小さいけれど圧倒的な存在感。「sumie」のボタンで楽しむおしゃれ【後編】
細かなパーツだけれども、全体の印象を大きく左右するボタン選びの奥深さにすっかり引き込まれたツダ。後編の本日は、宮園さん手がける「sumie」のボタンに付け替えることで、ツダのステンカラーコートがどのように変わるのか、ドキドキのボタン選びの続きをお送りします。
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洋服の魅力を引き立てる、ベストなボタンの組み合わせは?
元々ついていたボタンをすべて外し、宮園さんがおすすめしてくれた候補を試しにのせていきます。中央上から、貝、水牛の角、水牛の爪を素材にしたボタンが並びます。
ツ「第一印象は貝ボタンのツヤ感がかわいくて気になっていたんですけれど、実際にコートの上に載せてみると、全然ピンと来ませんね。なんでだろう……」
宮「少しキラッとした質感の貝ボタンは、ドレッシーな印象になるんです。ステンカラーコートはメンズライクなアイテムだから、どうしてもギャップが生まれますね」
ツ「なるほど! ボタンというものの性質上、単体でかわいいから選ぶのではなく、アイテムと合わせたときに一番相性がいいものを探し選ぶことが重要なのですね」
宮「そうなんです! 洋服のデザイナーさんから『こんなボタンが欲しい』とオーダーをいただいて作るとき、色々な候補を提案し、最終的に『これだ!』とアイテムにぴったりはまるボタンを見つけた瞬間が、とても楽しくて。ボタンの表情が変わるんですよ」
ツ「洋服の表情だけではなく、ボタンまでも! じゃあ、私のコートに合う組み合わせはどれになるかな~」
宮「水牛の角を使ったこちらはサラッとした質感で、シンプルかつ落ち着いた大人の表情。色も白っぽいので、清涼感もありますね」
宮「一方で、こちらの水牛の爪は表面をコーティングしているため、べっこう飴のようなつや感と透明感があり、少しかわいらしいレトロな雰囲気も感じられます」
ツ「光の当たり方や合わせる生地によって、ボタンの印象も変わりそうですね。あしらわれている小さな花もチャーミング。最初に見たときから、実は一番すてきだな~と気になっていました」
宮「津田さんの好みだろうと思い、実は元々あった水牛の爪のボタンに、小花を散らしてその上にコーティングをしてみました! 大森商店で選んだ日傘を見て“きちんと感がありつつも、ほんの少しの甘さがある”、そんなさじ加減がお好きかと思い(笑)」
ツ「ま、まさに、その通りです! 私の好みをド真ん中で当ててくださり、わざわざひと手間を加えてくださったなんて……感激です! このボタンでお願いします!」
こうしてボタンを付け替えてもらい、生まれ変わったステンカラーコートがこちら。
ボタンを変えただけで、“手放そうと思っていた一枚”が“長く大事にしたい一枚”に
じゃん! コートと同じベージュのボタンに変えたことで、以前より印象がぐんとやわらかくなりました。元々ついていたボタンはダークブラウンの暗めの色で、固く、男らしい雰囲気だったので、今の自分の気分に合わず、着る回数も少なかった、という発見もありました。
よ~く見ると白い花があしらわれているという細かなディテールを見るたびに、胸がキュンと高鳴ります。ボタンが変わるだけで“私の一枚”と愛着がわき、大事に着続けたいなと思うように。一度は手放すことも考えたステンカラーコートが、見た目の印象、着たときの気持ちともに、ここまで大きく変化するとは……驚きです!
宮「ボタンおしゃれの楽しさが少しでも伝わってよかったです! 独立をし、ブランドを立ち上げてから早3年。目指しているのは、長く共にできるボタンです。大事にものを使い続けることが、サスティナブルの観点からも一番いいなと考えているので、もしそのコートを着なくなっても、ボタンだけ取り外し、新しく付け替えてまた楽しんでもらえると嬉しいです。そんな使い方ができるのも、ボタンの魅力の一つだと思うので」
生まれ変わったステンカラーコートは、この秋絶賛大活躍中。変わったのは小さなパーツですが、コートに袖を通すたびに気分が上がり、ボタンのおしゃれの奥深さを実感します。コート以外にもシャツやカーディガンなど、気分新たに印象を変えてみるのも楽しそう! これから洋服を選ぶときは、ボタンまでお気に入りの一枚を探したいな~と、ボタンを見る目が肥えた取材でした。
⇒「sumie」ボタンのオーダーメイドや付け替えについては、こちらから
photo : 有馬 貴子
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