秋のおしゃれは、まずはここから 一枚でも重ねても 基本のカットソー

おしゃれさんコーディネート
2025.10.05

こんにちは。「berkarte(ベルカルテ)」の野寺由夏です。

いよいよ心地よい季節がやってきましたね。暑いか寒いか二択のような気候が続いている近年。いよいよ今年は秋がないことを覚悟しないといけないのか……と思っていましたが、思ったより早く気温は落ち着き、思いがけない秋らしさの到来に全身で嬉しさを感じています。

一日中、快適に過ごせる貴重な時期。

お家の中も、お出かけも、何をするにも快適だと、自然と心も落ち着くような気がします。美しい柔らかな光の中、澄んだ空気に映える山々、だんだん色づいていく草木。目で、体で、栄養補給するようなこの季節は、まさに「芸術の秋」「スポーツの秋」にぴったりだなと改めて思うのです。

さて、そんな深まりゆく季節の秋は、お洒落も楽しい。「お洒落の秋」と言っても過言ではない気がします。いろんな素材感を選べる楽しさ、レイヤードしていくワクワク。見て触って試して、これからを想像しながらプラスしていくこの時期はとても贅沢。あれこれと気になるものがたくさんあってどうしようと悩ましい季節でもありますよね。

 


今週のアイテム
 カットソー


そんな時、まず整えたいのは基本のカットソー。

今は一枚着として。肌寒い日はカーディガンやジャケットの下に、もう少し季節が進んだらウールニットの下に。

決して主役ではないかもしれませんが、これからの時期に欠かせないアイテム。そして、今がまさに"選びどき”でもあります。



ベルカルテではお馴染みの「kinako(キナコ)」の羽衣タートルネックカットソー。

カットソーの産地として知られる和歌山で、一枚一枚ていねいに仕立てられるメリヤスカットソー。ふんわり柔らかな着心地は、思わずうっとりするほどです。全身を包み込むと、心も体も200%チャージできそうな心地よさ。その秘密は、昔ながらの吊り編み機で、時間をかけてゆっくりと編まれているからこそ。


締め付け感や体のラインを拾うようなピッタリ感はなく、程よいラフな雰囲気が、大人の余裕感溢れる良いムードなのです。

実はこの夏、スタッフ全員で「kinako」を作っている今城メリヤスさんの工場へ行き、実際にどのように編まれているのか見学させていただきました。


実際に機械を動かしながら、今城会長と社長が熱心に説明してくださいました


「kinako」が編まれている吊り編み機

1960年半ばまでは、一般的だった吊り編み機。大量生産の時代が訪れると徐々に姿を消してゆき、なんと現在稼働しているのは和歌山での2、3社のみとのこと。

時間はかかるけれど、一本ずつ丁寧に編まれることで、空気を含んだようなふっくら柔らかな仕上がりに。さらに洗濯を重ねるほどに風合いが育っていく生地感は、ほかにはない魅力です。


そんな「Kinako」。着心地の良さとシルエットの良さは抜群で、どんどん着回したくなるアイテムです。

シンプルにデニムとの王道スタイルはもちろん、基本はタイトベースなので、一枚着も重ね着もお手のもの。


さぁ、アレンジして行きましょう。

一枚着スタイルに重ねたのは、スウェーデンのオールドのグランパシャツ。さらりと一枚プラスするだけで雰囲気がガラリと変わります。


オールドならではの生地感と、あえてのオーバーサイズもポイント。さらに、こっくりベージュのスエードバッグで品よく秋らしさも楽しみます。


秋色遊びなら、こんな組み合わせも。

カーキブラウンのシャツにピスタチオ色の「kinako」!


ビビットなカラーのカットソーは、重ねるとより素敵さが増しますね。

一枚で見ると「どうやって着たらいいの!?」となりそうな色も、差し色小物感覚で楽しめるのが、これからの季節のいいところ。


さて、色違いのチャコールで作るのは、きれいめスタイル。

ハリのあるプリーツスカートに小ぶりなハンドバッグ、「MOISMONT(モワモン)」のウールスカーフの柄で華やかさを。かしこまり過ぎず、上品な雰囲気を作ります。


ある日はカジュアルにオールドミックス。

同じスタイルに80年代ドイツのワークジャケットを羽織って、スカーフはバッグにイン。全身の色が重めになるときは、小物で明るい色を。同じアイテムでも、使う場所によって主役にも脇役にもなりますね。


何よりも、タートルネックは首まわりが寂しく感じるときの救世主。ジャケットの襟に寄り添うような「Kinako」のしなやかさは、さりげなく気になるポイントをカバーしてくれます。

顔まわりに明るさを足したいときは、タートルの中に小さめのスカーフを入れても素敵ですね。ゆとりのあるタートルだからこそのアレンジです。


またまた色違いはライトグレー。

近江晒の軽やかなギャザーシャツワンピースとの組み合わせです。


タートルをふんわりまとめれば、もはやスカーフ!

ワンピースのきれいめスタイルも、首と手首にアクセントがあるだけでこなれ感がアップします。


ある日はワンピースを羽織として。

同じスタイルにデニムを合わせてカジュアルダウン。アクティブな動きも安心の日常スタイルです。



クラシックなレザーバッグ、スマートなショートブーツのシンプルな組み合わせですが、羽織のドレープ感が加わると一気に女性らしく。


実は、このコラムの一番初めのスタイリングとほぼ同じなのですが、重ねるアイテムや合わせる小物で随分と印象が変わりますね。


さて、今城メリヤスさんのカットソーですが、「kinako」以外にも品質が良くベーシックで気取らないお値段のアイテムがたくさんあります。

今城メリヤスの会長と社長は、生地作りを心から愛する究極の職人。取材に伺った日も、吊り編み機を稼働させながら「この針が……」「この回数が……」と、複雑な機械をいとも簡単に操っていらっしゃいました。昔ながらの機械のすごさに加え、その機械を動かす熟練の職人がいるからこそ、私たちが日々快適に過ごせるメリヤスアイテムが生まれるのだと実感。その貴重さを改めて感じたひとときでした。

余談ですが、工場へ伺った日の夜に、私たちは大阪・関西万博へ行く予定でした。何気に最後、今城社長に万博のことを尋ねてみたのですが、なんと万博についてもかなりの愛が……!! 生地のときと同じ熱量で、おすすめポイントをあれこれ説明してくださいました。そう、社長はその時すでにコンプリートまであと3パビリオン。このコラムを書きながら、「万博もいよいよあと約一週間か…」と、この夏を振り返っています。きっと社長、ラストスパートを楽しんでいらっしゃるだろうな。

何事にも全力で楽しむ、そんなパワーもいただいて、私たちはこの秋もスタイリングを楽しんでいます。

またお話を伺う日が楽しみです。


 

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