【花と暮らしの12か月】植物の時間が教えてくれること

JALDIN BLANCの庭から ~花と暮らしの12か月~
2026.08.02


栃木・那須に暮らすクリエイターRARI YOSHIOさんによるマンスリー連載「JALDIN BLANCの庭から ~花と暮らしの12か月~」では、新刊『心をととのえる処方箋——12か月のFlower days』をきっかけに、日々の花と暮らしのことを新たに書き下ろしていただいています。


 


植物の一年の営みの中に、人の一生を感じることがあります。
春に芽吹き、やわらかな葉を広げ、夏には光をいっぱいに受けて大きく育つ。そして秋には実りを迎え、冬には葉を落として静かに眠る。
その姿を毎年繰り返し見ていると、私たち人間もまた、自然の大きな時間の中で生きているのだと感じます。



夏は、一年の中でもっとも生命のエネルギーが満ちる季節です。
木々の葉は太陽の光を受け止め、草花はそれぞれの花を咲かせ、昆虫たちも忙しく動き回ります。
一見すると、植物は何も考えずにそこにいるように見えますが、土の中では根を伸ばし、水を吸い上げ、次の季節へ向かう準備を続けています。

人も同じなのではないでしょうか。
目に見える成果ばかりに意識が向きがちですが、本当に大切なのは、日々の暮らしの中で育まれているものなのかもしれません。



私は夏になると、朝の時間を大切にしています。
まだ空気が涼しく、光がやわらかな時間に窓を開け、庭や木々を眺めながら一日を始めます。
植物たちは誰かに見せるためではなく、ただ今日という一日を精一杯生きています。
その姿を見ていると、「今日も頑張らなければ」という気持ちが、「今日を丁寧に生きよう」という気持ちへと変わっていきます。


夏は、たくさんのことをする季節ではなく、生命の力をしっかり受け取る季節。
木陰を渡る風の心地よさや、夕立のあとの土の香り、蝉の声、夕焼けに染まる空。
その一つひとつが、忙しさの中で忘れがちな感覚を思い出させてくれます。


植物は、自分だけの力で生きているわけではありません。
太陽の光があり、雨が降り、風が吹き、土の中では目に見えない微生物たちが働いています。
たくさんの命につながりながら、一枚の葉を育てています。
私たちもまた、たくさんの人や自然に支えられて今日を生きています。
そう思うと、何気ない一日がとても愛おしく感じられるのです。

植物は、明日のために今日を急ぐことはありません。
ただ、その日差しを受け、
その日の雨を受け、
今日という一日を、静かに生きています。
私たちも、きっと同じです。
今日という時間を丁寧に生きること。
その積み重ねが、
いつか人生という美しい景色を育てていくのでしょう。
夏の庭に立つたび、
植物たちは、そんなことを静かに教えてくれているのです。



「JALDIN BLANCの庭から

~花と暮らしの12か月~」は
月の初めの日曜にお届けする連載です

日々の感覚を整えるための、ささやかなヒントとしての「おしゃれ」や「暮らし」を、那須の四季とともにお届け。ゆっくり一年をかけて、毎月更新していきます。

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最新刊
『心をととのえる処方箋——12か月のFlower days』

12か月の草花の移ろいとともに、星のリズムや大地とつながる「アーシング」など、現代人が忘れがちな自然との調和を綴ったライフスタイル・エッセイ。著者自らが手がけた写真、イラスト、デザイン、そして言葉が響き合い、読むだけで深い安らぎをもたらす「心の処方箋」となる一冊です。

 

著:RARI YOSHIO
定価:1870円

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Profile

RARI YOSHIO

アートデザインクリエイターとして、イラストや雑貨制作、ショッププランニングなど「JARDIN BLANC」の屋号で幅広く活動。2007年、栃木・那須に移住し、庭のある暮らしを通して、自然と人の感覚を結び直す表現を行っている。デザイン、イラストレーション、文章を横断しながら、日々の中にある小さな美しさや、心と身体のリズムを整える視点を大切にしてきた。四季の移ろいに寄り添いながら、自然とともにある暮らしの在り方や、感覚をひらくためのささやかな工夫を、作品と言葉を通して静かに伝えている。

Instagram:@rariyoshio

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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