身体を土台から整えていく、究極のインソール ~今回の先生:「FOOTWORKS」森健さんvol.2
photo:砂原 文 text:田中のり子
ベースとなるドイツ製のソールに発泡性ラバーを貼り付け、足の形に合わせて、グラインダーで削っていきます。機械が発するモーター音と引き換えに、森さんの意識が静かにすっとソールに入り込んでいきました。迷いなく、着実に、進んでいきます。
その迷いのなさは、素人目にも驚異的。小学生の頃から遊びながらグラインダーを操っていたというだけあって、繊細な角度調整もお手のものです。私がたどり着くべき姿勢が完全に見えて、ソールの上に実際に載っている姿がイメージされていて、その完成形に向かってひたすらまっすぐに進んでいる……という感じです。市販のインソールとくらべて、作られつつあるものは、かなり立体的。そして身体の左右差に合わせて、立ち上げる部分の大きさや角度などを細かく調整していました。文字通り、私のための「オーダーメイド」であることが、よく分かります。
再び台の上に載り、いよいよ、でき上がったインソールを当て、実際に立ってみます。
わ!衝撃!
私の足に吸い付くようにピタリとはまり、なおかつ足の裏からじわじわと温かくなって、どんどん血行がよくなっていくのが分かります。カメラマンの文さんも、「のり子さん! 足が、足が、ピンク色になっていますよ……!」と、大興奮。
私にとって足首や足指は、基本的に「冷たいもの」。真夏でも靴下が欠かせない冷え症の身なのでしたが、裸足なのに、じわじわと温かくなっていくのです。
「足が冷たいのは、足首の使っている方向が悪いから。足首がねじれてしまうと、血行が滞ってしまって、指先に血液がいかなくなってしまうんです」
そして何だか、身体が軽い! 上から見えない糸で引っ張られているような、かつてない軽やかさ。それまで重だるかった身体が、すっと上に伸びていくような感じです。
「これでやっと、身体がちゃんと足の上にのれたのです。今まではきちんと真上にのれていなかったから、膝や腰や股関節などに寄りかかって、負荷をかけていたわけです。インソールがあることで、合理的な身体の使い方、筋肉の使い方ができるから、疲れにくくなるんですよ」
さらに手持ちの靴にインソールを入れて、実際に歩いてみます。
ただ普通に歩いているだけでも、足裏がいい感じで刺激されるので、それだけでもじわじわと血行がよくなってきます。そして姿勢がよくなるせいか、肩が落ち、胸がしっかりと開くのが分かります。
「胸が開くと、きちんと鼻呼吸ができるようになり、自然と抵抗力も上がります。脳にも酸素が行き渡るから、頭が冴えてきますよ」
再び文さんが、「のり子さん、顔が! 目が!」と叫びます。血行がよくなったせいか、それまで薄ぼんやりしていた顔にも血が行き渡り、目がしっかり開き、顔つきがはっきりしてきたのです。ヨガを習っていると、「足の裏で大地に根を張り」「天とつながる」ことをイメージしながら、ただ立つだけのポーズをすることがあります。立つだけで、足の裏からどんどんエネルギーを吸えるような感覚、大げさなようですが、その手ごたえが、生まれて初めてリアルに実感できたような気がしました。そして歩くのが楽しくて楽しくて、どこまでも歩いていけそうな感覚です。
何が何だか、もういいこと尽くめではありませんか! 足が整い、姿勢が整うって、こんなに素晴らしいことだったんだ……!「か、か、革命が起きました~~!!」。私も思わず叫んでしまいます。それを受け、森さんも苦笑い……。
さて、そんな素晴らしきインソールショックのあとに、森さんから、いろんな注意点を伺いました。ただインソールを入れるだけでは不十分で、それに合わせ、「正しい身体の使い方」を自ら意識して実践しなければ、その効果も半減してしまうのです。
その方法については、明日更新のvol.3にて!
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2回目以降の調整 3,240~
Profile
田中のり子
衣食住、暮らしまわりをテーマに、雑誌のライターや書籍の編集を行う。『ナチュリラ』(主婦と生活社)は創刊当初からのスタッフ。構成・執筆をした『これからの暮らし方2』(エクスナレッジ)が好評発売中。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。