食で「からだにいい」を少しずつ口から取り入れるvol.3
「現代の東京は、冷暖房が効きすぎていたりして、体温調整がすごく難しい場所だと思うんです。気づかないうちに冷えがたまったり、逆にほてりがスムーズに逃せられなかったり。なので定食では、代謝を促したり、巡りをよくしたりしながら、自然に体がラクになるようなメニューを考えるようにしています」
お店のスタッフさんからの報告によると、トレーが返却されると、お皿にお料理が残っていることはほとんどなく、すべての料理をペロリと食べきっているお客さまがほとんどなのだとか。「どんなに体によくても、おいしくなければ絶対に嫌」ときっぱり断言する三原さん、そんな報告たちが、メニュー監修の何よりの励みになっているそうです。
天井が高く、緑や光が見える気持ちのいい食堂スペースでこの料理たちを食べていると、いつもより息が深くなり、ゆったりとした気分に。昼食をとっただけですが、すっと体調が整っていくような気がします。そして「あ、この満足感や気持ちよさを重ねていくことが、健康へのいちばんの近道なのだな」と、腑に落ちるような気がしました。
私も長く暮らしまわりの取材を続けてきましたが、かつて「暮らし上手」というと、住まいを素敵なインテリアにしていたり、ファッションセンスがよかったり、おしゃれな料理を作れるようなイメージだったように思います。けれど、新型コロナウィルスの流行によって今までの価値観も大きく変わり、「自分の心と体を健やかに整えられること」も、大きな条件になってきました。「CASICA」のようなライフスタイルショップが、「健やかさ」に焦点を当て、「アルケー」のような試みをスタートされたことも、とても象徴的なことに感じられました。
photo:砂原 文 text:田中のり子
東京都江東区新木場1-4-6 CASICA内
TEL:アポセカリー03-6457-0826 キッチン03-6457-0827
営業時間:11:00~18:00(ラストオーダー17:30)
定休日:月曜
https://arkhe.jp
Profile
三原寛子
料理ユニット「南風食堂」主宰。雑誌やWEBでの料理制作、アーユルヴェーダの料理教室「マハト・チューニング」の料理講師、店舗の料理監修や商品開発など幅広く活躍。共著に『わたしのとっておき麺』(家の光協会)など。
https://www.nanpushokudo.com/
田中のり子
衣食住、暮らしまわりをテーマに、雑誌のライターや書籍の編集を行う。『ナチュリラ』(主婦と生活社)は創刊当初からのスタッフ。構成・執筆をした『これからの暮らし方2』『こころとからだを整える』(ともにエクスナレッジ)が好評発売中。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。