内田彩仍さん 「秋 ~シンプルな着こなしの練習~」
久しぶりに着こなしと日々の暮らしをテーマにした新刊『季節の暮らしと服支度』を出版した内田彩仍さん。発売後すぐに重版が決まったこの本には、「こんなふうに季節を感じたい!」「自分を見つめるきっかけになりました」など、読者の方からたくさんの反響をいただいています。そこで、「まだ読んでなかった!」という方のために、今週はこの本を大特集。春・夏・秋・冬のお話を少しずつお見せしますね。
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「シンプルな着こなしの練習」
子供の頃から、服を買いに出かけるときは、
胸躍らせていました。
中学生になってからは、
服を作ることも楽しみになり、
その頃から装うことは、
毎日を幸せにしてくれることの
ひとつになりました。
それが、何年か前から、
服を選ぶことを億劫に感じるようになって。
たぶん「自分が好きな服=似合う服」では、
なくなったのでしょうね(笑)。
それから少し経った今、
また、おしゃれが楽しいと
思い始めています。
以前とは、着こなし方も、
違ってきました。
たとえば、ナチュラルな雰囲気の服も、
トラッドに寄せて、歳相応の印象にとか。
重ね着の中の一枚だと思っていた、
飾り気のないシャツも、
一枚で身につけたら軽やかで、
心地よくいられるとか。
手持ちの服も、そういう目線で見直すと、
新しい発見がたくさんありました。
薄手のニットとパンツだけの、シンプルな組み合わせ。きりりとしたモノトーンが大人らしく感じます。
ただ、二十年以上も
重ね着することを楽しんできた私には、
シンプルな着こなしは、
心もとなく感じるのも事実。
帽子や日傘などの小物の力を借り、
自分らしい装いを探しながら、
まずは「近所に買い物」から
練習を始めています。
秋は一番おしゃれしたくなる季節。
気候もよく、組み合わせる服の数も
少なくて済むから、
シンプルな着こなしを勉強中の私には、
ちょうどいいのです。
きっと、若い頃は、
重ね着したり小物に工夫をしたりという
“おしゃれをしている印”
のようなものがないと、
もの足りなかったのでしょう。
近頃は、自分の見た目の変化にも気づくから、
さらりと装うほうがいいと思っています。
好きな服を着るだけで、
気持ちが明るくなったり、
勇気づけられたり。
それは、幾つになっても変わらないから、
シンプルに装いながら、
颯爽と歩ける人になれたなら、
自分を好きでいられそうな気がします。
シンプルな着こなしのポイントになる晴雨兼用の傘。シックな色合いの長傘が、上品な感じがして好きです。
photo:大森今日子
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Profile
内田彩仍
福岡県に、夫と愛猫クリムと暮らす。丁寧な暮らしぶり、センスある着こなしや手作りが雑誌やイベントで人気を集める。著書に『季節の暮しと服支度』(主婦と生活社)、『重ねる、暮らし』(マイナビ出版)などがある。
肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。