石黒智子さん vol.2「時代の変化に合わせてものもアップデート」
「私たちは、“もったいない”の精神を尊んできた世代。まだまだきれいなもの、使えるものを捨てて、新しいものに買い替えるのには抵抗がある、そんな人がまわりにはたくさんいます。でも時代は進み、道具はどんどん賢く、軽く、扱いやすくなっています。これからの暮らしをラクにしてくれるものに出合ったら、それは運命だと前向きに考えればいいと思うんです。
そんな“運命の出合い”があったなら、先代は思い切って処分するのも60代のうちがおすすめ、と石黒さん。
「いつか使うかもしれないし……と取っておきがちですよね。でも、新しいものが明らかにいいとなったら、前のものに戻ることはまずないと思いませんか?」
体調の変化、家族構成の変化。変化した自分の状況に暮らしがぴったり沿うように、道具や暮らし方を進化させてしまえばラク。これが、〝今が最高に快適〞を更新し続けている石黒さんの、人生を楽しく豊かにする方法です。
今の暮らしに合わせて、選び直したもの
紅茶はリーフからティーバッグに
「味や香りを楽しむならリーフのほうがいいって、長年思い込んでいました。でも、今のティーバッグの紅茶はとてもおいしい。リーフだと茶こしを用意しなくてはいけないし、洗うのも面倒。それがなくなって、お茶の時間が気楽になりました」
オーブングローブは白色から赤色に
赤いアクリル製の軍手をオーブングローブに。以前使っていた白から鮮やかな赤に変えたのは、台所での置き忘れや行方不明が軽減されると考えたから。スムーズに着脱できるよう、入れ口のゴムを抜いてゆるゆるに。鍋敷きとしても活躍する働き者。
グラスは厚手から薄手に
「今までは薄いと割れた時に怖くて、やや厚手のものを使っていました。でもこの『木村硝子店』のグラスで飲んでみたら、味わいがストレートに伝わってきておいしい。グラスでこんなに味が違うなんて! と驚きました。底が浅いから洗うのもラク」
家電は単一機能のものに
来客の多い石黒家。おいしいものを食べる集まりなら、友人にもどんどん台所を任せてしまうそう。だから、初めての人でも簡単に使えるよう、電子レンジやオーブンなどの家電は、機能がごくごくシンプルなものを選んでいる。
「“これから”の暮らしと食卓」より
photo:杉能信介 text:鈴木麻子
Profile
石黒智子
エッセイスト。日々の道具選び、収納、家事のアイデアなど、暮らしにまつわる情報を独自の視点で発信。「亀の子スポンジ」など、道具のプロデュースにも携わる。近著に『60代 シンプル・シックな暮らし方』(SBクリエイティブ)など。いしぐろ・ともこ 日々の道具選び、収納、家事のアイデアなど、暮らしにまつわる情報を独自の視点で発信。「亀の子スポンジ」など、道具のプロデュースにも携わる。近著に『60代 シンプル・シックな暮らし方』(SBクリエイティブ)など。
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