大流行した玩具のあだ名を持つ、ゆったり過ごせる椅子【天童木工】イージーチェアT-7304

令和の家具事典
2024.11.22

※Come home! webに掲載された記事を転載しています

 

#21
イージーチェアT-7304 ダッコちゃんイス
大胆な中にも愛嬌が感じられる世界的建築家の椅子
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「世界のタンゲ」とも呼ばれ、国内のみならず海外の建築界でも活躍した丹下健三氏。戦後日本建築界の黎明期を支え、多くの名建築を手掛けたパイオニアです。特に戦後の復興から高度経済成長期にかけて多くの都市計画等の大規模プロジェクトを担当しました。
丹下氏は自身が設計した建築のインテリアデザインを剣持勇氏に依頼することが多く、香川県庁舎(1958年)や国立代々木競技場(1964年)、東京カテドラル聖マリア大聖堂(1964年)など、多くのプロジェクトで協働を果たしており、絶大な信頼を寄せていたことがわかります。
後に重要文化財に選定された香川県庁舎では当社も多くの家具製作を担当しました。それらの家具も含めて文化財に選定されるという喜ばしいニュースも届いています。

世界的建築家が見初めた成形合板

一方、剣持氏が関わる以前は丹下健三氏自身が家具のデザインを手掛けていました。天童木工が初めて丹下氏の仕事に携わったのは1953年に竣工した「愛媛県民会館」の観客席用椅子1400脚の製作を請け負った時でした。丹下氏の建築では初期の傑作の一つに数えられ、日本建築学会賞も受賞しています。
当社にとっても初の巨大プロジェクトで、1台しかない成形合板の機械を昼夜動かして製作にあたったと伝えられています。技術的には初期段階ともいえた成形合板ですが、ここで丹下健三氏という大建築家に見初められたことで、その後も東京都庁舎(旧丸の内庁舎、1957年)や静岡市体育館(旧駿府会館、1957年)、旧草月会館(1958年)など、多くの建築で家具製作を担当していくこととなります。


静岡市体育館(旧駿府会館、1957年) 約3,000脚もの椅子を製作



大ヒットした玩具の名があだ名になった椅子

今回紹介するイージーチェアがデザインされたのは1957年、繊維事業を展開していた艶金興業の本社事務所として建設された「墨会館」を丹下氏が設計した時で、その後も多くの丹下氏の建築に納められました。
1枚の合板を脚先から肘掛けまで立体的に曲げた豪快なデザインで、まるで座る人を抱きかかえるように作られたその形状から、1960年代に大ブームを巻き起こした玩具の名前を取って「ダッコちゃんイス」のあだ名で呼ばれていました。
当時は規格品化せず、しばらく特注品の扱いで製造されていましたが、年月を経た2010年に丹下都市建築設計監修のもと新製品として発売。立体的でボリューム感あふれる形は当時のまま再現されています。


墨会館に納められた「ダッコちゃんイス」(1957年)

高度な技術が織り成す彫刻的なフォルムは座り心地も格別。座面のクッションに厚みをもたせ、やや硬めに設計したことで、身体への負担が軽くなり、疲れにくい椅子に仕上がっています。
ロビーやラウンジだけでなく、リビングルームなど、使用場所は様々。ゆったりと過ごすことができます。


丹下健三氏らしいボリュームのあるテーブル

イージーチェア「ダッコちゃんイス」が生まれた墨会館では、建築に合わせてテーブルもデザインされています。豪快さも感じられる厚みのある天板と、脚先に向かって細くなっていく円錐型の脚部はスタイリッシュさも演出します。丹下健三氏らしさが光る存在感のあるテーブルです。
こちらもイージーチェアと同じく2010年に発売しました。L字型のテーブル2台で一対とし、組み合わせ次第で様々なレイアウトをお楽しみいただけます。


イージーチェア:T-7304KY-NT

https://shop.tendo-mokko.co.jp/shopdetail/000000000366/
サイズ:W757 D684 H753 SH400 (mm)

テーブル:T-6823KY-NT
https://shop.tendo-mokko.co.jp/shopdetail/000000000338/
サイズ:W2250 D695 H390 (mm)

■丹下健三
1913年 大阪府に生まれる。
1938年 東京帝国大学(現、東京大学)工学部建築学科を卒業。ル・コルビュジェに傾倒し、その教え子である前川國男の建築事務所に入る。
1941年 東京大学大学院に入学し、1946年から1974年まで母校で教鞭を執り「丹下研究室」を主催。磯崎 新氏や黒川紀章氏など、多くの優れた人材を育成した。
剣持 勇氏とのコンビで、国立代々木競技場など数多くのビッグプロジェクトを手掛けた。
丹下氏が手掛けた旧東京都庁では議場家具を始めとした数多くの家具を天童木工が担当した。

 

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天童木工

1940年に山形県天童市で創業。無垢材よりも強く、軽く自由な形に成形できる「成形合板」を日本でいち早く実用化し、デザイナーや建築家といったクリエイター達との協同によって多くの名作と呼ばれるロングセラー家具を生み出してきました。その実績は一般家庭から、企業の上級エリア、中央官庁まで多岐にわたります。熟練の職人技と豊かなデザインは確かな品質と快適な暮らしをお届けいたします。

 

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