第9回 ヨーロッパの春野菜・魚のハーブ「フェンネル」で、いろんなお料理にチャレンジ!

栗山さんのベルギーおいしいもの通信
2021.04.14

こんにちは、料理家の栗山真由美です。
ベルギーは日照時間が長くなりました。3月末からは夏時間に変わります。日本との時差は、現在の−8時間が−7時間になります。
そしてうれしい発見がありました。アントワープでも桜が見られるのです。私は3月のアントワープに滞在するのは、まだ2度目。昨年の1度目は新型コロナウイルスの最初のロックダウンが実施され、厳しく真面目に遂行されていた頃です。出歩く場所も限られていたので、気がつきませんでした。

友達に誘われた公園に行ってみると、桜が咲いてました! 以前、樹木園の一角では見たことがあったのですが、自由に出入りできる公園で見られるとはうれしい。その後、街中でも気にして見ると、結構あちこちで見られると知りました。日本の桜にはかないませんが、日本を感じられる要素が少しでもあるとうれしくなるものです。

さて、今回もヨーロッパの春野菜を紹介したいと思います。写真の野菜、何かわかりますか? オランダ語でvenkel(フェンコォル)、日本語では「ういきょう」と呼ばれますが、今はフェンネルのほうが聞き慣れている方が多いかもしれません。


葉先のフェンネルはハーブとして日本でも時々使っていましたが、鱗茎(フィノッキオ)の部分も食べられます。ベルギーやオランダではよく見る、一般的な野菜のひとつです。ふっくらと丸くふくらんで、色の白いものが良品です。丸ごと冷凍保存もできるそう。また、刻んでバターと混ぜて冷凍しておくと、香りを保ったまま長期保存も可。オリーブオイルと混ぜてハーブオイルとしても使えます。

このvenkelをいろんな形で調理、実験してみました。
別名「魚のハーブ」と言われるように、魚との相性が良いので、まずはサーモンのグリルに。茎の部分は、繊維に直角に切ると甘みが出ると聞き、全部横切りにしました。サーモンの下に敷くように並べ、うまみをキャッチする作戦です。



臭み消しでハーブ、具として茎を使えて便利だと思いました。ハーブは甘い香りがするけれど、味は甘くありません。辛くも苦くもなく、食べやすかったです。

でもvenkelの特徴はこの形、と新参者の私は思っていて、この形を生かした食べ方も試してみたいと思いました。苦みが出たりするのだろうか?という疑問も。そんなわけで、形が残るように厚めに縦切りにして、鶏肉その他を加えて、タジン風に。

これが、思いがけないおいしさでした。蒸し時間は15分程度でしたが、venkelがトロトロに。場所によってはとろけて、他の素材のうまみを吸ってとてもおいしくなりました。苦みもありませんでした。この味わい、何かに似ている…でも思い出せずにいたのですが、やっとわかりました。私は春先におでんを作る時、新玉ねぎを入れるのが好きなのですが、あれにかなり近いと思いました。だしがしみておいしい点も一緒です。

Venkelは生でも食べられます。薄切りにして、にんじんと一緒にラペに。Venkelの味わいをストレートに知るには、生がいいと思います。以前、インスタグラムに投稿した時も、「生でサラダが最高」というコメントをたくさんいただきました。ドレッシングもいいけれど、マヨネーズにも合いそう。サラダ麺にもトライしてみたいです。


私はタイの炒め麺、パッタイが大好き。加えて太めのライスヌードルにハマっていて、Venkelを使ってユーロスタイル(?)のパッタイを作ってみました。味つけはナンプラー、香味野菜いろいろと、仕上げに刻みピーナッツ。実験的ではありましたが、見事にタイ風の味つけにもマッチしたVenkel。使用頻度は増えそうです。

最後に、冒頭でも触れたアントワープの桜をお披露目します。こちら、アントワープ中心部からトラムや車で15分ぐらいの場所にある、Brilschanspark(ブリルスハンス公園)です。日本の桜の時期のように、そこかしこ一面の桜…とはいきません。この公園もほんの一角ですが、見つけた時はなんともうれしい気分でした。

ほかにも桜情報があるので、今年は可能な限り見たいと思っています。細かな情報などは、インスタグラムのほうでリアルタイムに更新しています。よろしければ、フォローしてくださいね。

 

*写真の無断転載はご遠慮ください*

 

【栗山さんのベルギーおいしいもの通信⑧】はこちら

 

Profile

栗山真由美
Mayumi Kuriyama


料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/  Instagram  mamicastanha

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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