内田彩仍さん「家時間」vol.5 家仕事はふたつの方法を用意

「家時間」特集
2020.12.08

少し前に、長年住み慣れたマンションから、小さな一軒家に移り住んだ内田彩仍さん。住まいが変わり、家にいる時間が長くなったことで、ずっと大事にしていた「心地よく暮らす」ということに改めてじっくり向き合いながら見つめ直したのだそう。そんな日々を綴った本『家時間』から、今週、毎日1話ずつご紹介します。最終日の今日は、家仕事についてのお話です。

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茶葉と、ティーバッグ
よく飲む紅茶は、茶葉とティーバッグの両方をストック。お手軽な方法で淹れたお茶でも、美味しく飲んでリラックスしたいから、ティーバッグの説明書きはきちんと読んで、抽出時間を計りながら淹れています。

若い頃は、茶葉から丁寧にお茶を淹れたり、幾つか揃えた掃除道具を、場所ごとに取り換えながら一日中掃除をしたりと、「丁寧に暮らしている」と思える作業がとても好きでした。今よりは、心と時間に余裕があったのだと思います。

今は家で仕事をすることが普通になり、家事をする時間がままならないこともあるから、すべてを楽しみながらとは言っていられなくなりました。朝食を終えたら片づけをして、少し作業をしたらお昼になり、それを片づけて仕事の続きをしながら、ほっとするために三時のお茶の用意をして。その後、仕事や掃除をしていたら、あっという間に夕方になって……。一日は、目まぐるしく過ぎていきます。

できれば、それぞれのことを丁寧にしたいと思っているけれど、ちょっと面倒に感じる日もあります。そんな時でも、心の負担にならないよう、割り切って手早くできる方法と、いつも通り丁寧にする方法、そのふたつを用意しておくことにしました。

お茶なら、茶葉からゆっくり淹れる日と、ティーバッグで簡単に済ませる日を。掃除も、はたきから始まって掃除機まできっちりする日と、ウェットティッシュや床用のウェットシートで拭いて終える日を。

食事は一日三食作ると、どうしてもネタが尽きてくるのと、私の場合、支度に一時間ほどかかってしまうから、時には前向きに手を抜くことも大事だと思っています。そんな時にわが家でよく登場するのが、近頃は簡単に作れて美味しいものがたくさんある冷凍パスタ。気に入った調味料や野菜を添えたり、食器を工夫したり、食卓にキャンドルを灯して雰囲気を出したり。そんなひと手間を加えるだけで、ちょっと手軽な料理でも食事の時間がアップグレードするようです。

長年、習慣として家事をこなしてきたからか、どれが今のわが家に必要な家事なのかの見極めは、簡単につけることができました。取捨選択したり、少しだけ楽をする方法を用意したりすることで、心にも時間にも余裕ができ、窓の外を眺めながら緑と青空を感じたり、愛猫と遊んだり。ささやかな自分時間を作ることで、生活に潤いが生まれるようです。私にとって、家事は好きなことだから、これからも幸せに続けるための、ちょっとした工夫です。


いつも通りの掃除と、楽する掃除
掃除を一日サボると、汚れを落としにくくなるのと、気持ちもなんとなく、もやもやします。面倒な日は、ささっと拭くだけの簡単掃除に切り替えれば、自分の中で納得ができ、心も落ち着きます。



サラダを用意する日と、冷凍パスタに野菜を添えるだけの日
時間に余裕がある時は、ソースを作って、パスタをゆでて、サラダも用意して……というのが、わが家の定番の昼食。でも時には、好みの味の冷凍パスタにフライドガーリックやルッコラをのせるだけ、といった具合に、さっと作ったほうが、気分よく食べられる日もあるのです。


食事の時間を楽しむために
たわいもないことや、これからの暮らしのことなど、様々なことを話しながら過ごす食事の時間は、私たち夫婦にとって何より大切なもの。疲れているのに無理して凝った料理を作ることで、楽しい雰囲気でなくなってしまったら、本末転倒です。これからも肩の力を抜いて、やさしい気持ちで、一番大切な時間の支度をしていけたらと思っています。

『家時間』より
photo:大森今日子

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Profile

内田彩仍

Ayano Uchida

福岡県在住。夫、愛猫と暮らす。ていねいな暮らしぶりや素敵な着こなしが注目を集める。主な著書に『いとおしむ暮らし』『家時間』(ともに主婦と生活社刊)などがある。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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