【ちいさなおへそ】編集ディレクター・一田がリポート! 福井の作り手とつながるイベント「RENEW(リニュー)」の楽しみ方
好評発売中の「暮らしのおへそ Vol.39」より抜粋してお届けします
この工房で繰り返されてきた
小さな営みに想いをはせて。
漆器、包丁、和紙に眼鏡などの工房が並ぶ福井県越前・鯖江。このエリア一帯が会場となるもの作りのイベント「RENEW(リニュー)」へ行ってきました。
どこへ行くか迷ったら案内所へ。「まずはガイドブックとマップをもらって、おすすめのルートをスタッフに聞いてみました」と一田。
工房が開放される
特別な3日間。
もの作りの歴史と
暮らしに触れて
まだまだ知らないことが
いっぱい! と知りました
のどかな田園風景のなかに手仕事の工房が点在する福井県越前・鯖江。11月になるとポップなのぼりが立ち、静かな街が活気あふれるイベント会場に早変わりします。このエリアでコツコツと営まれてきた質の高いもの作りを、もっと広く知ってもらおうと、10年前にスタートしたのが「RENEW」です。漆器、和紙、打刃物、焼き物、箪笥……。伝統工芸品の工房や眼鏡、繊維など地場産業の工場が半径10キロ圏内に集まっている越前・鯖江エリア。イベント開催の3日間は、工房や工場が一般開放されます。作り手とふれ合い、もの作りの工程を体験したあとに、実際に買い物ができるのも楽しいところ。後継者不足などの課題を抱える産地に、小さなイベントの種が蒔かれて10年。参加者も年々増え、今や国内最大級のファクトリーイベントに成長しました。
そんな「RENEW」に注目していた一田が向かったのは「辻田漆店」。「漆店と聞き、てっきりお椀屋さんかと思ったら、漆器に塗る『漆』を作る工房でした。あちこちから集めた漆を精製し、お椀やお盆など作るものに合わせてブレンドする専門家がいるんですね。先代から工房を受け継いだ辻田さんの覚悟もすごい! この地に生きてきた人の営みをリアルに見せていただいた気がしました」
その後も素敵な漆器を買ったり、鯖江の眼鏡店で老眼鏡を試したり、福井産尽くしのディナーを堪能し、食からも新しい福井を発見。
「RENEW」とは更新するという意味。既に知っていると思っていたことが、新鮮な驚きとともにストンと心に落ちてくる。そんな体験ができるのが「RENEW」の醍醐味なのかもしれません。
イベント期間中は「RENEW タクシー」が登場。オンラインで事前にライドチケットを購入すると、エリア内なら1 回一律1,000円でタクシーを利用できる。
◆知る、体験する
「辻田漆店」
江戸時代から続く「辻田漆店」の工房見学へ。5代目辻田哲夫社長がにっこりとお出迎え。採れたての生の漆を見せてもらったり、古くからこの地域に暮らしていた漆かき職人のこと、漆づくりの苦労などを聞きしみじみ。
◆見学する
「土直(つちなお)漆器」
鯖江の漆専門店「土直漆器」の工房では、熟練の職人さんが下地から上塗り、蒔絵までを黙々と行う様子を見ることができる。この日は、色漆を使ったグラデーション箸のワークショップも。
◆食べる
「FOOD&CRAFT RESTAURANT」
特別企画のレストランは、福井産食材と福井の工芸品で仕立てたテーブルウェアでおもてなし。漆塗りの箸に和紙の箸袋、ナプキンホルダーは眼鏡フレーム! 若狭牛のローストを越前打刃物のナイフで。
◆買う
「paper glass」
眼鏡の工房がひしめく神明エリアの眼鏡店「ペーパーグラス」。高品質でコンパクトなリーディンググラスが揃う。
「SAVA ! STORE」
福井県産のプロダクトを集めたショップ。モダンな工芸品やおいしいもの、アクセサリーなど、お土産探しも楽しい。
「土直漆器」
工房の隣にある「土直漆器」のショップ。漆椀、漆の水筒やタンブラーなども。産地ならではのお買い得コーナーも。
photo:黒川ひろみ
『暮らしのおへそ Vol.39』より
2024年11月で10年目を迎えた福井県発の町おこしイベント。もの作りが盛んな福井県越前・鯖江エリアに集まる伝統工芸の工房や地場産業の工場が一般開放される。もの作りの現場を見学したり、ワークショップで実際に体験できる楽しさも魅力。
https://renew-fukui.com/
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