二本立てのおへそ ― ライター・村山京子さん vol.1

暮らしのおへそ
2020.02.12

いちばん大事なのは家族だけれど
ひとりの時間も仕事も同じぐらい大事。
どちらもあきらめず二本立ての人生に。

s_MG_1634
リビング横のひと部屋が、下ふたりの子どもたちの勉強部屋兼村山さんの仕事部屋。今は、育児系の雑誌を中心にライターの仕事を続けている。

 

「ねえ、今日学校でさあ、〇〇先生がね〜」と学校から帰った長女の紗和子ちゃんがキッチンにやってきて話し出します。「ウンウン」「ふ〜ん」と夕飯の準備をしながら耳を傾ける村山さん。

「私は子どもの頃、両親が共働きで、話を聞いてもらえなかったので、できるだけ聞くようにしています」

と語る村山さんは、3人の子育てをしながらライターとして働いています。

「結婚して子どもができても仕事をしていたい。小さい頃から、なぜかそう決めていました。中学1年生のときに、『将来の私』という絵を描いたんですが、私だけ1枚の画用紙を半分に分けて、赤ちゃんの靴下を編んでいる自分と、机で書きものをしている自分を描きました。先生に『こんな欲張りな人もいます』って言われたなあ(笑)」

実家は、村山さんが幼い頃は漁業を営み、両親が働く姿を見て育ったのだと言います。だからでしょうか? 出産後も働く気満々! 書くことが好きで、独身時代は編集プロダクションで夜遅くまで働く日々だったそう。インテリアや暮らしまわりのことを取材して書く仕事は、ハードでもやりがいがあったのだと言います。でも……。

「出産後、一度復帰しましたが、ハードすぎて体がついていかず、半年で辞めてライターとして独立しました」

3人の子どもを育てながら仕事をするのは大変なことです。

「書く仕事って、人がガヤガヤしているところではできないから、子どもが家にいる間は、仕事を中断して向き合うしかないと思っています。仕事はしたい。でも逆に、仕事が暮らしを侵食する、という状態はすごくイヤなんです。『仕事が入ったから、参観日や運動会に行けなくなった』というのは極力避けたくて」

村山さんは、正直な人でした。子どもがいれば、「仕事はできなくてもしかたがない」とあきらめがち。仕事を続けるなら「家庭にシワ寄せがいって当然」と考えるもの。でも、そのどちらも「違う」と考えたところがすごい!

 

1本目のおへそ
子どもの話に耳を傾ける


紗和子ちゃんはキッチンで、智花子ちゃんはデスクの横でと、それぞれに村山さんに話しかける。太一くんもようやく最近、自分のことを話せるようになった。「なんでもない愚痴に耳を傾けることが大事だなと思っています」

 

2本目のおへそ
自分時間は譲らない



ビールが大好き。晩酌はせず、昼間の仕事が一段落し、夜の第2ラウンドに入る前に、ダイニングに座ってナッツをつまみながら缶ビールをプシュッ。この時間が何より楽しみ。連続ドラマ好きなので、予約録画をしておき、余裕があるときに見る。

 

→vol.2につづく


「暮らしのおへそ Vol.28」より
photo:有賀 傑 text:一田憲子


→その他の「暮らしのおへそ」の記事はこちら

Profile

村山京子

Kyoko Murayama

独身時代は、インテリア誌のライターとして多忙な日々を過ごす。今は仕事を少しセーブしながら、育児雑誌などで執筆。さらに、週に2回実家の水産会社の東京営業所に通い、ホームページ制作などを担当している。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