60代でスキンケアの再出発!「美肌のための3つの掟」をお伝えします(前編)【小さなヘアメイク相談室】

小さなヘアメイク相談室
2024.10.18


こんにちは、藤岡ちせです。40代まで東京やN.Y.でヘアメイクアーティストとして活動していましたが、50代で地元の高知にアトリエを開き、マンツーマンのヘアメイクレッスンを行っています。この連載では、お肌の曲がり角を何度も曲がってきた方々にはきっと、お役に立つであろうお話をしていけたらと思っています!


 

さて、先日アトリエのメイクレッスンにやってきたのは、ボーダーシャツにデニム、スニーカーというシンプルな着こなしで、少しふっくらとした体型の60代の奥様。3人の子育てを終えたばかりで、これまで出来なかったことを片っ端からやってみようと、メイクレッスンに来てくれたのです。

子どもを3人も育て上げるって相当大変ですよね。私なんて育てた経験っていったら動物(現在、犬1匹と猫2匹と同居中)と植物しかなくて、喋る人間を育て上げるなんて心の底から尊敬します。そんな尊い奥様のメイクレッスン。ではでは、始めてまいります。まずは、お顔の状態をチェックしまーす。

……。

そ、そうですよね、そりゃそうですよね、肌のためにかける時間なんてなかったですよね。わかります、わかりますよ、大変だったのはわかりますよ。

毎日すっぴんで日焼け対策もしていなかったそうで、小さなシミがほっぺにたくさん広がり、毛穴は角栓が飛び出しザラザラ。その上、酸化して黒ずみ、お鼻はいちごちゃん。もちろん肌は大干ばつ。大変だー、こりゃ大変だー! 奥様、まずは肌を整えなきゃ!

ちなみに肌のお手入れが不十分な人ほど、ファンデーションが厚塗りになりがちですが、乾燥してシワっぽかったり、毛穴が広がってオレンジスキンやいちご鼻になっていたりする肌は、メイクは秒で崩れるし、ファンデーションの厚みの分、シワがマリアナ海溝くらい深くなり、すっぴんより老けて見えます。ファンデーションで隠してきれいに見せたいはずなのに、逆効果になってしまうのです。

そういう人はメイクの前に、まず肌をきちんと整えることが大事。「美肌のための3つの掟」をご紹介しますので、肌の表面がぼこぼこざらざらのオレンジスキンから、つるつるなリンゴ肌を目指しましょう。


01
クレンジング
(汚れをしっかり取る)


まずは、見事に開いた毛穴にぎゅう~と詰まった角栓と古い角質を、きれいに取り除く必要があります。それには日々の正しいクレンジングと、週に2、3回のスペシャルケアが必要です。

クレンジングを選ぶときに基準にして欲しいのが、「汚れを優しく落としつつ保湿効果もある、ダブル洗顔不要」のもの。今どきのクレンジングはスーパー優秀で、汚れを落とすだけではなく保湿もしてくれます。メイクをしていなくても、朝晩クレンジングで洗うほうが肌を整えてくれるものが多いのです。

「ダブル洗顔不要」のものをおすすめするのは、とにかく肌への摩擦を最小限にしたいから。顔の皮膚は他と比べてとっても薄いのに、毎朝毎晩、洗顔でクルクル、タオルでゴシゴシ(ゴワゴワのタオルやめて~)、ブラシやスポンジを使ってメイクし(硬いメイクブラシはやめて~)、花粉症のシーズンは目をこすって鼻をかむ……と、様々な摩擦にさらされています。

そういった摩擦は、色素沈着やくすみの原因になってしまうので要注意。肌に触るときはとにかくやさしく! 絶対にこすらないこと! やさしく、そしてこすらない!(2回言う)

ちなみに、私のアトリエに来るお客様で「メイクしなかった日は石鹸で洗顔する」という人は未だに多いです。確かに私も昔はとにかくキュッキュとするほうがいいに決まっていると信じて、何度も洗い、さらにはクルクル回転する恐ろしい電動洗顔ブラシまで投入していました……。

石鹸にもよりますが、洗浄力の強い石鹸で洗うと、肌に必要な成分まで取り過ぎて肌のバリア機能が低下。紫外線、大気汚染、花粉などを防ぐことができず、肌荒れと肌老化を引き起こしてしまうのです。これからは「毎日の洗顔には優秀なクレンジングを選ぶ」と覚えてくださいね。

 


 

そしてもうひとつ大事なのが、週2、3回のスペシャルケア。これで毛穴の角栓と古い角質を取り除きます。毛穴がすっきりすると、化粧水やクリームの吸収が数倍よくなるという特典もついてきますよ。

私のおすすめはクレイパックです。泥のパックですね。肌に負担をかけずに余分な汚れを吸着して古い角質を除去、しかも美肌効果があるミネラルも補給してくれる優れもの。あ、クレイパックは洗い流すタイプを選んでくださいね。ひっぺはがすのは肌に負担になるので絶対NGです。

そしてもうひとつの注意点。それは、パックする時間を厳守すること! 各メーカーの指示に従うべし! 汚れをいっぱい吸着してくれそうだからって、パリパリに乾くまでつけていると水分が奪われて逆効果になってしまいます。パックの表面がうっすら乾いてきたら、洗い流しましょう。パックしているのを忘れて寝落ちするのは絶対ダメです!(経験者)

