60代になったら髪型とヘアケアを変えてみましょう 【後編】

小さなヘアメイク相談室
2025.10.20



【前編】では、ヘアケアの見直しについてご紹介しましたが、【後編】では、薄毛対策と髪型の見直しについてお伝えしたいと思います。

 



薄毛対策
3つのトライアル

①プロの力を借りる
育毛促進専門のヘアサロンや、女性の薄毛治療を専門にしているクリニックも増えているので、一度プロに相談してみるのも手です。アトリエのお客様にも実際に通っている方がいらっしゃいますが、見事に発毛していてびっくりです。最新のテクノロジーってすごいですね!

②育毛剤を使う
これもかなり進化しているので、一度試してみる価値はありそうです。自分に合ったものを選ぶには、①でご紹介した専門家や、担当の美容師さんに相談するのがおすすめです。

③ハーフウィッグを使う
昨今、ウィッグのクオリティーも高くなってきていて、見た目がとてもナチュラル。トップを覆うハーフウィッグのタイプは、一見つけているかどうかわからないものが多いです。トップのボリュームをアップさせるために使ったり、白髪が伸びて分け目が気になってきたら、次回のヘアカラーまでの応急処置として使ったりと、普段から活用している方も増えてきているので、一度試着してみるといいかもしれません。

ちなみに、余談ですが、うちの父は若ハゲで30代からバーコード。同居していた父の母(私の祖母)も、頭頂部が薄いのにロン毛なので西遊記の沙悟浄みたいで、子供の頃はそんな妖怪ハウスに友達を呼ぶのが嫌でした(子供って辛辣よね)。
そんな薄毛DNAを引き継ぐ恐怖におびえた私の兄は、何かを期待し備えようと思ったのかわかりませんが、大人になって理容師になりました。若い頃から育毛に熱心に取り組み、マメに根気よく様々なことを試した結果、61歳の現在もまだ毛はあります。兄の頭を見るたびに、頭皮や髪のケアって大事なんだなあと思い知らされる今日この頃です。

 



60代に似合うのは
ずばりショートヘア!


お次はいよいよ髪型の見直しです。今回、アトリエに来てくれたご婦人は、あごのあたりにボリュームポイントがあるボブスタイル。縦長の三角形シルエットで重心が下にあるので、顔も下がって見えています。トップが貧弱なぶん、分け目の白髪も目立ってしまっています。

そこで今回、ショートヘアにチェンジすることをおすすめしてみました(アトリエでは紹介制でカットも行っているんです)。

ショートヘアなら傷んだ部分もだいぶ切れますし、髪の重さ自体が軽くなるので、トップがぺたんこになるのを軽減できます。ボリュームポイントを上げることで顔も上がって見え、頭全体が小さく見えるので小顔効果も。さらに全身のスタイルもよく見えるんです。

分け目のないヘアスタイルにすると、トップにボリュームが出るだけでなく、白髪が伸びてきても今ほど気にならなくなり、お悩みだという前髪の薄さもカバーできます。軽くてボリュームが出るし、普段の手入れもしやすく、なによりおしゃれ!



ぺたんこにならない
ヘアセット


仕上げは、いつも使っているくるくるドライヤーで、トップから放射状に内巻きにブローしてから、ブラシや手ぐしで好きな形に整えます。ハードスプレーを髪から離して全体的にかけると、ぺたんこになりにくいです。

あ、軟毛や薄毛の人は、バームやヘアオイルなど油分を含んだ整髪料はぺたんこになりやすいので、つける位置や量に注意してくださいね。毛先のパサつきを抑えるためには、ベタつきがない軽いヘアオイルを豆1粒くらいの量を毛先だけにつけます。決して頭皮近くにはつけないでね! ちなみに、オイルはそれ自体に重さがあるので、軽いものを選ばないと髪全体がのびて、ぺたんこになります。

 



髪型が変わるだけで
気分が上向きに


切る前は「ただでさえ髪が少ないのに、ショートヘアにしたらもっと毛がなくなりそうで怖いわ」と言っていたご婦人でしたが、仕上がりを見て「うわ~、ボリュームが出てる!」と驚きの表情。スマホで自撮りした写真を笑顔で眺めながら、「切ってよかった! この写真、東京にいる娘に送ります~」と、ご満悦でした。

いや~、ここまで印象が変わるとは、私も驚きました。髪型を変えたことで、目が大きくなり、ほうれい線やたるみもどこかに消えてしまったようです(すべて目の錯覚ですが、笑)。でもほんと冗談抜きで、10歳くらいグググッと若返っていました。改めて、髪って大事なんだなあと実感。

あんなに暗く悲しそうな顔をしていたご婦人がとびきりの笑顔を見せてくれて、私もうれしい! この笑顔欲しさと自己満足のためにこの仕事をしているのです。普段、自己評価は低いほうなのですが、今回だけは「こんな大変身させちゃった! 私すごい!」と自画自賛(笑)。このご婦人のように白髪や薄毛が気になっているなら、皆さんにもぜひ髪型チェンジにトライしてみてほしいです。

髪や頭皮のケアや薄毛など、ヘアまわりのことは今めちゃくちゃ進化しているので、ヘアサロンの美容師さんや髪の専門家さんに最新のアドバイスや情報をもらいながら、ヘアケア方法や髪型をどんどんアップデートさせていきましょう!

 

illustration:大賀美穂
photo:藤岡ちせ

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Profile

藤岡ちせ

Chise Fujioka

ヘア&メイクアップアーティスト。テレビ、CM、広告、雑誌、ミュージックビデオを中心に活躍し、1998年から3年間、ニューヨークでも活動。美への探求心からハワイのボディトリートメントロミロミとフェイシャルを学び、自宅サロンを開くなど活動の分野を広げる。東京、鎌倉と移り住み、2019年に故郷の高知へ。住宅街の一角に、ヘアメイク、写真、オーガニックコスメなどを楽しめるアトリエ「APARTMENT102.」をオープン。
https://www.apartment102.net/
Instagram:@apartment_102_

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