60代になったら髪型とヘアケアを変えてみましょう 【前編】
こんにちは、藤岡ちせです。40代まで東京やN.Y.でヘアメイクアーティストとして活動していましたが、50代で地元の高知にアトリエを開き、マンツーマンのヘアメイクレッスンを行っています。この連載では、お肌の曲がり角を何度も曲がってきた方々にはきっと、お役に立つであろうお話をしていけたらと思っています!
60代はみんな
白髪、薄毛、髪の傷みに
悩んでいます!
さて今回登場するのは、ヘアのお悩みが大きいという60代のご婦人。40代半ばから、月一ペースでヘアサロンに通い、ヘアカラーで白髪を染めていましたが、60代になって白髪が増えてくるとそれだけでは追いつかず、市販のカラー剤も併用するようになったそう。
「自宅でセルフカラーをするようになったら途端に、切れ毛、枝毛、細毛が増えて、うねりもひどくなってきたんです。自宅でもサロンでもトリートメントをしているのですが改善されず、髪が細くなる一方で……」
と、少し悲しそうな表情で話してくださいました。おっしゃるとおり、市販のカラー剤は、きちんとしたものを選ばないと、ダメージの原因になることが多いんです。
髪って、その人の印象を大きく左右するので、悩みは深いですよね。他のお客様でもエイジングヘアとの戦いをしている人は多いです。白髪は染めたいし、ボリュームがないからパーマもかけたい。でも髪が傷んで細くなるし、年齢的にどんどん薄毛になる……。「いったいどうすればいいの!?」と、よく相談されます。
ボリュームがなくなるのも
60代ならでは
「あと、前髪のあたりが薄くなってきたことで、ぐっと老けて見えて、おしゃれをしても似合わなくて……。このままだと毛がなくなってしまわないか心配で、鏡を見るたびに落ち込むんです」
私自身も若い頃から比べると、だいぶ毛量が減っています。もともと多いほうなので今はちょうどいいと油断していますが、最近、生え際部分が薄くなってきているのに薄々勘づいているので、毛の話を聞くと心がザワつきます。
現状の髪の状態を
チェック!
なにはともあれ、まずはご婦人の髪を確認させていただきます。実際に触ってみると、乾燥してパサつき、艶がない軟毛。触れると切れてしまわないかと緊張が走るほど、1本1本の毛が本当に細くなっていました。毛先も傷んでいるので引っかかって手櫛も通りにくく、すぐにからまってしまいます。
また、トップは少し薄く、分け目の地肌が透けて見えていて、白髪があるのでさらに薄い印象。髪型は、あご下のボブスタイルで、ボリュームのポイントが下のほうにくるので、それもトップの薄さを強調してしまっています。
普段のお手入れ方法を伺ってみたところ、夜はシャンプーとトリートメントをして乾かしたあと、くるくるドライヤーで簡単にブローをして就寝。朝はブラシでとかしたあと、頭頂部がぺちゃんこになるのでボリュームが出るように、ブラシ状のくるくるドライヤーでブローして終了。でも、すぐにぺちゃんこになりますけどね」とのことでした。
そんなご婦人に私がご提案したのは、ヘアケアの見直しと、髪型を変えること! では、さっそくご説明していきますね。
ヘアケア
9つの見直しポイント
<ヘアサロンで>
①パーマかヘアカラー、どちらかをやめる
どちらも髪を傷めてしまうので、両方だとさらにダメージが進みます。白髪が気になる人はヘアカラーのみにして、パーマをやめてみてもいいかもしれません。
②ヘアカラーの種類を見直す
通っているヘアサロンの美容師さんと相談して、ダメージの少ないヘアカラーや、天然染料のヘナなどに変えてみてもらうのも手です。
③髪と頭皮を集中ケア
ヘアサロンのトリートメントやヘッドスパで髪や頭皮をスペシャルケアすることで、髪の状態はずいぶんよくなります。昨今のヘアカラーやトリートメントは目まぐるしく進化をしているので、最新の情報と最適なケア方法を知っている美容師さんにアドバイスしてもらうと安心ですよ。
<自宅で>
④自分に合ったシャンプーを使う
これ、けっこう重要ポイントで、毎日使うシャンプーとトリートメントの選び方によって、髪の状態がだいぶ変わります。何を使えばいいか迷ったら、担当の美容師さんに相談してみてください。
⑤髪を拭くタオルに気をつかう
髪は濡れているときが一番弱い状態なので、ゴシゴシこするとキューティクルがはがれてしまいます。吸収力のあるやわらかいタオルで、こすらずやさしく拭きましょう。
⑥洗い流さないトリートメントを使う
アウトバストリートメント(洗い流さないトリートメント)をつけてからドライヤーで乾かすと、キューティクルがはがれにくくなります。ただ、つけすぎると髪がぺたんこになるので、何度か試して自分の髪にとっての適量を探し出してください。ドライヤーは根元から毛先に向かって乾かしましょう。
⑦しっかり乾かしてから寝る
髪が濡れたまま寝ると、枕との摩擦が傷みの原因になるので、しっかり乾かすことが大事。枕カバーの素材も、摩擦が少ないシルクなどがおすすめです。
⑧乾燥や紫外線に気をつける
ドライヤーやヘアアイロンをあてすぎると乾燥します。髪に必要な水分を逃さないように手際よく行いましょう。髪もお肌同様、紫外線によってダメージを受けるので、帽子や日傘、UVスプレーなどを上手に活用してくださいね。
⑨ヘアカラーの回数を減らす
市販の白髪隠しアイテム(マスカラ、パウダー、クリームなど)、カラーシャンプーやカラートリートメントなどを併用して、ヘアカラーの回数を減らすと髪の負担を減らせます。白髪隠しアイテムは、ちょいちょいと塗布してその日だけ白髪をごまかすタイプなので、シャンプーをしたら取れます。カラーシャンプーやカラートリートメントは、成分によってはサロンでのヘアカラーが染まりにくくなってしまうものもあるので、どんなものを使ったらいいか美容師さんに相談するのをおすすめします。
ここまでが、ヘアケアについて見直してもらいたい9つのポイントです。60代になると、髪のダメージの進行が早くなるので、これまでと同じヘアケアでは追いつけません。少し意識を変えるだけでも、ダメージをかなり減らせると思いますので、皆さんもぜひ普段のケアを見直してみてくださいね。明日の【後編】では、薄毛対策と髪型の見直しについてお伝えしたいと思います。
illustration:大賀美穂
photo:藤岡ちせ
Profile
藤岡ちせ
ヘア&メイクアップアーティスト。テレビ、CM、広告、雑誌、ミュージックビデオを中心に活躍し、1998年から3年間、ニューヨークでも活動。美への探求心からハワイのボディトリートメントロミロミとフェイシャルを学び、自宅サロンを開くなど活動の分野を広げる。東京、鎌倉と移り住み、2019年に故郷の高知へ。住宅街の一角に、ヘアメイク、写真、オーガニックコスメなどを楽しめるアトリエ「APARTMENT102.」をオープン。
https://www.apartment102.net/
Instagram:@apartment_102_
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