敏感肌の人は、顔全体ではなく気になる部分だけをパックするなど、肌に負担がかからないよう工夫してみてください。このスペシャルケアをしたあとは、ザラつきがなくなってツルンとするのでメイクのりがよくなるし、くすみも取れて透明感と艶が出ますよ~。


02
保湿が大切


みなさん、三度の飯より保湿です! ……ウソです、三度の飯のほうが大切ですが、三度の飯くらい保湿を大切にしてください。保湿は大体の悩みを解決してくれます。

保湿されている肌は、

・艶が出る
・シミが目立たない
・毛穴が締まる
・くすみがとれる
・瑞々しい透明感が出る
・シワの溝が浅くなる
・メイクのりがよく長時間キープできる
・過剰な皮脂を抑えられる

などなど、いいことオンパレードなのです! 保湿の方法はいろいろありますが、一番簡単なのは化粧水の重ねづけ。適量を顔からデコルテまで(首も忘れずに)たっぷりつけ、吸収されて表面が乾いたらまた適量をつける……を、肌がふっくらするまで続けます。数分後に肌にそっと触れてみると、しっかり保湿されていることを実感できますよ。

その他、シートマスクも手軽でおすすめです。そして、ここでも注意点が。クレイパックと同様、シートマスクも時間厳守! メーカーの指定時間以上肌にのせていると、逆効果になってしまいます。たとえシートマスクが潤いに満ちていても、潔く顔から外しましょう。シートに残っている美容成分は、ボディに塗り広げると贅沢な気分を味わえますよ。

重ねづけやシートマスクをしても、しっかり保湿された感覚にならない人は、より保湿力の高い化粧水に変えるか、ブースター(導入美容液)や保湿美容液を投入するといいかもしれません。


 

といっても、保湿がきちんとできているかどうかわからない、そもそも肌がいい状態なのか悪い状態なのかわからない、という人もいらっしゃるかと思います。そこでご提案したいのが「お肌の観察日記」をつけること。ずっと無関心だった自分の肌に、きちんと意識を向けることから始めてみましょう。

特に老眼が進むと、小ジワが増えたとか、くすんできたとか、毛穴がパックリ開いてきたとか、そういった肌の変化に気づきにくいもの(ある意味、神様からのギフトですね、笑)。60代のターンオーバーは平均100日周期なので、最低3か月間は観察したいところです。記録する項目はコチラ。

 



「お肌の観察日記」


①朝の肌の状態
肌の状態の良し悪しがわかりやすい朝、洗顔するときとメイクのときに肌をチェック。1~5の5段階評価で記録します。

②スキンケア方法
普段通りなら「基本」、スペシャルケアをしたら「基本+クレイパック」などと記録します。

③食事の内容
肌は、食べたものの影響が反映されやすいもの。例えば吹き出物ができたら、前の晩に食べたポテチやチョコの祟りだとわかります。逆にプルプルの日はコラーゲンたっぷりの鶏鍋のおかげ。①と③を見ると「これを食べたら、肌がこうなる」が把握できるので、日々の食生活の改善にもつながります。記録するのが面倒なら、スマホで写真を撮る方法でもOK。朝、昼、晩、おやつ、夜食、すべて書き出してみてください。

④排泄の有無
⑤運動の内容と量
⑥睡眠時間と質
きちんと出してデトックスするのは、肌にとってすごく大事! また、体を動かして汗をかくことは、毛穴の掃除と代謝UPのために不可欠です。 質のいい睡眠は成長ホルモンをより多く分泌し、美肌をつくります。

⑦肌の変化
吹き出物ができた、毛穴が目立たなくなったなどを記録します。

⑧その他
サウナに行った、花粉がひどかった、酔っ払って顔を洗わずに寝たなど、いいことも悪いことも記録しておきましょう。

~sample~


……と、このように「お肌の観察日記」を毎日記録することで、肌の調子がいいときの行動と、悪いときの行動がわかるので、肌荒れしたときの原因を推測しやすくなるし、すぐに軌道修正できるようになるというわけです。

美肌のためには、正直スキンケアよりも食事や運動、睡眠といった生活習慣のほうが大きく影響します。肌荒れしてきたら、コスメに頼る前に「お肌の観察日記」の③~⑥をしっかり振り返り、普段の生活を見直すことをおすすめします。

 

さて、続きは明日の【後編】で! しっかり美肌に整えていきますよ~。

 

illustration:大賀美穂
photo:藤岡ちせ
撮影協力:戸梶建設

 

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Profile

藤岡ちせ

Chise Fujioka

ヘア&メイクアップアーティスト。テレビ、CM、広告、雑誌、ミュージックビデオを中心に活躍し、1998年から3年間、ニューヨークでも活動。美への探求心からハワイのボディトリートメントロミロミとフェイシャルを学び、自宅サロンを開くなど活動の分野を広げる。東京、鎌倉と移り住み、2019年に故郷の高知へ。住宅街の一角に、ヘアメイク、写真、オーガニックコスメなどを楽しめるアトリエ「APARTMENT102.」をオープン。
https://www.apartment102.net/
Instagram:@apartment_102_

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