50代のたれ下がった顔は、表情トレーニングでもち上げる!【前編】

こんにちは、藤岡ちせです。40代まで東京やN.Y.でヘアメイクアーティストとして活動していましたが、50代で地元の高知にアトリエを開き、マンツーマンのヘアメイクレッスンを行っています。この連載では、お肌の曲がり角を何度も曲がってきた方々にはきっと、お役に立つであろうお話をしていけたらと思っています!
さて、いつもはアトリエにいらっしゃるお客様たちの悩みを解決するスタイルでお届けしているこの連載ですが、今回はちょっと趣向を変えて、私自身の話をしてもいいでしょうか? ちなみに老化の話なんですけどね……。
私、今年57歳になりまして、なにかと“老い”を感じる日々ですが、最近それが急速に進んでいる感じがするのです。特に顔。ひとつひとつのパーツすべてが下のほうへ向かってまっしぐら。待って~と追いかけますが、決して戻ってきてはくれません。
顔もデコルテも
下へ下へとたれていく

具体的に私の変化、というか老化の様子を書き出してみますと……上から順に、まず前髪が薄くなり、おでこが波打ち、小ジワたっぷりのまぶたが目に覆いかぶさって、目の下は長門浩之さん状にたるんできました(長門さんごめんなさい)。
また、頬が下に伸びることで顔の輪郭が四角くなり、鼻の下が伸び、あごの下もニワトリみたいにたるみ、首の横シワが深くなってジャバラ状に。
さらにはデコルテにも細かい横シワができるようになり、ブラを着けて無理矢理寄せ集めてできる胸の小さな谷間にまで無数の小ジワができる始末。若かった頃には絶対になかったシワです。はぁ……。
ふとした瞬間の
自分のアホ面に驚愕
私はこんな仕事をしていますが、視力が悪く老眼も進んでいることもあり自分の顔を鏡でじっくり見ることがほとんどありません。なので、脳内の自分の顔は、老眼になる前の都合のいい顔でストップしていて、それは現実よりも随分若く、現実を知るまでは幸せでした。
そんなある日、スマホを操作していたところ手がすべった拍子に、自撮りモードでカメラが起動……。そして、そのスマホには知らない人が映っていました。思わずスマホを遠くに放り投げましたが、その知らない人はもちろん私で、それは下から見上げた己の顔の恐ろしい姿でした。
ひとまず見なかったことにしていましたが、あくる日には、友人が何気なく撮った写真に写る、気を抜いた自分の間抜けな顔を二度見。テレビを観ていても、画面が真っ暗になる場面でその黒い画面の奥に映し出される、だらしなくたれ下がったアホ面に驚愕。ホラー映画よりホラーです。知らず知らずに容姿が変わっているのを、いまさらながら気づいてしまいました。
肌だけでなく
顔の筋肉も老化!?
大きな衝撃を受けた私は、改めて自分の顔をじっくり観察してみることに。すると、肌の老化はもちろんなのですが、もうひとつ別の老化があることに気づいてしまったのです。それは、顔の筋肉(表情筋)が衰えていること! この歳になるとどうしても表情が乏しくなるので、それによって表情筋が怠惰になってしまうのです。
肌の老化はシミやシワ、毛穴の開きなどによるものなので、自分でも気づきやすいですし、以前この連載でも書きましたが生活習慣やスキンケアで、ある程度改善したり老化速度を遅くしたりできます。
筋肉の老化がやっかいなのは、自分で気づきにくいところ。メイクをするときなど自分の顔を鏡に映してチェックするときは、よりよく映るように、ついイケ顔をしてしまいますよね。けれど、人は鏡を見ていない時間のほうが圧倒的に多いわけで、意識していない素の自分がいつもどんな表情をしているかを知らないことが問題。それで、ふとした瞬間に現実の自分の顔を見て、腰が抜けるわけなのです。
アホ面の原因は
口の中にありました
そこで私は、イケ顔をしていないときの自分の顔を、念入りに観察してみました。その結果、たどり着いたアホ面の原因は、口の中にありました。私の口の中は、まず上下の歯が大きく「あー」とだらしなく開いていたのです。開いているのであごが下がり、その結果、への字口になります。口元が下に引っ張られるから、鼻の下も長~く伸びています。

そこへ舌が追い打ちをかけます! 本来、上あごについているはずの舌は下方向にたれ、舌の重さがが下あごにかかり、さらにあごが落ちる。あごの下もたるみ、そのぶん顔が長くなるのです。
目の周りの筋肉も衰える!
筋肉は口元だけでなく、目元にもあります。年齢を重ねるとまぶたが重たくなってくるので、目をしっかり開けずに楽に開く程度で過ごしている方も多いのでは? それはつまり、目の周りの表情筋を使っていない状態です。
私はメガネをかけているので、これがまた厄介。私のメガネレンズは近視と老眼をカバーする、俗に言う遠近両用レンズ。使ったことがある方はわかると思うのですが、レンズの下部分が老眼仕様になっています。普段の生活で下部分ばかり使っている私の目は、いつも半目。ぱぁーと大きく目を開ける機会もあまりないので、目の周りの筋肉は当然衰えます。若い頃の半分くらいしか目が開いていないような……。
若い頃は箸が転がっただけで爆笑して表情筋を余すところなく使っていたのに、いまでは箸が転がったら拾いにいくのが面倒で、への字口で眉間にシワを寄せ、近くにいる人に拾ってもらう始末。こうやって感情の起伏も薄れていくので、顔全体を使って筋肉に刺激を与えることも、悲しいかな、減ってきます。
そんなもろもろの現実に気づいたときは、本当に恐怖でした……。そこで明日の【後編】では、私がいま、この老化にどのように対抗しているかをレポートしたいと思います!
illustration:大賀美穂
photo:藤岡ちせ
cooperation:戸梶建設
Profile
藤岡ちせ
ヘア&メイクアップアーティスト。テレビ、CM、広告、雑誌、ミュージックビデオを中心に活躍し、1998年から3年間、ニューヨークでも活動。美への探求心からハワイのボディトリートメントロミロミとフェイシャルを学び、自宅サロンを開くなど活動の分野を広げる。東京、鎌倉と移り住み、2019年に故郷の高知へ。住宅街の一角に、ヘアメイク、写真、オーガニックコスメなどを楽しめるアトリエ「APARTMENT102.」をオープン。
https://www.apartment102.net/
Instagram:@apartment_102_
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