【サステナブル特集】須藤玲子さん「長く着るために服は自宅で手洗いしています」
今週は5日連続で「服にまつわるサステナブル」を特集しています。お気に入りの服を長~く大事に着続けることも、自分が着なくなった服をリユースやリサイクルで循環させることも、持続可能な未来への第一歩。この機会に皆さんも、長年手つかずのクロゼットを見直してみませんか?
「NUNO」代表・須藤玲子さん
思い入れのある服を長く着たければ、すべて自宅で手洗いすることです。
シルクのブラウスもカシミヤのコートも全部自宅で洗えるんですよ
「ローブ ド シャンブル コム・デ・ギャルソン」のウール×レーヨンのワンピースは80年代のもの。
「好きなものをできるだけ長く、最後の最後まで使いたい」という思いから、須藤さんは日々の手入れを欠かしません。帰宅後はどんな服にもブラシをかけ、頻繁に洗濯しない服は裏返して陰干しを。コットンやリネンはもちろん、汚れが気になったらシルクシャツやカシミヤコートも自分で手洗いしています。
「30年ほど前、クリーニング店を見学したときに手洗いしているのを見て始めました。たっぷりの泡で洗うのと、濡れた状態でアイロンをかけるのがコツ。カシミヤも自分で洗うとフカフカで本当に気持ちがいい。一枚洗うのに5分もかからないし、楽しいですよ」
そうして手をかけた服は、どれも20年、30年と長いつきあいのものばかり。くたくたになったら端ぎれにして使い切ります。
「手放せる人は潔いですよね。私はしつこいんだと思います(笑)。息子の妻やスタッフなど、欲しいという人に譲ることもありますが、好きなものはなかなか手放せません」
自身が営む「NUNO」でも端ぎれを新しい布に仕立てる「つぎはぎ」シリーズを考案するなど、再利用を積極的に行っています。
「私が生まれ育った小さな町には紺屋(染物屋)さんがあって、祖母がよく利用していました。その姿を見ていたので、古くなったり、シミがついたら染め直して使うというのが当たり前だと思っていて。その当時は暮らしの中で布がすごく大切に扱われていて、そういう時代を生きたというのはありますよね」
手にした服を愛し、服が命をまっとうするまでとことんつきあう。その姿勢は手放すこと以上に、須藤さんらしく潔く見えました。
たっぷりと泡立つ洗剤を使って
洗剤は、一昨年から使い始めた「無印良品」の「おしゃれ着用洗剤」(中性)と「衣類用洗剤」(弱アルカリ性)がお気に入り。濃縮タイプで少量で泡立ちがいいのが特徴です。
「生地を傷めないよう、たっぷりとした泡で汚れを落とすことが大切です。洗剤が少量ですむので、5分ほどですすぎまで完了します」
麻や綿などのセルロース繊維は弱アルカリ性の洗剤、ウールやシルクなど動物性繊維は中性のおしゃれ着用を使用します。このほかデリケートなレーヨンはおしゃれ着用で。
カシミヤのコートもトレンチコートも手洗い
コートを手洗いするときは、作業がしやすいキッチンのシンクを使用。表に汚れがある場合は洗剤をつけてブラシでたたいておき、裏返して全部ボタンを留めたらスタート。
「シンクに水をためたら洗剤を入れてよく泡立てて、たたんだまま押し洗いします。水を流しながら泡がなくなるまでしっかりすすぎ、20秒ほど脱水。水気をよくきってから、裏側にしたままアイロンをかけます。ポケットや襟は薄い当て布をしてからかけて」
形を整えたら、肩の部分をタオルでくるんだハンガーにかけ、室内の風通しのいい日陰に干して乾かします。こうすると、乾きやすく形も崩れません。
『服を上手に手放すと、おしゃれはもっとラクになる』より
photo:和田直美 text:増田綾子
Profile
須藤玲子
1953年生まれ。株式会社布代表。日本の伝統的な染織技術から現代の先端技術までを駆使して新しいテキスタイルづくりを行い、国内外で高い評価を得ている。ニューヨーク近代美術館をはじめ、世界の名だたるミュージアムに作品が所蔵されている。https://www.nuno.com
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。