ワタナベマキさん 近頃始めた10のこと【前編】

ワタナベマキさん 近頃の話
2024.10.29

料理家としてテレビや雑誌の撮影をこなしつつ、家族のためにおいしいごはんを作り、日々暮らす部屋をきれいに整える。休みなく、毎日くるくると立ち回るワタナベマキさんですが、実はどっこい、スーパーウーマンなんかじゃありません。失敗や後悔は山ほど。凹むこともあるし、代わりに新たなアイデアやアイテムを見つけてウキッとすることも……。そんなワタナベさんの「近頃」をお届けする不定期連載。ゆるゆるっとお伝えしていきたいと思いまーす。

 


 

01
和えるだけでおいしい!
醤ブランド
「Wa&_」を始めました


50代を目前にして、新たなチャレンジをしたくなっているというワタナベマキさん。そんな大きなチャレンジのひとつが、醬(ジャン)のブランド「Wa&_(ワンダー)」の立ち上げです。


醬は、中華料理や韓国料理で古くから親しまれてきた旨みたっぷりの発酵調味料。以前、イベントなどでオリジナルの醬を販売したところ、「おうちで、ワタナベマキさんの味が楽しめる!」と大好評でした。そんな声に後押しされるように、さらには旧知の仕事仲間が繋いでくれた縁も重なり、気づけば「Wa&_」のプロジェクトが走り出していました。



「何より、信頼できる工場と出会えたのが大きかったですね。最優先したのは、工場で大量に作るびん詰めの醬でも、私がいつも作っている味をきちんと再現すること。これが、想像以上に難しかった(笑)! 同じレシピで作っても、ちょっとした火の入れ加減などで味が変わってしまうんです。でも味に妥協はできないから、これは試行錯誤するしかなくて。何度も工場とやり取りをして、ようやく納得いく味に仕上がったときの達成感といったら!」


現在、販売しているのは「じゃことアーモンドの醬」「梅ヤンニョム」の2種類。「ディーン&デルーカ」の大型店や公式オンラインストアなどで購入できる。


「できるだけ、自分のキッチンで作った味わいを再現したいから」と、原材料にはこだわって。「じゃことアーモンドの醬」は、岡山県牛窓町で水揚げされる「服部水産」の天然のちりめんじゃこを、「梅ヤンニョム」は、自身が手作りしているものに近いと感じた、軽井沢の「沢屋」の国産梅ジャムを使用。ともに使った本みりんは、いつも愛用している「福光屋」のもの。


こだわるとなったら、徹底的に。原料は一部香辛料を除いて可能な限り国産を使うことで、生産者を応援する仕組みづくりを。包装紙とゴムを使ったパッケージも、機械ではできない包装だったので、最初は自分たちで包んでいました。そんな中、工場近くにある障害者の方々が通う事業所から『手作業で請け負えます』という連絡があり、お願いできることに。
「地元の雇用にも、少しだけ協力できることもうれしくて」


手にした途端、ワクワクするパッケージも魅力。包装紙のグラフィックはイラストレーター・網中いづるさんによるもの、パッケージデザインはデザイナー・渡部浩美さんが担当。

「Wa&_」(ワンダー)の名の由来は、「日々の食卓に、小さなワンダー(驚き)を」。そして、じゃこや梅などの繊細な“和”のテイストがともにあること。もしかしたら、“和える”という意味も込められているかも(きっと、ワタナベマキさんの“ワ”も⁉︎)。さらには、作る人、食べる人、関わるみんなを和やかに繋いだ“和”、そんな意味も加わっているのかもしれません。


具材を用意したら、あとは醬と和えるだけ。野菜だけでなく、肉や魚、豆腐、麺、おにぎりなどなどメニューは無限大。



好みで、ごま油をプラスしても。こちらの香り高いごま油は、旅先の韓国で入手したもの。


「じゃことアーモンドの醬」はゆでたれんこん、千切りじゃがいもに。「梅ヤンニョム」は切り干し大根、トマトに。同じ醬でも、和える素材で味わいが変わるのが楽しい。

 


02
日々の体調管理は
漢方で

ハードな撮影続きでも、いつも誰より元気。朝には強く、目覚めスッキリ!……だったはずが、さすがに近頃は、疲れを引きずりがちになったというワタナベさん。ですが、それすら前向きに変換!
「最近、学習意欲がわいていまして。体のことを知ろうと、中医学や漢方の勉強を始めています」

