第8回 春の訪れを感じる!ベルギーの特産品「ホワイトアスパラ」のお料理いろいろ

栗山さんのベルギーおいしいもの通信
2021.03.19

こんにちは、料理家の栗山真由美です。
SNSを通じて日本の様子を見ていますと、すっかり春のようですね。ベルギーも2月に非常に暖かい週があって、このまま春へと期待しましたが、まだまだです。寒暖を繰り返しています。それでも日差しが強く、日照時間が長くなりました。

さて、春の訪れを感じる野菜や料理を今回は紹介します。いくつかある中で、いちばん楽しみにしていているのがホワイトアスパラです。日本にいる頃も好物で、北海道産のものなど、入手できる範囲で楽しんでいました。でも、ホワイトアスパラは旅先のフランスやベルギーで味わったものが別格においしい。日本で食べるのだったら、フランスやベルギーから輸入したものを出しているレストラン…と思っていたのも事実。そのホワイトアスパラが特産の国に暮らすことになったのだから、十二分に楽しもうと心に決めています。

とはいえ、本当の旬は4月中旬から6月で、年によってはさらに短縮する場合もあり、のんびりしてはいられません。だいたい毎年4月中旬のイースターが終わる頃、スーパーに並び始めます。紛らわしいのは、寒冷地ベルギーでは、貯蔵野菜が結構な率で存在することです。アスパラに限りませんが、全く旬ではない時にも見ることがありますし、旬の少し前ぐらいだと、“初もの!”と飛びついてしまいそう。パック入りのものは要注意です。

そして、ご存知の方も多いですが、グリーンのアスパラのほうがビタミン類を筆頭に栄養価は高いです。グリーンアスパラも別の美味しさがありますよね。ベルギーでは、グリーンのアスパラもいつもあるメジャーな野菜ではないので、両方楽しみながらいただいていますが、ホワイトアスパラのほうがよりありがたい気がしてしまうのは、憧れの野菜だったからですよね。

旬ならではのみずみずしい味わいを楽しむなら、シンプルな料理がおすすめ。“Asperges à la flamande(ホワイトアスパラのフランダース風)“を作りました。ホワイトアスパラを茹でて、ゆで卵とバターで作るフラマンドソースでからめたものです。私は風味をなるべく生かしたくて、蒸しました。

素敵なしつらいのこちらの写真は、コース料理の前菜として出てきたもの。実は私達の結婚式のホテルでの会食でのことでした。

ホワイトアスパラの時期、レストランではこのようなメインとアスパラの料理を組み合わせたセットメニューをよく見かけました。

同じくこの時期が旬のRoodbaarsという、皮が赤い魚があります。私はこれが大好きで、“Asperges à la flamande”との相性もバッチリでした。ウチでの定番料理です。白ワインとも合います。

同じくアスパラの定番料理、スープも大好きです。


レストランでいただいた時、おもしろいお話を聞きました。この時期、どこのレストランもこぞってアスパラの料理を出すのですが、中にはインスタントを使ったり、不当に薄めているお店もあるんだそう。きちんと手作りしている証として、ミキサーでピューレ状にする時に、あえて個体を少し残すのだそう。
逆の言い方をすると、ピューレにし損なった個体が残っているのは、手作りしてる証拠!なんだそう。きっちりエッジの立った、美しいアスパラを飾り用にするのではなく、溶けかかったような、煮崩れそうなアスパラをチラリと。おもしろいと思って、ウチでも真似しています。

ホワイトアスパラを使って、日本でよく作っていたアスパラベーコンも作ってみました。おいしいですが、アスパラの繊細な味が、ベーコンの強い味に負けちゃう感じです。写真はないのですが、だし浸しにしてチラッと鰹節とか、青さのりをからませたりするのもおいしいです。


さらにホットサンドも。こちらは安定のおいしさ。マヨネーズ、マスタードも合います。


本文でも触れましたが、ホワイトアスパラの旬とイースターはほぼ同時にやってきます。今年は4月4日なので、少し早めです。ベルギーはカソリックの国なので、かなり盛大に祝います。街のスイーツショップもイースターのシンボル、たまごやうさぎ、鳥を形どったチョコレートなどであふれてにぎやかです。

 

*写真の無断転載はご遠慮ください*

 

【栗山さんのベルギーおいしいもの通信⑦】はこちら

 

Profile

栗山真由美
Mayumi Kuriyama


料理家、栄養士。枝元なほみさんのアシスタントを経て独立。ポルトガル料理を中心とした料理教室「Amigos Deliciosos」を12年前から東京で主宰、日本ポルトガル協会の公認講師も7年間務める。2019年より、イギリス人のご主人とベルギー・アントワープに在住。著書に『ポルトガル流 驚きの素材組み合わせ術! 魔法のごはん』(エイ出版)、『「酒粕」で病気知らずになる ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
https://ameblo.jp/castanha/  Instagram  mamicastanha

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

ページトップ