「ギャラリーフェブ」引田かおりさん【前編】「いろいろ経験したうえで、これに辿り着いたのがよかったです」

大人の暮らしで見直したもの
2017.04.24

日々の暮らしは、「もの」に支えられ、彩られ、形作られています。暮らしと太くつながっているからこそ、大切な「もの」は、年齢や生活習慣の変化とともに、更新されていくはず。大人になった「いま」だからこそ、しっくりきているものはなんですか? 憧れの先輩に聞きました。

text:鈴木麻子 photo:大森忠明

 

東京・吉祥寺にある「ギャラリーフェブ」。オーナーの引田ターセンさん、かおりさん夫妻が、暮らしのなかでぐっときたものを紹介するギャラリーです。ときには器を、ときにはおいしいものを、ときには洋服を。「いいものを見つけたから、みんなにも紹介したい」。「この幸せをおすそ分けしたい!」。そんな純粋な気持ちで選ばれたものは、真面目でまっすぐ。そしていつもあたらしい。

2階にあるギャラリーへと階段を上るたび、いつもトントンと胸が弾みます。ここにしかない空気、ここでしか見えない景色、ここでしか出合えないものがある、フェブはそんな稀有なギャラリーです。
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結婚して37年。コツコツと積み上げてきた暮らしのなかで、年を重ね、ものの良し悪し、好き嫌いを見極めてきたかおりさん。50代も後半にさしかかり、その選び取るスタンスはさらに明確になってきました。たくさんのものと出合い、付き合い、失敗もたくさんしてきました。その失敗があったからこそ、いまの「いい」への信頼度が高まります。

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試行錯誤を繰り返し、「これが、いちばんいい」と落ち着いたものに、クローゼットのハンガーがあります。数年前に出合って、家じゅうのハンガーを「MAWA」のハンガーにしました。ドイツのハンガーメーカーのもので、ビニールコーティングで衣服が滑り落ちないようになっています。丸みを帯びた肩のラインで、衣類が型崩れしにくいのも特徴です。

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「肩が出てしまいがちなやわらかい素材のものは、洗濯干しもこれでしています。長さがそろうから、クローゼットの見た目もきれい。スカートやパンツなどボトムもかけられて、アイテムを選ばないのもいいんです。分厚い木製のハンガーを試したこともありましたが、それだけで幅を取ってしまい数をかけられず断念。そのほか、ピンチタイプのものにしたり、知り合いのショップで使っている透明のハンガーで揃えたり。でもやっぱり幅をとってかさばり、しっくりこなかったんですよね」。

そして巡り合った「MAWA」。クローゼットの中が、ずっと大切にしていきたいと思える服に絞り込まれたいま、型崩れしないうえに、省スペースなハンガーはこれ以上ない味方です。「これで最終地点。もう悩まなくていい。いろいろ経験したうえで、これに辿り着きました」

→【後編】に続きます

 

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Profile

引田かおり

KAORI HIKITA

2003年、吉祥寺に夫のターセンさんとともに「ギャラリーフェブ」とパン屋「ダンディゾン」を開く。2016年に、ギャラリーの近くにある一軒家と運命的な出合いをし、そこをフルリノベーションして引っ越ししたばかり。その詳細は新刊『二人のおうち』(KADOKAWA)にて。4/29~5/5に開催の「そだてるかご展」では、よい素材でつくられた美しいかごを多数紹介。http://www.hikita-feve.com/

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