9月の「今日のひとしな」は「SABI」がお届け
あっという間に明日から9月。例年より過ごし方が難しい夏ではありましたが、みなさん、どんな楽しい夏休みを過ごされましたか? お子さんの長~いお休みでお疲れの方もいるのではないでしょうか。まだまだ暑さは続きそうですが、秋冬のおしゃれ計画を立てたり、インテリアに少しずつ季節感を取り込んだり……と楽しく過ごしていきたいですよね。
9月の「今日のひとしな」は、群馬県高崎市にある「SABI(サビ)」が登場です。夫婦二人で営んでいるお店で、奥様の兼谷陽子さんがコラムを担当してくださいます。
新幹線が通り、関東最大級のファッションビルもある賑やかなJR高崎駅。そこから5分ほど歩くとお店に到着します。周辺は住宅街ということもあり、ディスプレイがパッと目を引きますね。
店名「SABI」には、古いものが好きな二人の「サビるくらい長く使ってもらえるもの、愛着を持ってもらえるものを置きたい」という想いが込められています。こちらの看板も、古道具屋さんで手に入れた鉄板に、自ら店名を描いて制作したものです。
あれ、左手のドアは2階のお店のもののよう。「SABI」の入り口は……?
「ちょっと分かりにくくてすみません!」と陽子さん。「お店を正面にして右側の路地を一歩入ったところ。ビルの側面にあります。こちらの引き戸を開けてお入り下さいね」
お店に入ると、作家ものの器、アフリカやアジア、ヨーロッパから集められた素朴な雑貨、そして昔から愛されてきた台所道具や生活道具、お茶などがずらり。「miho umezawa」「takeshi kanda」「ヤンマ産業」「R&D.M.Co-(オールドマンズテーラー)」「evam eva (エヴァム エヴァ)」などの洋服も並びます。どれもが、二人が「暮らしを通して、実際に使ってみてよかったもの」。たとえ一人がいいと思っても、もう一人が心魅かれないものであれば、お店には置かないのがルールなのだとか。
もともとは衣料や雑貨の輸入卸をしていたご主人と、まったく違う業種の会社員だった陽子さん。休日はいつも二人で雑貨店巡りをしたり、雑貨の本や雑誌を読み込んだりしていたそう。そんな「とにかく生活雑貨が大好き」という二人が、陽子さんの退社を機に「二人でできる仕事をしよう」と、16年前に高崎駅近くに小さなお店をオープンしたのが始まりです。2009年には現在の場所に移転し、「開店当初からずっと支えて下さっている」という地元のお客様はもちろんのこと、県外からのお客様にも愛されています。
「今はネットで何でも手に入るし、安価で見た目もよい物が沢山あります。でも私たちは作っている人や背景まで見えるもの、長く使えて愛着が持てるようなものをお届けしたいと思っているんです。使いすぎてボロボロになっても、ずっと手元に残しておきたいと思ってもらえるような……」と陽子さん。
洋服などのアパレル商品も、自分自身が手に取って、実際に何度も着てみて「いいな」と思えるものだけを。素材もいいものを。流行に左右されず、長く着てもらえるものを揃えています。「ご近所に住んでいる『umezawa miho』さんや、ご夫婦でされている『takeshi kanda』さんなど、小さなブランドでもコツコツいいものを作っている方を応援したいという気持ちもあるんです」
お客様は、一人でふらっと訪れる女性が多いそうですが、ご夫婦、カップルも。「みなさんじっくり商品を見ながら、ゆっくり店内で過ごしていかれます」
このところ、みなさんの“お買い物のしかた”にもちょっとした変化が見られたのだとか。「おうち時間が増えたこともあってか、『ずっと気になっていたものをやっと手に入れます』という方や、『お値段がしてもいいものを』と選ばれる方が増えてきている気がします。ポットや大きなかごなども、今までなら『もう家にあるし……』と躊躇される場面も多かったのですが、『デザインや使い心地が良いものなら』と決断されていたり。今まで以上に、みなさんの商品へのこだわりを感じます」
また、最近では、インスタグラムなどを見て来てくれる若いお客様も増えたそうで、「投稿されていた商品が気になって……と遠方から訪れてくれる方もいて嬉しいですね」
そして、オープン当初から毎週土曜日には、「それがお目当てのお客様も多い」という大人気イベントが! 「自給自足のような生活を送っている」という桐生市のパン屋「ワンネス」から届く、天然酵母パンの販売です。「お店を始める前に、ひと口食べたらあまりの美味しさに衝撃を受けて。ご自身で作った石窯で焼いた、とっても香ばしいパンなんです」。いつもすぐに売り切れてしまうそうなので、ぜひお早めに!
ショップカードのイラストにもご注目を。偶然にも、7月の「今日のひとしな」に登場してくれた「oku」のロゴ、ショップカードをデザインした、イラストレーター・haseさんのものでした!
実は、今回の連載を機に「オンラインショップをオープンすることにしました」という「SABI」。「連載に合わせて、商品をアップしていく予定です。16年目にしてやっと……という感じではあるのですが、私たちも新たな挑戦を、と思っています」と陽子さん。
「一時期はお買い物をする気持ちになれず、この状況で暗い気持ちになってしまった方も多いと思います。まだまだ大変な日々は続きそうですが、お店に来ることで少しでも気分転換になったり、楽しい気持ちになったりしてもらえたら。夫婦二人だけの小さなお店ですが、『雑貨が大好き』という開店当時の気持ちのまま、とっておきの商品を揃えてお待ちしております」
そんな兼谷さん夫妻イチ押しの31個の「ひとしな」。どんな出会いを経て、お店にやってきたのでしょうか。明日からの連載コラムをどうぞお楽しみに!
文/門谷 優
住所:群馬県高崎市通町60
TEL:027-325-0225
営業時間:12:00~17:00
定休日:火曜、水曜
http://sabi-web.com/
instagram:@sabiphoto
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。