映画『COLD WAR あの歌、2つの心』を観てきました!
みなさまこんにちは。暮らしとおしゃれ編集部にて研修中の、外﨑です。
私、学生時代は映画部に所属していたこともあり、実は年に200本以上観るほどの映画オタクでございます。先日編集部内でフランス映画の話題が出て、そこで過敏に反応したのが先輩編集に見抜かれ、オタクがバレてしまいました。
が、そこで先輩編集に「映画に関するブログ、書いてみる?」とまさかの一声をいただき、本ブログの執筆に至ります。「暮らしとおしゃれの編集室」で映画の記事を書けるとは。
そして今回、話題作『COLD WAR あの歌、2つの心』(以下『COLD WAR』)を劇場にて観て参りました。パヴエウ・パヴリコフスキ監督の最新作で、第71回カンヌ国際映画祭で、かの『万引き家族』(2018)とパルム・ドールを争った作品です。パルム・ドールは逃したものの、パヴリコフスキは監督賞を受賞しています。
ポーランド映画って、意外とアツいんですよね。『トリコロール』3部作のクシシュトフ・キェシロフスキ監督や、『戦場のピアニスト』のロマン・ポランスキー監督など、ポーランドは数々の名監督を輩出しています。彼らに共通するのは、静けさが満ちた映像の中にも、どこか情熱やロマンを感じる撮り方をするところ。
『COLD WAR』も然り。なんとこの映画は全編モノクロ映像で、それは戦後の荒廃したポーランドを表現するため。モノクロ特有のどんより哀しい雰囲気をにおわせながらも、ダンスや音楽のシーンになると一転、逆にモノクロが映えて鮮烈な印象を与えてくれます。情熱的な映像が、観る私たちをもアツくさせる。
ストーリーもアツい。舞台は20世紀、冷戦に揺れるポーランド。歌手を目指すズーラ(ヨアンナ・クーリク)とピアニストのヴィクトル(トマシュ・コット)は、音楽舞踊団の養成所にて出会い、恋に落ちます。しかし、ヴィクトルは冷戦下の政府に監視されていることを嫌がり、パリに亡命。二人は離れ離れになってしまいます。それでも彼らは再会、幾度のすれ違いを経てともに暮らし始めます。さぁめでたしめでたし、とはいかず……。時代に翻弄される二人に待ち受けるのは、思いがけない運命でした。そのあとの二人を知りたい方は、ぜひ劇場へ足を運んでみてください!
ストーリーもさることながら登場人物のキャラクターがただただ魅力的で、特にヨアンナ・クリーク演じるズーラが美しすぎる。天性のファム・ファタールである彼女のダンスシーンは、瞬きひとつできないほど美しく妖艶です。また、彼女のファッションにも注目。あるときは庶民的な服、またあるときは豪奢な服と、置かれている立場や状況で着る服が変わるのですが、そのすべてを絶妙に着こなしているんです。表情も、肉体も、服装も、すべてが魅力と神秘に包まれたズーラに、男性も女性も惚れてしまうこと間違いなし。
もう、儚くも情熱的な二人の愛にただただ感動でした。本作の登場人物はもちろんズーラとヴィクトル以外にも数々いるのですが、もはやこの世界には彼ら二人だけで、二人の愛を音楽が助長し、冷戦という時代が壊してゆく、ただそれだけの作品のようにも思えてくるんです。そう感じさせるほどの情熱的な愛が、儚いモノクロームの映像とともに二人だけの時間を囲っていました。
若造の私にとって、大人の恋愛って憧れます。自分の話になるのですが、学生時代のアルバイト先のお客さんで、自分より年上の女性を好きになったことがあります。店長の目を盗み、勇気を出して話しかけたら仲良くなり、なんと連絡先の交換に成功。なんだか秘密の香りがして、「これが大人か……⤴」なんて勝手に盛り上がっていました。そしてデートのお誘いをしたところ、彼女から返信が。「ごめん、実は年上の恋人がいるんです」と。「これが大人か……⤵」と、意気消沈。『COLD WAR』の二人は「時代」により引き裂かれましたが、私は「実力」により引き裂かれました。そもそも愛情の深さが違うので、軽薄な私と『COLD WAR』を比較することすらおこがましいですね。
国家、音楽、思想、そして愛。すべての要素が詰め込まれた、心と身体を刺激する極上のラブストーリーを、みなさんも目に焼き付けてみてはいかがでしょうか。『COLD WAR あの歌、2つの心』は6月28日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪・テアトル梅田などで全国公開中です。
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