生まれ変わるおへそ 「ザ リトル ショップ オブ フラワーズ」主宰 壱岐ゆかりさん
すべてに自信がなかった自分を
抜け出せたのは、花屋になったから。
まずは環境を整えれば、自分を変えられる。
週2回、スタッフと共に朝3時に市場に仕入れに。いったん帰宅して、お弁当を作り、子どもに朝ご飯を食べさせてから仕事に出かける。木々に囲まれた一軒家の一角にある店は、壱岐さんならではのセレクトで集められた色鮮やかな季節の花が並ぶ。
若者たちでにぎわう原宿の1本路地を入った奥に、鬱蒼とした緑の木々に囲まれた一軒家があります。食通たちに愛される「レストラン イートリップ」の一角に、ひっそりと佇たたずむのが、壱岐さんが営む花屋「ザ リトル ショップ オブ フラワーズ」でした。
実は、花が好きなわけでも、花屋さんを開きたいと思っていたわけでもなかったと聞いて驚きました。インテリアショップ「イデー」を経て、インテリアやアパレルブランドのPRをしていたそう。
「男の人に囲まれて仕事をしていたので、しぐさから性格、日々の習慣まで、すごく男っぽかったんです。お酒とタバコと夜型の日々。午前中なんて起きてもいませんでした」
と笑います。さらにプレスの仕事をしていたというのに極度の人見知り。
「人と話すのが本当に苦手なんです。パーティではいつも隅っこにいましたね。ずっとプレスの仕事は続けられない。どこかで私は変わらなくちゃ、と思っていました」
そんなとき、たまたま出張先のニューヨークで、デニム屋さんのコーナーに小さな生花店を見つけたそう。
「『私が花を売っています』と主張することなく、デニム屋さんを引き立てているようなお店でした。こんな店ならできるかもと思ったんです」
帰国後、さっそく代々木上原にあった知り合いのお店の横の倉庫スペースを借りて週末のみの花屋をオープン。
「最初は仕入れてきた花が大量に余って、ドライフラワーばかり作っていました」と笑う壱岐さん。
週末のみの営業を2年間続けた後に今の場所へ。いちばん変わったのは、太陽と共に起きるようになったこと。そして花をさわりながら、少しずつ自分と丁寧に向き合えるようになったのだとか。
山梨県の花農家さんと知り合い、いただいた花の苗をベランダで育てている。どんどん花が咲くので、季節との追いかけっこで、部屋に飾って楽しむ。
「なんでもテキパキやることが、社会人なんだって思い込んでいた自分を見直すことができました。私、プレス時代は体力にも、女であることにもすべてに自信がなかったんです。そこから抜け出すためには、自分で何かを始めなくてはと考えて……。それが花屋でした。今でも見知らぬ人と話をするのは苦手だけれど、花を介してなら何とかコミュニケーションがとれるようになりました」
「暮らしのおへそ Vol.28」より
photo:馬場わかな text:一田憲子
「おへそ的、買い物のすすめ展」にて
「ザ リトルショップ オブ フラワーズ」壱岐ゆかりさんの
サマーフラワータペストリーを作るワークショップが開催されます!
夏らしい鮮やかな緑を使った、夏色のフラワータペストリーを作ります。生花で作りますが、ドライフラワーになりやすい花材を使用するため、ご自宅のインテリアとして長く飾っていただけるタペストリーです。
【サイズ】横:約60cm 縦:約40-50cm
【日 時】8月28日(水)
第1回:11:00~12:30
第2回:14:00~15:30
【定 員】各回8名さま
【場 所】日本橋三越本店 本館7階 催物会場
【参加費】9,720円
【持ち物】エプロン・タオル(お手拭用)
・開始時間の10分前までにお越しください。
・キャンセルの場合は、前日までにご連絡をお願いいたします。
<ご予約方法>
お電話にて承ります。
03-3274-8372(受付時間 11:00 ~18:00)
※定員になり次第、終了いたします。
Profile
壱岐ゆかり
花屋。「ザ リトル ショップ オブ フラワーズ」主宰。「イデー」勤務を経て、インテリアやアパレルブランドのPRを。2010年週末だけの花屋を開店。13年「レストラン イートリップ」と共に東京・原宿に移転。16年原宿キャットストリートに2号店をオープン。19年11月、「渋谷パルコ」で花とワインショップの3号店を開く予定。料理人の野村友里さんとの共著に『TASTY OF LIFE』(青幻舎)がある。
http://www.thelittleshopofflowers.jp
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