〜陽射しに備える「盛夏」の献立〜 茂田正和さん 食べる美容 料理教室vol.2 レポート【前編】

食べる美容 料理教室
2024.08.08

健やかで美しい肌を保つライフスタイルをデザインする、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんは、プロの料理人も思わず唸るほどの料理の腕前の持ち主。著書『食べる美容』(主婦と生活社)では、季節ごとの肌悩みをケアする美容養生食を提案し、レシピ作成から調理まで担当。そんな茂田さんが自ら講師を務める料理教室が合羽橋の『釜浅商店』イベントスペースでスタート!耳寄り情報満載のレクチャーの様子を、不定期連載にてお届けします。



書籍『食べる美容』(主婦と生活社)の著者であり、化粧品『OSAJI』のブランドディレクター 茂田正和さんが養生食の料理講師に!実践を通じて、書籍の内容をより深く理解できる料理教室が始まりました。第2回目のテーマは、“陽射しに備える「盛夏」の献立”。会場は今回も、茂田さんが足繁く通ってたくさんの料理道具を揃えたという合羽橋の『釜浅商店』です。

「暑くて、そしてビールが美味しい季節になりました!」と、参加者の皆さんをにこやかに迎えた茂田さん。すぐにトークは紫外線が肌に与える影響の解説に移り、化粧品開発者の目線から対処策についてもわかりやすく教えてくれました。

「肌の老化の原因って、年齢によるものは実は2割なんです。残りの8割は光老化、つまり紫外線ダメージによるもの。紫外線を浴びると増えるメラニン色素を大敵!と思っている人は非常に多いのですが、メラニン色素は肌のハリや弾力を担っている真皮層を、遮光カーテンのように紫外線ダメージから守ってくれているのです。なので、メラニン色素の生成を抑制することを目的とした美白化粧品について、使うタイミングが大事です」

茂田さん曰く、美白化粧品を使うなら、紫外線が弱くなる秋本番から冬の間に使うのがおすすめだそう。


「メラニン色素の急増によるシミを避けたい、という人はまず一年を通じてUVケアを習慣にしましょう。とくに4月末のGWあたりからは、夏と同じくらい紫外線が強いので、美白コスメは控えて保湿とUVケアに力を入れたほうが良いと思います」

「肌のターンオーバー機能というのはとても優れていて、この機能がきちんと働いていれば、つくられたメラニン色素はきちんと排出されます。いつでも望ましいのは、シミができてから美白化粧品をがんがん使うよりも、常日頃から適切な洗顔と保湿によるターンオーバーの正常化とUVケアを心がけ、メラニンが肌表面に残らない状態をキープすること。そのためには、食べ物でのケアを併せるとより効率が良いんです」


ポイントは2つ。紫外線を浴びると発生する、真皮層のコラーゲンにダメージを与える活性酸素を防ぐための「抗酸化」、そして肌のターンオーバーがスムーズに行われるための「代謝アップ」。これらを踏まえたのが今回の献立で、主菜は太刀魚の南風咖哩、副菜は砂肝と夏野菜のチョップドサラダ、主食が焼きとうもろこしのご飯、一汁はとろろ昆布ときゅうりの冷製スープというラインナップです。

 

太刀魚の南風咖哩

食欲を刺激するミックススパイスと、まろやかなココナッツミルクのハーモニー。シンガポールやマレーシアなど、東南アジアで食べるようなトマトベースの魚カレー。



ターメリック、シナモン、レッドペッパー、クローブ、フェンネル、クミン、コリアンダー、抗酸化や代謝促進の働きに優れた各種のスパイス。ターメリック、クミン、コリアンダーの3種を1:1:1で混ぜた基本ベースに、参加者それぞれのテーブルごとで配合量を相談しながらそのほかのスパイスをブレンド。「どんな香りになった?」「辛さはどれくらいにする?」皆さんとても楽しそう。


ニンニクや玉ねぎを炒める時に広がるスパイスの香りに、焼き目をつけた太刀魚と味付けに使ったナンプラーやオイスタソースの旨みと、食欲をそそる夏バテ対策に最高のひと皿。

トマトの酸味と、ココナッツミルクやハチミツのやさしい甘味で、仕上がりはスパイシーさが立ち過ぎずマイルドな辛さ。スパイスをブレンドする際にレッドペッパーの量をより少なくして辛味を抑えれば、子どもも食べやすい魚カレーに。


