眉を上げ、指でまぶたをピーンと張ってから塗るようにしてください。こちらも一気に塗らずに、少しずつアイライナーを移動させながら塗り進めます。さらに力加減にも注意。力をかけすぎるとアイライナーやブラシが皮膚に引っかかってスムーズに塗れないので、軽く当てるようにしてラインを引くようにしましょうね。

万が一、ギンガムチェックや切り取り線になってしまったときは、同じくまぶたをピーンと張って、指の腹でやさ~しくなぞって馴染ませれば修正できます。やさ~しくやさ~しく、ですよ。


 

マダムにもこの説明をさせていただき、実際にご自身でやってみてもらいました。

「あごを上げるというのは思いつかなかったわ。あら、ほんとキレイにのせられる! この場合は両手を使うから手鏡じゃできないわね」とナイスなコメント。

そうなんです! こういうメイクは手鏡を持ちながらではできないのです。メイクは両手を使うことが多いので、手鏡だけでなく別の鏡も必要。ヘアメイクにとって鏡はめちゃくちゃ重要で、できれば種類別に3つ用意していただきたいのです。

……って、これも説明すると夜が明けるので、続きはまた次回に。とにかく、まぶたはピーンと張ってメイクをしましょう! ピーンとね。

 

illustration:大賀美穂
photo:藤岡ちせ

 

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Profile

藤岡ちせ

Chise Fujioka

ヘア&メイクアップアーティスト。テレビ、CM、広告、雑誌、ミュージックビデオを中心に活躍し、1998年から3年間、ニューヨークでも活動。美への探求心からハワイのボディトリートメントロミロミとフェイシャルを学び、自宅サロンを開くなど活動の分野を広げる。東京、鎌倉と移り住み、2019年に故郷の高知へ。住宅街の一角に、ヘアメイク、写真、オーガニックコスメなどを楽しめるアトリエ「APARTMENT102.」をオープン。
https://www.apartment102.net/
Instagram:@apartment_102_

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