多肉植物とともに暮らす最高の方法とは? 「TOKIIRO」近藤義展さんに聞いてみました【後編】

『多肉植物と暮らす 未来につながる植物生活』
2024.06.25

5月31日に6冊目の書籍となる『多肉植物と暮らす 未来につながる植物生活』を出版したばかりの「TOKIIRO(トキイロ)」近藤義展さんは、多肉植物と暮らし始めて16年。今では「多肉植物は人生のパートナー」というほど多肉植物に精通し、東京蚤の市には連続10年以上出店していて “お馴染みの顔” になっています。
また、ヨーロッパの古き良き家を思わせるオリジナルの家形ポットや、有名陶芸家が作った鉢に寄せ植えするなど、魅惑的な多肉植物の世界へ誘う寄せ植えは、多くのファンを虜にしています。そんなTOKIIROさんにお話を伺いました。



←前編はこちらから

多肉植物の夜活
光合成と体温調節


タイトル「多肉のある街」
中世ヨーロッパの、石畳のある街をイメージした鉢に。(鉢、中山典子さん作)

 

「夏の熱帯夜のときは、部屋に入れて扇風機の風を当てて」とお話しましたが、これは特別な処置だと言うこと、忘れないでください。基本は、多肉植物は外で育ててほしいので。

ただ、夜風を当てることは、多肉植物が長生きするために大切な行為だと思っています。多肉植物は、夜気温が極端に下がり、風のある地域で育ってきたものが多いです。そのとき、体内で何が起きているかと言うと…‥

光合成と体温調節。

日中は強い太陽に当たって、体内温度はかなり高くなってしまいます。また、そんなに暑い中で光合成をする口(気孔)を開けておくと、体内の水分がどんどん蒸発してしまうので、閉じて蒸発を防ぎ、体内の潤いをキープしようとしています。

その分、ぐんと気温が下がった夜に気孔を開けて、思いっきり二酸化炭素を体内に取り込み、酸素や水分を放出します。そのとき、実は体温調節もしていて、体内にこもった熱も放出して、体温を下げているんです。

この状況を日本の熱帯夜でも作りたくて、「夜のみ風を当てて」と特別な方法をお伝えしました。

 


 

寄せ植えは、そこからスタート

「家に連れて帰ったけど、数日でかわいくなくなった」のは徒長の場合もありますが、最も大事なことをお忘れなのでは? 多肉植物は生き物です!

家に連れて帰った日から、その家で成長していきます。家の環境になじみ、その環境で育とうという真摯な思いで成長を続けていきます。

その思い、しっかり受け止めてあげてください。「かわいくなくなった」ではかわいそうです。

わが家でどのように育っていくか、毎日見て、愛情を注いでください。そうすると、買ったときより、どんどんかわいくなっていくはずです。


「自分だけの小さな庭」を描くように。僕の場合は、子どもの頃に遊んだ場所をイメージして作ることが多い。これからどう育っていくでしょう


キク科の多肉植物、ルビーネックレスの花


花のある多肉植物を寄せ植えしてみた

 


 

多肉植物はサステナブル

それでも「ちょっと形が微妙になったなー」と思うときもあります。そのときは、剪定してみてください。散髪ですね。多肉植物の形を整えてあげるのです。

大事なのはその後です。

切り落とした部分は、土の上に置いてください。しばらくすると根を生やし、新たな株になって成長していきます。多肉植物は、再生可能な植物なのです。地球にやさしい植物でしょう?


土に置いておくだけで、根が出てくる

 

 

photo:砺波周平

Profile

「TOKIIRO」主宰・近藤義展

Yoshinobu Kondo

1969年新潟県糸魚川市出身。東京薬科大学中退。植物空間デザイナー。自分の生きる目的を模索する中で2008年、故・柳生真吾さんの多肉植物の創作に出会う。2009年、器(空間)に絵を描くように生きた多肉植物の世界を創造する季色(トキイロ)をスタート。よりグローバルな活動のため、屋号を漢字からローマ字のTOKIIROに変更し、現在、全国各地でのイベントやワークショップを積極的に実施。柳生さんの教えを胸に、地球ベースでの多肉植物の生きる世界を伝えている。著書に『多肉植物生活のすすめ』(主婦と生活社)、『ときめく多肉植物図鑑』(山と渓谷社)などがあり、中国語、韓国、英語に翻訳されている。NHK趣味の園芸講師、日本園芸協会講師も務める。
ホームページ:tokiiro.com

 

多肉植物と暮らす 未来につながる植物生活

発売日:2024年05月31日
定価:1,600円+税

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