そう深刻ではないとはいえ、近頃の健康診断で少々気になってきた腎臓の値。お医者さんに質問すると、それはどうやら疲れから出てきている様子。処方された薬を飲んだところ貧血気味になってしまい、「どうしたものか」とモヤモヤしていたところ、“漢方”の存在に思い至ったというわけです。

「体調を劇的に改善したいわけではなくて、内側から少しずつ、穏やかに整えたいと思っていて。そのほうが、きっと根本的な解決になるんじゃないかと思ったんです」


健康のすべてにつながっているともいわれている“腎”をいたわるために飲み始めた漢方。婦人科系に効能があるとされる「婦宝当帰膠」をお湯で割って飲むのが日課に。

苦いイメージのある漢方ですが、ワタナベさんにとっては「けっこう好きな味」。日々飲んでいるうちに、「この成分と効能の関係をもっと知りたい」と、好奇心がむくむくとわいてきたというわけです。

「これまでも知識としては、“しょうがは体を温める”などと知ってはいたけれど、それをもっと、理論的に知りたくなりました。中医学を学ぶことで、食材の組み合わせや、季節によってとるべき食材に関しても、より説得力を持ってみなさんにおすすめすることができると思うんです。私自身の食も、仕事としての料理への理解も深まりそうで楽しみですね」

 



03
腰の不調のために
中国整体へ

漢方に親しみ始めたことから、自然と目が向いたのが中国整体。料理家は基本、立ち仕事。慢性的な腰の重さは仕方ないことと半ばあきらめもあり、「骨盤もきっと相当ゆがんでいるだろうな」とうっすら不安も抱えていました。

「中国整体は、マッサージというよりストレッチに近い感じ。おなかをぐいぐい押されたりもして、けっこうダイナミックな施術なんですよ。インナーマッスルを鍛える施術もプラスしてもらっていて、腰の痛みがだいぶ楽になりました。これまで旅行というと、仕事から離れてリラックスする意味合いが強かったんですが、“中国への学びの旅”も、ぜひ実現させたいです」



04
キヨミズ買いした
ローファー

実は、靴好き。洋服に比べて、“キヨミズ買い”の確率も高いそう。上質な靴のいいところは、手入れさえしっかりすれば、長く愛用できること。20代でキヨミズ買いした靴たちも、未だ現役だったりします。


さて、近頃仲間入りしたのが、こちらの「J.M.ウェストン」のローファー。5.5cmほどの安定感のあるヒールと柔らかなレザーで、履き心地抜群です。

「いいものって、つい『特別なときのために』と大切にしすぎてしまいます。今は、それをやめようと意識しているんです。せっかく手に入れたものは使ってこそ意味がある! とようやく気づいて、実践できるようになってきました。仕事柄、器だとそれが自然にできるのに、ファッションに関しては今ひとつ踏み切れていなかったんですよね」

例えばヘトヘトに疲れているのに、翌日の撮影用の買い出しに出かけなくてはならない日。とっておきのローファーを履いていくと、不思議と背筋も伸びて、気分よく買い物ができる気がします。もしヨレヨレのサンダルばきで出かけたら、疲れはいっそう溜まるように感じてしまいそう……。なんでもない普通の日にこそ、とっておきの靴を。日常をちょっと上向かせてくれる、おまじないのようなものかもしれません。

 



05
推し活、続けてます


韓国の俳優さんの推し活を始めて数年。アイドル感覚で熱狂的に推していた時期、推しの出演する作品をじっくり味わい、静かに推すと決めていた時期。そんな変遷を経て、今のワタナベさんはというと……
「自分の中で1位と2位が入れ替わったりしつつ、相変わらず、推し活は続けています。現在の第1位は、キム・スヒョン!」

この夏は、日本で開催された彼のファンミーティングにも参加。すると、プログラム内のクイズコーナーで元気に挙手をしている姿が会場の大画面に映り、さらにその様子が某テレビ番組でも放映されて……
「それを観たインスタグラムのフォロワーの方から『楽しそうでしたね』とDMをいただいて。さすがにちょっと、恥ずかしかったです(笑)」

 

明日は【後編】をお届けします。お楽しみに!

 

text:福山雅美

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Profile

ワタナベマキ

Maki Watanabe

グラフィックデザイナーを経て、「サルビア給食室」として料理家の活動をスタート。独立後は、雑誌やテレビなど活躍の場を広げ、レシピ本も多数出版。自ら立ち上げた醤ブランド「Wa&_(ワンダー)」の調味料も人気。

instagram
@maki_watanabe
@wanderfoodstore

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