伊勢〜大紀町(三重)編vol.3 古くて新しい世界「nijiiro」
三重県の中南部に位置する大紀町(たいきちょう)は海、山、川の美しい自然に囲まれた地域です。
そんな大紀町に2015年にギャラリーを併設したブックカフェ「CAFEめがね書房」をオープンされた染川卓摩さん。美味しいコーヒーとスイーツが味わえる居心地の良い空間が評判となっています。
染川さんに伊勢神宮近くの伊勢河崎から近隣の多気町・大台町を通って最後に「CAFEめがね書房」に到着する車で周りやすいとっておきのコースを教えていただきました。
街並みや自然を楽しみながらゆったりとした旅を楽しんでみてくださいね。
「VISON(ヴィソン)」から国道42号線に出て尾鷲方面に5分ほど車を走らせる。栃原駅前を過ぎ新田の信号を右に曲がると雰囲気が一変して古い建物が立ち並ぶ細い道となる。この道は旧熊野街道。線路を渡ったすぐそこに、明らかに周りの建物とは違う佇まいの木造2階建ての白く古めかしい建築物が目に入る。そこが噂の『nijiiro (ニジイロ) 』である。
店主の稲葉直也さんと寛子さんのご夫婦は、自宅のコンテナをアトリエとして、古びた木や朽ちた鉄、錆びた胴や石ころを素材に様々な家具や道具、オブジェなどを製作・発表してきた「nijiiro」という名前で活動するアーティスト。2017年にアトリエのほど近いこの場所にあった昔の建物を自らリノベーションして自身が製作してきたプロダクトをはじめ、古道具や古い器などを並べ販売する実店舗をオープンさせた。2階にはギャラリースペースを作り、不定期で企画展示やイベント等も開催している。
nijiiroが大切にしていることは”古くて新しいもの”だという。オーダーメイドで作る看板や什器は、やはり古い木材や錆びた鉄や銅を使って製作し全く新しいモノへと変貌させる。この古くて新しいモノたちの魅力に気づき始めた人たちの看板や表札の製作の依頼が後を絶たない。県内外をはじめ、最近では海外からも製作依頼が来るという。古いと言っても今流行しているレトロブームの“レトロ”とはまた違ったプロダクトなのだ。
この木造の建物自体に何か魅力を感じる。それもそのはず、昔は診療所として使われてきた建物。nijiiroは古いモノに新しい命を吹き込むアーティストである。これまで身近に転がっている誰にも注目されなかった小さなモノたちを作品にしてきたが、それが長らく使われなくなって古びた診療所と素材が大きくなったのだ。nijiiroにとってはおあつらえ向きである。80年以上の時を経て、まさかこんなにお洒落で素敵な店舗として再び世に注目されるとは、ここの当時のお医者さんは夢にも思っていなかったに違いない。
2020年ごろから力を入れているのは銅を素地に用いた銅ホーローの器。シンプルながらその素材を活かしたプレートやコップ、ピッチャーやトレイなどを製作しており、今では全国各地から展示やイベント出店の依頼がきているという。
この実店舗では古くて新しいものに囲まれながら軽く喫茶もできる。珈琲は京都の自家焙煎コーヒーのお店「GARUDA COFFEE」さんにオリジナルのブレンドを作ってもらっている。センス溢れるアンティークな椅子とテーブルで稲葉直也さんの淹れる珈琲を飲みながら、nijiiroオリジナルの銅ホーローの食器で寛子さんお手製のレアチーズケーキが堪能できる。
普段の制作やイベントで各地に足を伸ばしている為、お店の営業は土曜日のみだが、nijiiroの実店舗を目掛けて仕事の人は休んででも旅に出る価値は十分にあるはずだ。是非ともこのレアな古くて新しい世界に触れて欲しい。きっとその辺に転がっている今まで何も気に留めなかったモノたちの見方が変わるはずだ。
三重県多気郡大台町新田31
TEL:090-6583-6379
営業日:土曜日のみ
営業時間:11:00〜18:00 (冬季は17:00まで)
https://www.nijiiro-7.com/
Instagram:@nijiiro7
MAP:C
日本、〒516-0009 三重県伊勢市河崎
日本、〒519-2170 三重県多気郡多気町ヴィソン672 番1 サンセバスチャン通り 12
日本、〒519-2423 三重県多気郡大台町新田31
日本、〒519-2731 三重県度会郡大紀町野原576−2
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