【令和の家具事典】5月の担当ショップは「クラッシュゲート」。ファッションや音楽のように「暮らしを彩る家具」を提案

令和の家具事典
2024.03.01

※Come home! webに掲載された記事を転載しています

昭和の時代は、家具は女性が家財として持っていく「婚礼家具」が主流でした。では、住まいの形も考え方も変わった「令和」の今、どんな家具が私たちの暮らしにフィットするのでしょうか? 今日から1カ月の間、インテリアショップ「クラッシュゲート」に、おすすめのアイテムはもちろん、家具選びやコーディネートのコツをご紹介いただきます。

家具の歴史的産地・福岡県大川市で生まれた
家具ショップ「クラッシュゲート」

「クラッシュゲート」は、福岡県大川市で創業した「関家具」が営むインテリアショップで、今では日本全国に16店舗を構え、オンラインショップも人気を博しています。大川市は、古くは室町時代から家具の生産を担ってきた日本有数の「家具の町」。大分県の日田で伐採された木材が筑後川を下って運搬され、有明海に面した大川にたどり着いたことから、大川の船大工たちが指物師として家具を作ってきた歴史があります。

「数百年の家具作りの歴史を紡ぐこの土地で、昭和43年創業の『関家具』は未だ新参者なんですよ」と話してくれたのは、「クラッシュゲート」のブランドプロデューサーを務める森さん。もともと大川は、洋服だんすや食器棚を主とした「婚礼家具」で有名でした。古くからのメーカーや卸売店が軒を連ねる中、その新参者が「婚礼家具」を仕入れるのが難しかったという事情もあり、当時はまだ需要の少なかった「脚付き家具」と呼ばれるテーブルや椅子などを仕入れて販売していたといいます。

「関家具」は90年代には輸入家具からオフィス家具まで扱う商社に成長。そうした環境のもと2005年ごろ、当時まだ若手社員だった森さんが、「好きな服や音楽と同じように、愛着をもてる家具を作って販売したい」と企画し、立ち上げたのが「Easy Life」というブランドです。それがCRUSH CRASH PROJECTという大きなブランドに発展し、2013年にブランドの直営店「クラッシュゲート」がオープンすることになります。

「作るものをどんどん変えて、新しいものを作っていきたいという、現会長の思いとマッチしていたんでしょうね」と森さん。

クラッシュゲートのコンセプトは「壊すことで生まれる何か」。そこには、「こうあるべき」というルールや固定概念に縛られず、暮らしにユーモアを加える心躍るもの、好きなものを自由にミックスする楽しさや個性的でカジュアルな心地の良い暮らしを発信しようという思いが込められています。

「まるでインテリアバイヤーが、あちこちのガレージセールで掘り出しモノを探すような感覚でショッピングを楽しむ事のできる空間を提供できれば、と考えているんです」。

木や革、布など経年変化する素材で
「使い込むほど味のでる家具」を作る

「まずこだわったのは、素材選びです。立ち上げ当時の家具は“経年変化”しないものが主流でした。たとえば、家具はウレタン塗装仕上げ、革もオイルレザーでなく表面塗装がされたものといった具合。そこを変えたくて。木材は木目と手触りを損なわないオイル仕上げに。革もオイルレザーにこだわって。経年変化が生まれるものを集めて商品開発をしました」。

経年変化を伴う素材は一般的に手入れが大変なイメージがありますが、あえて挑戦したのはどうしてだったのでしょうか?

「ものに愛着がわく瞬間って、買った時より5年~10年かけて使っていく過程にあるでしょう。日々を一緒にすごし、そのなかでついた傷にサンドペーパーを当てながら、年に数回ワックスを塗りながら…という先に愛着が育つと思うんです。だから、手をかけながら愛着を育てる家具を売りたくて。必然的に『家具とどう付き合っていくか』を説明しながら販売しなくちゃならないから、ショップではそこも大切にしています」

初期の代表作「オピアムソファ」が
「月9」ドラマのセットに採用され大ヒット


「ユニークな家具に出会ったときのハッとした気持ち、素敵だなと思う気持ちを大切にして、ときめくようなアイテムづくりを心掛けています」という森さん。その初期の代表作になったのがオイルレザーを使って仕上げた「オピアムソファ」です。

このソファが出来上がったのは15年前のこと。「使い込むほど馴染んでくるオイルレザーと良質なファブリック、曲線的で包み込まれるような形状、そして背中側から見たときの美しさにこだわりました。LDKを広くとる家がふえていたから、ソファの置き場所も壁際からリビングの中央へと変わってきていて。だからどこから見ても美しい形にしたかったんです」。

