身体を土台から整えていく、究極のインソール~今回の先生:「FOOTWORKS」森健さんvol.1
人間というものは、まっすぐ立っているようでまっすぐではなく、左右差があったり、前後にねじれていたりと、「正しく立てていない」ことがほとんど。その原因のほとんどは、足にあります。身体の土台である足が不安定だと、他の部分が緊張したり、凝ったり張ったりしてゆがみ、結果的に腰痛や肩こり、偏頭痛といったさまざまな問題が出てきてしまうのです。言わば植物の根っこ、建物の土台の部分が不安定だと、そこにいくらマッサージや鍼灸などを施しても、根本的な解決にはならないのです。
そこで靴の内側にインソールを入れることによって、足が本来あるべき位置や形に整えていき、姿勢も正していく。その結果、人によっては数十年来の腰痛がぴたりと一日でなくなってしまったり、履き続けることでO脚やX脚が治ったりといった、驚きの効果が得られるのです。
かくいう田中も、パソコン前の座り仕事が長いせいか、肩こりは当たり前、特に左側の腰痛が慢性化しており、仕事が立て込んできると、キリキリと痛みます。果たしてこれらも足が原因なのでしょうか?
そんな疑問を抱えつつ、いよいよインソール作成です。まずは裸足になり、フットプリントという専用の器具を使い、足型を取ります。正面に大きな姿見がある台に上り、プリンターの上に足を載せます。青いインクの色が浮かび上がったその図は、足のどの部分が、どの方向に傾いているのかが一目瞭然。
「田中さんの場合、ここ(足の外側側面)に力が入っているのが分かりますか。本来この部分は、そんなに青色がつかなくていい部分なんです。ここに力が入ると、どうしても重心が外側にいってしまうので、腰痛になりやすいんです」。
本来足は、親指の根元にある拇指球(ぼしきゅう)、小指の根元にある小指球(しょうしきゅう)、かかとの3点で支えられているのが理想的。けれど私の場合、土踏まずの外側の部分にも力が入っているため、バランスが崩れてしまっているそう。
「さらに、小指をはじめとした指先に力がのっていない。これがしっかりのってくるといいんです。何十㎏ある人間の身体を、たった20数cmの幅で支えるのはかなり大変ですが、指先が使えていないと、その狭い部分の、さらに1/3が使えていないことになる。ものすごいロスなんですよ」。
自分と同じ体重の荷物を、23cm幅の棒で支えるとイメージすると、確かに不安定であるのは想像がつきます。指先を使うべきタイミングは、特に歩くとき。かかとから踏みおろし、最後に親指で身体を押し出すようなイメージで、しっかり指先まで使うことが大切なのだとか。
「そして右足の小指球やかかとのほうが、色が濃いのが分かりますか? 重心が右に傾いているんですね。だから腰も右に来てしまって、それが腰痛の原因になっているんです」
普段右足に重心が来ていることを意識したことがなかったのですが、言われると思い当たる節があります。バスケットボール部に所属していた高校生時代、左足の半月板を損傷し、手術をしたことがありました。その後リハビリをして復帰できたものの、分厚いサポーターをはめ、左足をかばいながらのプレーでした。
部活を引退して二十ウン年、そんなことはすっかり忘れていたのでしたが、そのときのケガは、身体の使い方にまだまだ色濃く影響を与えていたのです。
こういった田中の身体の使い方の傾向も、実は店のドアを開け、室内に歩いてくる姿を見た段階で、すでに森さんにはすべて分かっていたそう(!)。この足型は、あくまで「答え合わせ」なのだとか。そしていよいよ、この診断をもとに、インソールの作成に進みます。
その様子は、明日更新のvol.2にて!
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2回目以降の調整 3,240~
Profile
田中のり子
衣食住、暮らしまわりをテーマに、雑誌のライターや書籍の編集を行う。『ナチュリラ』(主婦と生活社)は創刊当初からのスタッフ。構成・執筆をした『これからの暮らし方2』(エクスナレッジ)が好評発売中。
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