デコボコのおへそ ― 「スクランプシャス」主宰・中山ヤンさん、ノリミさん vol.2

暮らしのおへそ
2020.05.05

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どんなに手間と時間がかかっても
美しさをあきらめない。
それが「自分にしかできないこと」の見つけ方。

9年前に真鶴に移住したふたり。実は6年前からひそかにふたりだけの大冒険を着々と進めてきました。古屋付きの広大な土地を購入。新たなお店を作ろうと、長年放置されていた庭を開拓し、古屋の改装を始めました。

「草や竹を刈っても刈っても終わらなくて、心が折れそうになりました。でも、草の間から石段が現れて大喜びしたり、作業の合間に海からの風に癒されたり……。友人にも助けられながら励まし合ってきたんです」

そしてとうとう2018年「SOJIBŌKEN」がオープン。海に向かう斜面に佇むお店は、昔からこの地を見守ってきた木々に囲まれて気持ちいいこと! 窓から入る光が「スクランプシャス」の洋服をキラキラと輝かせます。

今でこそこんなに仲がいいふたりですが、出会ったばかりの頃はよくケンカもしたそうです。

「お金がなくて貧乏だったり、私が介護で疲れ果てていたり。何かを乗り越える度に少しずつ互いの理解を深めてきました。力を合わせないと生きてこられなかったから」とノリミさん。

今では互いを尊敬し合うふたり。

「やっちゃんは、洋服作りに妥協しないんです。私は『そこまでしなくてもいいんじゃない?』って思っちゃう。でも、繊細なディテールが『スクランプシャス』の個性になりました。そんな姿を見ているうちに、コツコツやれば必ずゴールにたどり着けるんだなと信じられるようになったんです」

人にはみんな長所と短所があります。ふたりで生きていれば、長所を生かし合い、短所は補い合い、ひとりでは描けなかった未来が自分たちのものになる。そんなご夫婦のデコボコなおへそが、すぐそばにいる人を信じる尊さを教えてくれました。


古い佇まいを生かしつつ、大工さんにお願いして床を張ったり、自分たちで壁を塗った店内。

 


ヤンさんが最初に作ったのがこのチュニックシャツのかたち。これはタッサーシルクで作ったもの。

 


小さな平家を店舗に。外にはテラスが広がっている。

 

あきらめない


胸もとに細かなギャザーを寄せたリネンシャツは、男女共用。

 


2012年から仕立てているというボリュームスリーブのブラウスは永遠の定番。

 


驚くほど細かなギャザーや、ほつれることのない短いスパンの糸目など、大量生産とは真逆のスタイルを貫く。

 


仕事の合間に海を見る
アトリエの窓からは海が見える。作業の合間に手を止めて刻々と色を変える海の表情を見ると、どんなに忙しくても心にゆとりがもてる。

 


コーヒーをいれて一息入れる
朝食後、コーヒーをいれるのはヤンさんの担当。仕事の合間に飲めるようたっぷり作り、キャンドルを灯したポットウォーマーにセットしておく。

 

※5月5日現在「SOJI BŌKEN」のオープンデーは休止中です。再開時期はHPでご確認ください。

 

『暮らしのおへそ Vol.29』より
photo:枦木 功 text:一田憲子


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Profile

中山ヤン 中山ノリミ

Yan Nakayama Norimi Nakayama

「スクランプシャス」主宰。1999年、東京でヴィンテージショップとしてスタート後、鎌倉に路面店をオープン。独学の洋裁で、2009年より仕立てを重んじたオリジナル制作を始める。2011年真鶴半島移住後はお針子チームだけで仕立てる服飾メーカーに。2018年、荒地を開拓しはじめた「SOJI BŌKEN」を始動している。

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