“鹿の角”の由来になったフレームで抜群の安定感【天童木工】T-5039 アントラー

令和の家具事典
2024.11.25

※Come home! webに掲載された記事を転載しています

 

#24
T-5039アントラー
枝分かれのフレームが印象的な椅子
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「鹿の角=アントラー」の愛称を持ち、丸みを帯びたフォルムが印象的な椅子。フレームの形状が鹿の角のように見えることから、後になって名付けられたものです。


はじめはホテルのレストランのためにデザインされた

この椅子がデザインされたのは1964年のこと。建築家・坂倉準三氏が設計したホテル三愛(現・札幌パークホテル)のレストランで使用する椅子としてデザインされました。
ホテル三愛は同年開催予定の東京オリンピックを見据えた国内観光ブームを想定し、観光都市札幌の中核を担う場として期待されたホテルでした。
坂倉準三氏の建築に共通する青色の外壁タイルが特徴で、特に冬に雪が積もった際の白と青のコントラストの美しさは目を見張るものがあります。


レストランに置かれたアントラー


もうひとつの名作「めがねイス」

世界的建築家のアルネ・ヤコブセンが1960年に設計した、デンマークのSASロイヤルホテルに影響を受けたといわれ、同ホテルのロビーにエッグチェアが置かれたように、ホテル三愛のメインロビーには「めがねイス」という硬質発泡樹脂を用いた椅子がいくつも設置されました。
この椅子もまた天童木工が製作を担当し、当時最新鋭の家具づくりが落とし込まれています。
「めがねイス」はその後長らく規格品として製造していましたが、生産上の課題もあり現在は廃番となっています。


ロビーに置かれためがねイス

 

美しさと強さを実現する「コマ入れ」

さて、アントラーに話を戻します。特徴は何といっても、愛称の由来にもなっている左右のフレームです。背もたれの後方から、前後の脚に向かって分岐する形状はまさに鹿の角を思い起こさせます。
この分岐形状は当社が最も得意とする「コマ入れ」という成形合板の技術を用いたことで実現しています。成形合板に小片の「コマ」と呼ばれる材料を組み合わせることで、接合部のない一体型の分岐形状を作ることができます。
部材同士の接続がなくなることから強度が高まり、無垢材では難しいスリムなフレームが実現可能となります。


1970年代のカタログより

立ち上がりの時に両方のひじ掛けに体重をかけていただくと、その強固さを感じていただけると思います。バランスを崩すことなく次の行動に移ることができる安心感から、ご家庭だけでなく病院や老健施設等での採用も多く、身近なところで活躍する椅子のひとつとなっています。


アントラー アームチェア:T-5039NA-ST, T-5039WB-NT, T-5039NA-BW
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https://shop.tendo-mokko.co.jp/shopdetail/000000000237/
https://shop.tendo-mokko.co.jp/shopdetail/000000000481/
材料:ナラ / ホワイトビーチ
サイズ:W580 D610 H835 AH640 SH430 (mm)

アントラー チェア:T-5320NA-ST, T-5320WB-NT, T-5320WB-BW
https://shop.tendo-mokko.co.jp/shopdetail/000000000247/
https://shop.tendo-mokko.co.jp/shopdetail/000000000248/
https://shop.tendo-mokko.co.jp/shopdetail/000000000431/
材料:ナラ / ホワイトビーチ
サイズ:W540 D610 H835 SH430

■坂倉準三
1929年単身でフランスに渡り、パリの専門学校で建築の基礎を学び、1931年から1936年まで、世界三大建築家の一人であるル・コルビュジエのもとで都市計画や住宅設計に携わる。1940年に坂倉準三建築研究所(現・坂倉建築研究所)を設立。戦後は、神奈川県立近代美術館(現・鎌倉文華館)や、国立西洋美術館(前川國男、吉阪隆正との3名による共同設計)などの建築作品から、渋谷東急会館といったターミナルデパート、新宿駅西口広場といった都市計画など幅広い仕事を手掛ける。

 

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天童木工

1940年に山形県天童市で創業。無垢材よりも強く、軽く自由な形に成形できる「成形合板」を日本でいち早く実用化し、デザイナーや建築家といったクリエイター達との協同によって多くの名作と呼ばれるロングセラー家具を生み出してきました。その実績は一般家庭から、企業の上級エリア、中央官庁まで多岐にわたります。熟練の職人技と豊かなデザインは確かな品質と快適な暮らしをお届けいたします。

 

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