「夏の体は、つねに体温を下げようとしています。また、冷たいものを飲んだり食べたりする機会が増えるため、実は冬よりお腹が冷えて代謝が落ちやすいんです。代謝アップや消化促進に優れたスパイスたっぷりのカレーは、魚や肉をはじめ体の基礎となるタンパク質を美味しく摂るのにもぴったりな料理です」

「メインのお魚は、太刀魚が手に入らなかったら、サワラやカジキマグロ、サバとかも美味しいですよ。イカやエビを入れてシーフードにするも良し、魚ではなく肉、合挽肉を使えばスパイシーなキーマカレーの出来上がりです。キーマカレーにする時は、ニンニクのあとにみじん切りにした赤パプリカを炒めて入れるのもおすすめです。ビタミンCの摂取が強化されますよ」


にんにく、玉ねぎ、スパイス、トマト(仕上がりに合わせて量を調節)でつくる、シンプルなカレーペーストを覚えてしまえば、アレンジは自由自在!

「今回のように水+ココナッツミルクを加えればシンガポール風。ココナッツミルクをヨーグルトに置き換えればインド風に。また、味つけを醤油などにして水+粉かつおを加えると、うどんと相性抜群の和風の出汁カレーになります」

 

砂肝と夏野菜のチョップドサラダ


生姜と黒胡椒で下味をつけた砂肝を、太白ごま油でじゃっと炒めてレモンをひと絞り。インゲンやミニトマトといった抗酸化成分を含んだ夏野菜に滋養強壮に優れた長芋をプラスして、食べ応え十分なサラダが完成。

「砂肝は、タンパク質や鉄分を含む低カロリーながら栄養豊富な食材。血液の巡りを良くしてくれます。今回、いわゆる夏野菜のほかに長芋を合わせたのは、ぬめり成分に疲れた胃腸の粘膜を保護してくれる働きがあるためです」


砂肝を炒める時は、転がしながら焦げ目をつけることが、このサラダを美味しく仕上げる重要ポイント。全体に焦げ目がついてきたら火を止め、フライパンの上でしょっつるとレモン汁を絡めてお焦げの旨みを混ぜ込むことで、“香ばしさ”の隠し味が効いた味わいになるそう。

「このチョップドサラダは、これからの時期に出てくるイチジクを入れて甘味や酸味をプラスしても新鮮な美味しさを感じられると思います」

夏野菜に含まれる抗酸化成分については、健康と美容のためになるこんなお話も。

「抗酸化成分というと“酸化しにくい成分”と思っている方が非常に多いのですが、実はその逆で、酸化しやすい成分なんです。どういうことかというと、抗酸化作用とは活性酸素によって細胞が酸化するのを、代わりに酸化して抑える作用のことだからです」

比較的熱に強く抗酸化力の高い油として知られるオリーブオイルなども、うっかり陽の射す場所などで保管したら徐々に酸化してしまうそう。確かに食するその前に酸化してしまっては、意味がないですよね。参加者の皆さん、真剣にメモを取っていました。

【後編】へ続きます

photo:小松原英介 text:石塚久美子

 

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『食べる美容』

Profile

茂田正和

Masakazu Shigeta

音楽業界での技術職を経て、2002年より化粧品開発者の道へ。皮膚科学研究者であった叔父に師事し、肌にやさしい化粧品づくりを追究する中で、健やかな美しさにとっては五感からのアプローチも重要と実感。2017年、スキンケアライフスタイルを提案するブランド『OSAJI』を創立、ブランドディレクターに就任。2022年には、香りや食から心身を調律するOSAJIとレストランの複合ショップ『enso』(鎌倉・小町通り)を手がけ話題に。同年9月、初の著書『42歳になったらやめる美容、はじめる美容』(宝島社)を出版。2023年は、日東電化工業のめっき技術を活かした器ブランド『HEGE』のプロデュース、そして日東電化工業より分社化された株式会社OSAJIの代表取締役に就任と、自身にとって大きなターニングポイントの年となった。2024年2月、2冊目となる著書『食べる美容』(主婦と生活社)を出版。

Instagram : @masakazushigeta
https://shigetanoreizouko.com/

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