売り出して1年くらいは大きな反響はなかったといいます。実は、当時「関家具」が扱うソファの平均価格にくらべ、オピアムソファは25万円~30万円と高価だったのがその理由。「長く愛せる家具を作るためには、品質のいい素材と高い技術が必要です。そのためには価格面で妥協すべきではない。きっとこのよさが伝わると信じていました」。

転機は思わぬところからやってきました。2012年、フジテレビ系の「月9」枠で放送されたドラマ『リッチマン、プアウーマン』(出演者:小栗 旬/石原さとみ ほか)のセットに「オピアムソファ」が採用されたのです。その後、同局の『リーガルハイ』(出演:堺 雅人/新垣結衣)でも再び採用。これをきっかけに問い合わせが殺到し、一躍人気商品となりました。

 「何より、オピアムソファの真価を、プロのスタイリストが認めてくれたことがうれしかったですね」と森さん。これを皮切りに「クラッシュゲート」は広く認知され、その後次々と代表作が生まれることになります。

「クラッシュゲート」を代表する人気家具が続々誕生

「ABCチェスト」は古家具やインダストリアルインテリアが流行したころからの人気商品。「蚤の市や古道具店で目にする活版印刷の“版”をイメージして、前面に凹凸のあるアルファベットをあしらいました。廃材を再加工して作っています。作られた古さじゃなく、素材のもっている表情を引き出したものを作ってみたかったんです。実は、オピアムソファ以上に、『クラッシュゲート』を一般に広く認知していただくきっかけになった商品です」。

日本の“水屋(食器棚)”と西洋の“チェスト”、二つの機能性とデザインのいいとこ取りをしたのがこの「ジョーカー」シリーズ。「背板には古材を使い、塗装を剥いでヴィンテージ風に仕上げてあります。新しい材料でヴィンテージ風の家具を作ってみようと試みた最初のアイテムです」。

「アトランダム」シリーズは、ここ3~4年で生まれた商品。造作家具のようなクオリティで、パーツを選んでセミオーダーできるユニットシリーズです。シンプルさやナチュラルさを求める人に向けて作ったアイテムで、今とても人気だそう。

「クラッシュゲート」はインテリアの実験場所


実験場とは、具体的にどんな意味なのでしょうか? 

「『クラッシュゲート』はたくさんブランドをもっています。
例えば、Knot antiquesEasy LifeNOR…などです。それに加えて、うちはスタッフが皆こだわり屋。服、音楽、アウトドアなど、それぞれの趣味を徹底的に掘り下げるタイプがそろっています。そういった環境だからか、新しいものが生まれやすいんです。ブランドごとに個性は違っても、素材感には共通点があったり、主張が強すぎないようにという点は気をつけているので、インテリアの中でミックスしても不思議とマッチします。そういう意味で、クラッシュゲートは新しいインテリアを生み出す実験の場とも言えます」。

「クラッシュゲート横浜みなとみらい店」
リアルショップで家具を選ぶメリット

横浜・みなとみらいにある旗艦店は、広さ120坪を誇る関東最大の店舗です。「クラッシュゲート」の商品のほとんどを取りそろえているから、とにかく見ごたえたっぷり。
「お客さまが自分の“好き”を見つけられる空間なんじゃないかと自負しています」と話してくださったのは、マネージャーの山﨑さん。オンラインショップでも家具を購入することはできますが、ショップに足を運ぶメリットもあると言います。



オンラインショップでもお買い物はできますが、実店舗に足を運ぶメリットとは何でしょうか?

「店舗でアイテムを見ていただくよさはいろいろありますが、一番は、実際の素材感を目で見て確かめていただけること。素材にこだわっている家具が多いですから。複数のアイテムを組み合わせたときのイメージも、実物を見ればつかみやすいです。たとえば、テーブルの高さと椅子の座面のバランスなんかは、実際に合わせて体感してもらえるので失敗がありません。スタッフに声をかけていただければ、組み合わせのご提案もしています」

好きな家具を手入れして長く愛用するために

このほかにも、ショップでは家具の手入れの仕方なども詳しく教えてもらえます。「壊れたり、張り替えたりといった、家具の修繕も承っているので、何年か使ってメンテナンスしたい場合もぜひ相談にいらっしゃってください」。写真のように家具のメンテナンスキットも取り扱っているので、家具の購入の際一緒にそろえておけるのも安心です。

さっそく明日から1カ月間、「クラッシュゲート」のアイテムやコーディネートについてご紹介いただきます。
新居の家具選びに迷っている方、必見です!

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「クラッシュゲート」横浜みなとみらい店
〒2310062 神奈川県横浜市中区桜木町1丁目1-7
ヒューリックみなとみらい コレットマーレ 4F
電話番号:045-228-9163/営業時間:11:00~20:00
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