倉敷編vol.1 夕暮れ時から始まる街飲みイベント「マジックアワー・本町のきしたバル」

地元のおしゃれさんが 案内する 小さな旅
2017.05.06

~建築士・仁科美穂子さん~

地方在住のおしゃれさんに、地元のとっておきの場所を月替わりで案内していただく週末連載「地元のおしゃれさんが案内する小さな旅」。今月は、以前「暮らしのおへそ」にも登場していただいた、岡山県倉敷在住の建築士・仁科美穂子さんにお願いすることになりました。3月の「岡山編」とともに、初夏の旅の計画にお役立てくださいね。

本町通り01
倉敷の中でも特に古い景観を楽しめる地域にある、町家が軒を連ねる本町通り。弓なりに曲がる軒のシルエットが空を縁取り、通りの先に沈む夕暮れが本当に美しく感じられる通りです。そんな素敵な場所で、刻々と色が移り変わる夕暮れ空を見ながら、おいしい食事と飲み物片手に、軒下でのんびりできるのが「本町のきしたバル」というイベント。

空空夕景01
この街に暮らし、働く人たちが自らの街の暮らしを楽しむために始めたご近所バル。年に数回だけ、おまけのように訪れる第5土曜日。夕日が落ちたあと、やわらかな光に包まれる時間帯(マジックアワー)に開かれるバルは「幻の軒下酒場」という言葉がぴったりです。

のきしたバル看板
本町通りに店を構える和食、洋食、インド料理…。さまざまなテイストのお店で買える、手軽につまめるおつまみや飲み物を手に、店の中でも外でも自由に楽しめます。この時だけは、ご近所さんが持ち寄ったイスやテーブルが家々の軒下や空き地にセッティングされているので、あっちに行って食べ、こっちに行って座っておしゃべり…と、この通り全体が「街」を楽しむリビングになっています。

フェリシテ01
カフェ「フェリシテ」の店内では、ワイン片手に壁に映し出されたフランス映画を楽しむ姿が。

あきさ亭
和食店「あさき亭」の店先では、七輪でスルメを炙る匂い…。

あきさ亭隣階段
通りの中ほどにある石階段には、通り沿いの老舗「倉敷帆布」から提供していただいた長い帆布が敷かれ、階段状のお座敷が登場。靴を脱いで座ると、外に居ながらもゆったりした時間が流れます。

空空01 - コピー
カレー店「KUKU」の厨房には通りに面して小さな窓が付いているので、この時は屋台のように変身。

又長
長い間、閉店していた立ち飲み屋「又長」も、バルの時は特別開店。

又長ラムネ
昔ながらの土間では、「倉敷鉱泉」の昔懐かしいビー玉入り瓶のラムネが桶に冷やされています。外で飲むと格別です。

空空隣り白壁上映01
空き地では、ライブ演奏や白壁に映された映画を見ながら、近所の方も観光客の方も、見知らぬ人同士でも自然と会話が弾みます。

打ち水を競う子供たち
夏、子供たちが通りの打ち水をしながらお手伝い、夜は花火。子供は街を使って楽しむのが上手ですね。

本町通り02
ご近所さんやバルに来た大人の方々が子供と遊んでくれるので、お母さん方は解放されてお酒を楽しんでいる様子。

昔は夏の夕涼み、軒下に縁台を出してご近所さんと将棋を楽しんでいたと、通りに住むおじいさんから聞きしましたが、軒下のベンチで過ごすこのバルはそんな懐かしい雰囲気そのままに、でもとても新鮮でもあります。

ここは、住んでいる方も通りすがりの方も、子供も犬もみんなが夕暮れ時の豊かな時間を楽しむ場所。本町通りでは、みなそれぞれに街の暮らしを楽しんでいる姿が、美しい街並みにも自然と見えてくる気がします。どんな街でも、そこに暮らす人たちが自分たちの暮らしを楽しんでいれば、街が魅力的になり、自然と人が集まってきます。

忘れた頃にやってくる第5土曜日。夕暮れ時からのライブ演奏や映画上映、何が起こるか、どのお店が会場となるかは毎回お楽しみ。季節を感じながら、倉敷の街の暮らしを楽しみに、本町通りにふらりと立ち寄ってみてください。次の第5土曜日は、7月29日ですよ。

 

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「本町のきしたバル」

17_04nokisita_web

MAP:
岡山県倉敷市本町の「本町通り」沿い。
2017年は、7/29、9/30に実施予定。
https://www.facebook.com/nokishitabar/

Profile

仁科美穂子

mihoko nishina

東京の設計事務所に勤務後、2002年に岡山県倉敷市に移住。2007年、夫婦で仁科建築設計事務所を開設し、町家トラストの再生事業をはじめ、多くの古民家再生に携わる。
http://www.nishina-arch.com

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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