シンプルな日用品こそ、インドブラス(真鍮)を

今日のひとしな
2022.12.20

~「LIFETIME」より vol.20 ~


金属全般には無機質で冷たいイメージがありますが、真鍮はなぜか温かみを感じませんか? 

本日ご紹介するのは、経年変化が美しいインドブラス(真鍮)のアイテム。ブランド名もなく、特別なことは何も施されていないシンプルな日用品です。


(右が新品、左は二年で色味が落ち着きはじめた状態)

真鍮に限らず、銅やブリキにも同じ要素があるのですが、新品のピカピカの状態より黒ずんだ状態のほうが、温かみや優しさを感じます。

真鍮は銅の合金でもあり、酸化銅という皮膜に覆われる現象が黒ずみで、汗や水分によって「緑青(ろくしょう)」が出てきてしまうこともあります。錆の一種ですが内部腐食を防ぎ抗菌力もある不思議な錆。五円玉や鎌倉の大仏、アメリカの自由の女神像なんかもそうですが、この緑青によって腐食から守られているわけです。


(フランスのヴィンテージ銅製バケツ。緑青で綺麗に覆われた真鍮ハンドル)

こういった変化は使い手の扱い次第で風合いの変化が異なります。言い換えると、時間が経つほどにオリジナリティやアイデンティティーが刻み込まれるのですね。つまり、長く使い続けるほどに愛着が湧くわけですよ。黒ずみ過ぎたら、重曹やお酢などで簡単に磨けるのも、真鍮の良いところです。ちなみに、赤錆は劣化が進んでしまうので見つけたらすぐ除去してくださいね。


12/5「マッシュルームブラシ」記事に写っているコーヒーメジャーもインドブラス。持ち手の色が変わってきてニンマリ)

本来、当店は‟メーカーの想いの代弁者”でありたいので、ブランド名のない商品は当店では少ないかもしれません。作りのこと、機能とその作用を解説するのが、関わる全ての人への配慮だと思っている節があります。ただ、「それって本当に必要なの?」「作り手や売り手の思いなんて、使う側にはたいして意味のないことでは?」なんてことをいつも考えたりもするので、たまに、こうした名もなき逸品を販売したりしています。天邪鬼なだけですかね(笑)。


(アフリカのブラスリングや、ある部族のニッケルバングル)

ところで、コロナ禍以降、ヨーロッパ買い付けの輸入業は諦めざるを得ない状況ですが、不幸中の幸いと言いますか、逆手に取ってインドやアフリカのブランド名のないものをたくさん販売するようになりました。


(インドのカンタ。ヴィンテージの質感や色味は別格。実物を見て欲しい!)

新品が多い店内に、ヴィンテージやワンユーズドのものも増えてきました。母方の実家が京都西陣の機織りで、母は手芸の講師。なので私自身も織物や刺繍に目がなく、布物も「これぞ!」というのがあれば店頭に並べています。まだまだ世界には素敵なものがたくさんあるので、小さなお店なので少しずつですが、これからもご紹介していこうと思っています。

 

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LIFETIME/ライフタイム(京都)

住所:京都市北区紫野上築山町21
電話:075-415-7250
(※少人数での運営の為、お電話に出られない時があります)
営業時間:13:00~17:00
定休日:水曜、日曜
HP : https://lifetime-g.com/
instagram:@lifetime.kyoto

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