小さいけれど、圧倒的な存在感。「sumie」のボタンで楽しむおしゃれ【前編】
昨年から不定期連載でお送りしている「新人編集ツダのおしゃれ修行」。素敵なおしゃれさんを直撃し、色々教えてもらいながら成長していく新米編集のドタバタ劇を、気軽に、あたたか~く見守っていただけると嬉しいです!
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今回のおしゃれさんを紹介してくだったのは、傘選びの楽しさを教えてくださった大森商店の大森結花さん。
大森さん「宮園さんが作るボタンは、一つ一つ丁寧に作られていて、どれも繊細なデザイン。まるでアートピースのようなものも多く、いつも本当にほれぼれしちゃいます。ディテールにとてもこだわる方で、ご本人も素敵なんですよ~」
おしゃれさん情報をキャッチすると、すぐにでも取材を! ということで、今回はボタン作家・デザイナーの宮園夕加さんにお話を伺いました。
「sumie」のボタンは、パーツの領域を超える美しい佇まい
「かわいいがギュッと詰まったボタンと同じく、人柄もチャーミング」と大森さんに聞き、ワクワク気分で宮園さんのアトリエにお邪魔すると……。まず目に飛び込んできたのは、「か、かわいい~!!」とつい叫びたくなるほどに心ときめく、素敵なボタンの数々。
なじみのあるデザインから、まるでアートピースのようなものまで。「これもボタンなんですか!?」と驚きが止まりません。
3年前に服飾資材の商社を退社し、自身のボタンブランド「sumie」を立ち上げたという宮園さん。ブランド名は、おばあさまの名前をもらい、つけたのだそう。
「祖母は洋裁の仕事をしていました。『洋服づくりの全工程を終えた最後に、どのボタンが合うかな~って色々選んでいるときが一番楽しい』と嬉しそうに話すのが、とても印象に残っていて。その一言がきっかけで、ボタンデザイナーになろうと思いました」
「小さなパーツだけれど、ボタン一つで全体の印象って大きく変わるんです。洋服の魅力をさりげなく引き立てる。たかがボタン、されどボタン。そんな存在がずっと好きで、美大在学中から服飾資材の商社に勤めていたときも、そして今日に至るまで、“ボタン愛”は変わりませんね(笑)」
手芸や洋裁などが全くできないツダにとって、ボタンを選ぶという経験はほぼありません。そこで今回は、奥深いボタンの世界を教えてもらうため、宮園さんが最近スタートした「sumie」ボタンの付け替えサービスを体験させていただきました。
何だかしっくりこないコート。ボタンを付け替えると、どう変わる?
付け替えをお願いするのは、ツダが昨年の春に購入した「無印良品」のステンカラーコート。
ツダ(以下、ツ)「少し肌寒いときに何にでも合わせやすいだろうとベーシックな一枚を購入したのですが、あまり手に取ることがなく、クローゼットで眠っていました。別に嫌いなところはないのに、なぜか着たいと思わなくって……」
宮園さん(以下、宮)「そんな時こそ、ボタンを変えて、雰囲気や気分を一新するのがおすすめですよ」
「sumie」のボタンの種類は、なんと300種類以上! アクリルや貝、金属、水牛の角など、ボタンに使われる素材は様々。
宮「ボタンホールをあえて通さない大きさのものでアクセントを効かせたり、一つだけ違うデザインのボタンにして遊び心をちりばめたりするのも楽しいので、組み合わせは無限大にありますね」
ボタン選びのポイントは、生地になじむ色を選ぶこと
ツ「シンプルなものやデザイン性が効いたものを数多く見せていただきましたが、今回のステンカラーコートにつけるボタンはどのように選べばいいでしょうか?」
宮「生地になじみやすい色を選ぶと、コーディネートもしやすくなりますよ。こちらのコートであれば、この辺りのベージュのボタンはどうですか?」
宮園さんが選んでくださった候補はこの4つ。それぞれ素材は、右上から時計回りに、水牛の爪、右下・左下ともに水牛の角、左上は貝が使用されています。
宮「これらはすべて天然素材で、着色していないナチュラルな色味が特徴。同じ種類のボタンでも、一つ一つ個性があるのが魅力ですね」
宮「例えば、この大きいサイズ4つは全て同じ種類の貝ボタンなのですが、表面の趣が微妙に違っていて。裏面の右二つは貝の模様で、違いがより分かりやすいです」
ツ「よ~く見えると、確かに一つ一つ微妙に違っていますね! 形や色、雰囲気が均一でないからこそ、味わいのある佇まいが生まれるのでしょうか……。お、おもしろい! 私も天然素材のボタンにしたいです」
色々な種類のボタンをのせてみたり、袖口だけアクセントになるボタンを合わせてみたり、様々なパターンを試しているうちに「ディテールにこだわるって、とても楽しい!」と、ボタン選びの面白さに吸い込まれていきます。ただ、毎度のことですが、優柔不断なツダは中々決断することができず……。
宮「元々のボタンがついたままだと印象が引っ張られるので、先に全てのボタンを取ってみるましょう」
糸切はさみで手際よく、すべてのボタンが取られると、何とも寂しく、少し間抜けな表情に(笑)。改めて、ボタンが全体の印象を大きく左右するということを実感しました。
無限に広がる組み合わせに悩むツダと宮園さん。試行錯誤の末に決まったボタン選びの続きは、明日の後編をお楽しみに!
→後編はこちらから
photo : 有馬 貴子
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