～「文月」「道具屋nobori」よりvol.4 ～

「高級で、敷居も高くて、貴族がアフタヌーンティーで使ってるもの？」

これが私の中の……、特に持ち手が細目で綺麗な柄付きの……カップアンドソーサーのイメージでした。そんな安直人間が「道具屋nobori」で働くようになってからは、「なあんだ、案外貴族じゃなくても使っていいのでは」と思えるようにまでなりました。

折角なので、「わざわざ今更買うのもなあ」と思っていた方に向け、当店から、アンティークのカップソーサーの良いところをお伝えしようと思います（※厳密なアンティークについての基準は、今回はおいておきます）。

まず、好きな柄を単品で購入できるところ。

基本五客セットのカップソーサーを好きな柄を一つから購入できるということは、いきなりセットで購入するよりもそれだけでぐっと‟距離”が近くなってくれます。アンティークはそもそも五客セットで揃っていないことが多いのですが、却って好きな柄を普段使う分だけ、気軽に選ぶことが出来ます。好きな柄だけで作る、オリジナルのティーセットなんかも、新品では味わえない楽しみ方です。

次に、今までにない柄に挑戦しやすいところ。

普段、特に無地の食器を選ぶことが多い方だと、いきなり食卓用に柄物の器となると今あるお茶碗や取り皿との色合いや雰囲気が合わなくて断念、ということも。でもカップアンドソーサーであれば、いわゆる「ご飯用」というよりも「おやつ用」なので、他の器との取り合わせを気にせず、普段選ばないような華やかなものも選びやすくなります。

そして、個人的に推したいのが、食べ物を盛る器に比べて、お茶をする時は自分で選んだお気に入りの柄を眺めながら楽しめるところ。

どうしてもプレートとなると、メインの柄は食べ物で見えなくなってしまいます。もちろん、リムやプレート自体の色も可愛いから良いんだけれど、「柄」で選ぶなら使っているときに見えるのはより嬉しいポイントになります。「やっぱり私の選んだカップ、かわいいな」と自画自賛してみたり、「案外こういう柄も今ある器に合うのかも！」と発見が有ったりもして。

ここまでカップアンドソーサーのお勧めとしてお伝えしてきましたが、「実はこれってどんな器にでもいえることだな」と書いていて思いました。

お家で過ごす時間が長くなってきた今、ちょっとマンネリかもと思った時にはカップアンドソーサーを手に取ってみてはいかがでしょうか。普段通り過ごしている時でも、綺麗なカップに飲み物を入れたら大体うれしい気持ちになる、それもおいしいお菓子と一緒なら、なおさらのこと。

いつものおやつ時間に、嬉しくて新しい時間を過ごせるかもしれません。

text: ヨシタケ（道具屋nobori）

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