いつまでも共に過ごしたくなる　イッタラの名作グラス

～「free design」より vol.07 ～

ラップランドの氷が融ける様子にインスピレーションを得てデザインされたという、イッタラの名作「ウルティマ ツーレ／Ultima Thule」。
初めてこのグラスを目にしたときの胸の高鳴りは、今まで多くの食器類を目にし、触れてきた中でも一番と言ってもいいかもしれません。そのくらい、ただただ美しく、思わず見入ってしまう魅力があるのです。

つぶつぶ、ざらざらとしたレリーフに、まるでつららのような脚。
その姿は、まさしく本物の氷が溶け出そうとしているかのよう。北欧の厳しい寒さや大自然のイメージとも重なり、神秘的な雰囲気すら感じます。
そして、この独創的なレリーフをつくり出すための吹き技法が完成するまでに、何千時間もの時間が費やされたということにも圧倒されます。

そうそう。こちらのグラス、飲み物を入れてないときの佇まいももちろん美しいのですが、入れたときの様子といったら、それはもう本当に見飽きることがありません。
昨夏、自家製のしそシロップを炭酸で割ったジュースをこちらに入れて、毎日のように飲んでいました。
ピンク色のジュースがグラスに透け、夜の食卓に影を落とす様といったら、それはもう美しくて。
大げさかもしれませんが、こんなに美しいグラスを毎晩使うことができるなんて、もしかしたらどんな宝石を持つよりも贅沢で幸せなことかもしれない……なんて思ってしまいました。

私の密かな夢は、今はもっぱらジュースやお茶などを飲んでいるこのグラスで、いつかとっておきのウイスキーを飲むこと。
子育てや仕事がひと段落して、自分の人生をゆっくり振り返るような年齢になったとき。
このグラスでちびりちびりとウイスキーを飲んでみたい。
そんな付き合い方ができたら、きっと素敵だなあと思うのです。
まさに一生もののグラスです。

■ウルティマ ツーレ（イッタラ／iittala）

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