思わず想いを馳せたくなる服「the last flower of the afternoon」
~「文月」「道具屋nobori」よりvol.13 ~
「Story in clothes 〜衣服に物語を〜」。
着る人の日常に空気や水のように当たり前に存在し、何気ない日々をともに過ごせる様な一枚で在りたいと願いを込め、そっと隣に寄り添えるような洋服をつくり続けている 「the last flower of the afternoon(ザ ラスト フラワー オブ ザ アフタヌーン)」 。
「私たちが着てくださる方々に望むことは何もありません。また、自分たちが特別な服を作っているという感覚もありません。」と話すのは、東京から自然豊かな北海道の地に拠点を移し、ご夫婦で活動されている山田一文さんと高原万里子さん。
初めてご連絡した時から変わらない、心遣いの行き届いた謙虚な姿勢。コンセプトを伺った時、綺麗事では語れない言葉のひとつひとつがしっくりと響きました。「私たちのお届けする服たちにも、皆さんお一人お一人の想いや物語を紡いでいって頂けたら嬉しく存じます」と、そんな柔らかい気持ちで制作されていらっしゃいます。
今季の春夏コレクションテーマは「帰途」。
「以前の様な日常に帰る(戻る)という事を目的にするのではなく、自分の中にある古い価値観を壊し、周囲に流される事なく、新しい日常を発見しながら自分たちの道にしていけばいい」
まだ見ぬ日々を思い描きながら制作されたコレクションになります。
中でも、医療従事者の方々へのオマージュの意を込めて、デザインの中に制服や防護服の要素を多く引用されたのは、新しい時代を丁寧に迎え入れるお二人ならではの姿勢。
雨跡残る sleeping shirt dress ¥33,000
「雨跡残る gather shirt dress」もその一つです。デザインに込められた物語は、アイテムのネーミングにも現れています。商品名を目にするたびに、自然と想いを馳せることが、彼らの言うストーリーの始まりなのかもしれません。イメージソースとなった詩や文章の中の言葉を組み合わせ、ちょっとした想いを添える……。そんなささやかな表現もまた、独自の世界観を後押ししているように感じます。
ヴィンテージのスリーピングシャツやナースユニフォームをモチーフに、どことなくルームウェアや寝間着の雰囲気も取り入れ、特別ではない日常遣いにも役立つようにと意識されたもの。ラウンドヨークの可愛らしさと、ダーツを入れて程よくすっきりさせた女性らしいシルエットのバランスが魅力の一枚。アウターの要らなくなるこれからの時期に軽めの羽織りとしても、重宝しそうです。
ポコポコとしたなんともユニークなシアサッカー素材。その涼やかで表情豊かな素材感を実際にお手に触れて体感してください。
咲き添ふ back panel gather gown ¥42,900
17世紀後半の西洋で部屋着として流行した日本の『 kimono 』と、北欧の伝統的な民族衣装をイメージソースにしたガウンローブ。
新潟の見附産地で大正時代から引き継がれる「マンガン絣」という技法で染められた花柄は、洗うほどに生地に馴染み、先染めのように変化します。古今東西の文化と技術を繋ぎ合わせた、流行に左右されず重宝する一着です。
今回、「the last flower of the afternoon」のお洋服に合わせたのは、「méméméBROCANTE(ミーミーミ― ブロカント)」のアンティークアクセサリー。
日々の生活を丁寧に暮らしたくなる、少し豊かで上質にしてくれる、そんなアンティークを紹介し続ける生方瑞穂さん。フランスを中心にヨーロッパ各地で、古い時代から大切に受け継がれてきたものや、次の時代へ受け継ぎたくなるような宝物を買い付けられています。
可憐なデザインはもちろんのこと、長い時を経たとは思えないほど状態の美しい小物たちは、アンティークをこよなく愛する彼女だから見つけ出せた賜物。初心者でも手に取りやすい良心的な価格に、彼女のお人柄を感じます。
ぜひ「文月」の店頭で、時代を超えた一期一会を楽しんでみませんか。
text: スジノ(文月)
「文月」
住所:東京都台東区寿3-7-1
営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜日
https://fuzukikuramae.stores.jp/
instagram:@fuzuki.kuramae
「道具屋nobori」
住所:東京都台東区寿2-9-17
営業時間:11:00~18:00
https://fromafar.stores.jp/
instagram:@douguya_nobori
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