【金子敦子さん連載】vol.7 北横岳でスノーシューを楽しもう!【前編】

金子敦子さんの大人のソトアソビ。
2022.02.10
 
 
山登りの楽しさってなんだろう?
頂上なんて目指さなくていいのです。
自然のなかで深呼吸するだけ、
ただ歩くだけ。
そのなんと豊かなこと!
さあ、山へ行こう!
 
 

金子敦子さんとともにお届けする連載、「大人のソトアソビ。」。「この冬は、初めての雪山に挑戦したい!」と金子さん。そこで雪山初心者でも楽しめる、スノーシューに挑戦することに。目ざすはスノーシューのメッカと言われる八ヶ岳連峰の山、北横岳(横岳)です。
前編では、雪山に行くにあたって必要なものを揃えるために「石井スポーツ」へ。登山歴約20年のスタッフ松井さんに、雪山での心得もあわせて教えていただきました。


訪れたのは、「石井スポーツ 吉祥寺店」。1964年創業の「石井スポーツ」は、全国に30店舗を構えるアウトドア用品の専門店で、「石井スポーツ登山学校」という、講義や山での実習で登山について学べる学校も運営しています。お店の方々も山の超人やレジェンドばかりで(世界の登山家に贈られる賞を日本人で初めて受賞した方も!)、登山者に人気が高いですが、吉祥寺店は「コピス吉祥寺」という施設の中にあり、登山初心者の女性やファミリーのお客さまが多い店舗。約500坪のスペースに「ザ・ノース・フェイス」や「ミレー」、「コロンビア」などのメーカーのショップも並び、かなり見ごたえがあります。


今日、雪山の装備についてお話してくださるのは、シューズコーナーの責任者でもある松井晴香さん。「“ザ・山男”みたいな方がいらっしゃるかな、と思っていたので、かわいらしい女性でびっくり」と金子さん。松井さんは出版社やアウトドアブランドを経て、「もっと山を極めたい!」と石井スポーツに入社。学生時代から登山が趣味でしたが、雪山に登るようになってから、そのむずかしさやおもしろさによって、さらに山にのめり込んでいったそう。



まずは、サングラスまたはゴーグル。松井さんいわく、「白い雪面は、太陽光が反射して雪目になりやすいので必須です」。天気のいい日はサングラス、吹雪の場合はゴーグルを。
「特に雪山では、顔の凹凸に合っていることが大事。合っていないと光が入ってしまって、意味がなくなります。また可視光線透過率(どれだけ光を通すかを示す数値)が10~30%はあるものを。低いほうが光を遮ることができますが、暗くて見えにくくなってしまいます」。
レンズの色は、天気がいい日は暗めのもの、悪い日は明るめのものが適しているそう。
金子さんが「ポップでキッチュな感じ!」と手に取ったのは、アメリカのブランド「グダー(goodr)」。ギラつきを防止する偏光レンズが使われてるのに、買いやすい価格で人気だそう。
「どれにしようかな」


次の必需品はグローブ。以前、長時間、雪山にいて指先の感覚がなくなったことがある私、ライター増田も、頼れるグローブを探していました。



防水と保温ができるナイロンや中綿のグローブの下に、ウールやフリースなどの薄手のインナーグローブをするのが定番ですが、最近はインナーが備えつけられた一体型のグローブが人気だそう。でも、価格はだいたい1万円前後と少し高め。

「雪山に行く頻度を考えると……」と悩む金子さんに、松井さんが差し出したのは「テムレス」の“01winter”。防水性を持つポリウレタンがコーティングされているので水が侵入しないのに、透湿性があるので、汗などの湿気を放出できて蒸れにくい一品。軽くて、しかも2190円とお手頃価格! さっそく試す金子さん。「内側はフワフワした素材だから、あたたかそう!」。ふたりともすぐに購入を決めました。
「濡れたり、片方落としてしまったりする可能性もあるので、もし余裕があれば、予備もあると安心。保温性と耐久性は下がりますが、スキー用のグローブでも代用可能です」


そして、次はゲイター。ゲイターとは、靴と足のすき間を覆い、雨や雪、小石や砂などが侵入するのを防ぐ道具です。「短いのが雨用で、長さがあるのが雪山用。ある程度、雪が積もっていると、長さがないと靴に雪が入ってしまうので、ぜひ雪山用を。生地も厚くて丈夫です」


あると重宝するのはネックウォーマーで、人気は多くのアスリートも愛用している「バフ(Buff)」というスペインのブランド。ウール100%、UVカット効果や防虫効果があるものなど、素材も、色柄も豊富です。「冬でも動くと暑くなるので、薄手がおすすめ。『バフ』は薄くてもあたたかいし、長さがあるので鼻まですっぽり隠せます。ヘアバンドなどにアレンジできたり、普段も使えるので、一枚あると便利ですよ」(松井さん)。

またウェアは「スノーシューは運動量が多いので、夏山以上に汗をかいたり、体力を使うことがあるので、体温調節がしやすいものを身につけて」と松井さん。


インナーのおすすめは、汗で体が冷えるのを防ぐ「ミレー」の「ドライナミックメッシュ」というメッシュタイプ。「見た目はインパクトがあるけど、よさそう!」と金子さん。行く場所や時期、当日の気温によっても変わるそうですが、これを着て、汗を吸うメリノウールなどのTシャツ、フリースやダウン、ハードシェルジャケットを重ねるといいそう。
「靴は、そこまで長い時間いないようなら、いつも履いている、通年使える登山靴で大丈夫。ただ、スノーシューのベルトが食い込んでも痛くない硬さが必要です。」



雪山は気温が低く、ガスバーナーが使えないことがあるので(ガスの気化熱によってガス缶の温度が下がり、ガスが気化できなくなる)、水筒持参がベスト。「『サーモス』の“山専ボトル”(右の2本)なら、朝、沸かしたお湯を入れておけば、日中はあたたかい状態が保てますよ」。「凍らないので、行動食におすすめ」という羊羹も、様々な種類が揃っていました。


本日、金子さんが購入したのは、サングラスとグローブ。「オレンジのサングラス、ちょっと冒険しちゃいましたが、気に入りました。グローブは帰省先の札幌で、雪かきにも役立ちそう」。
「やっぱりプロの豊富な経験に基づくお話は参考になりますね。山道具は、その時々の状況に合わせて慎重に選ぶ知識が必要だと感じました。買い物に行ったら、どんどん質問するのがいいと思います!」

明日の後編では、万全の装備で、いざ北横岳へ!


text:増田綾子


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石井スポーツ 吉祥寺店

TEL:0422-23-7740

Profile

金子敦子

Atsuko Kaneko

主婦。夫と娘との3人暮らし。看護師を経て日々の着こなしを自撮りで紹介するブログ『命短し恋せよ乙女★50代の毎日コーデ』をスタート。「あっこたん」の愛称で親しまれる人気ブロガーに。著書に『新 大人の普段着』(主婦と生活社)『お母さん、その服なんとかしよ!毒舌ムスメのファッションチェック』(飛鳥新社)がある。
Instagram:@55akotan

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