素敵な器を使った朝ごはんコラム、3月担当は「宙(そら)」の吉田美穂子さん
月替わりで人気の器店の店主さんに、素敵な器を使った朝ごはんの様子をご紹介いただく連載「ある日の朝ごはん」。3月は、今年で20周年を迎えるという「宙 SORA」の吉田美穂子さんにコラムを書いていただくことになりました!
お店の場所は、東横線の学芸大学駅から徒歩8分ほどのところ。昨年末、目黒通りにオープンした「イオンスタイル碑文谷」の一本裏手の道沿いにあります。
店内の棚には、四角いお皿の横に丸いお皿、漆のお椀の隣に急須……と、種類や形、用途の違う器があえてリズミカルに並んでいて、ついつい目移りしてしまいます。
ディスプレイで目を引くのは、すべての器の前に置かれた手書きの値札。一枚一枚に、作家さんの名前と価格が書かれています。
「私自身がそうなのですが、器を選ぶときって、どの作家さんが作ったものなのかはもちろん、やはり価格が気になりますよね。日常使いの器だからこそ、自分の感覚から離れすぎない価格帯のものから選びたい。だから、それを一目でわかるようにしているんです」
毎日使いやすいものをセレクトしているので、店内には目が飛び出るような価格の器は置かれていません。1000円代のものも並んでいたりして、なんだかホッとしますね。
吉田さんが器に興味をもったのは、会社員として働いていたころ。ある雑誌で器作家さんが自身の器に家庭料理を盛った写真を見たときでした。料亭の料理が似合う数十万円もする著名な作家の器ではなく、“日常の食卓に寄り添う作家ものの器”の存在に、衝撃を受けたと言います。
「私もこんなふうに自分が作った器に料理を盛ってみたい! と陶芸教室に通い始めたのですが、早々に自分の才能に見切りをつけました(笑)」。それでも、器作りはとても楽しく、器に携わる仕事ができたらと思うようになり、ついには食まわりを扱う会社に転職。最初は事務職でしたが、半年後たまたま会社が和食器を扱うお店をオープンすることになり、器好きだった吉田さんが、なんと突然店長に抜擢されたのです。
素晴らしい作家さんたちの器をたくさんの人に紹介したい! という熱意だけは人一倍あったものの、そのときの吉田さんは20代で、お店運営も未経験。当時の苦労は想像に難くありませんが、そのときの経験は確実に“今”につながっています。そう、吉田さんは数年後、自分のお店「宙」を開くのです。
オープン当初は20人ほどだった作家さんとのお付き合いも、現在はなんと50人以上。売れ筋とか流行は関係なく、その人らしい器を自然体でコツコツ制作している作家さんに惹かれると言います。「秋に予定している20周年の企画展では、みなさんにお声がけして器を作ってもらいたいなと思っているんです。こんな機会、なかなかないですしね」
雰囲気のある素敵な店内ですが、この内装は設計士にお願いしたわけではなく、以前から「お店を作るなら、白壁と古材の組み合わせがいいな」と思い描いていたイメージを自らスケッチして、街の工務店に仕上げてもらったそう。吉田さんのスケッチを元に工務店が探してきてくれたのは、その昔、会津若松で使われていた床材。ほどよく薄く、ほどよく風合いがある板は、「宙」の名脇役です。
そんな吉田さんの朝ごはんは、ほぼ毎日和食。お店でも扱っている土鍋でごはんを炊いています。おいしく炊き上がるので、つい食べ過ぎてしまいそうですが、ご主人が体重とお腹の出具合を気にしていることもあり、最近はお碗に軽く一杯にとどめているそうよ(笑)。
今週末からの連載、楽しみにしていてくださいね!
毎日を楽しく、幸せにしてくれるお気に入りの器が見つかる器店。連載「ある日の朝ごはん」執筆は、店主の吉田美穂子さん。
東京都目黒区碑文谷5-5-6
TEL:03-3791-4334
営業時間:11:00~18:00
定休日:火曜、水曜(その他、夏期冬期休業あり)
http://tosora.jp
http://tosora.shop-pro.jp
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