優しい風が大人にちょうどいい「遊 中川」の扇子
~ 遊 中川より vol.1~
遠い記憶の中の、扇子のある風景。それは、親戚が集まったある夏の日、今ほどクーラーでガンガンに冷やされることもなかった広い座敷で、それぞれの近況報告に花を咲かせる人々の手元で、ひらひらと揺れる色とりどりの三角。大人の持ち物という気配がして、その様子をじっと見つめていた覚えがあります。
自分の力加減でいかようにも調整でき、それでいて最大でも髪の毛がそよぐ程度の優しい風。大人になって思うのは、そんな扇子の風が、実は一番ほどよいのではないかということです。 夏の暑さもこれからが本番ですが、バッグに一つ、お気に入りの扇子を忍ばせておくというのも、なかなか良いものだと思います。
「遊 中川」が、この夏にご用意した扇子は4種類。それぞれにこだわりの生地を使用しています。
絣(かすり)の代表的な柄である「矢絣」と、鷹の羽を掛け合わせたこの柄は、明治40年ごろにフランスから日本に伝わった「ほぐし織り」という独特な工程で織られています。山梨で90年もの間、織りに携わる「舟久保織物」にて織り上げました。
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創業文政6年から続く京都の扇子の老舗「宮脇賣扇庵」による、上質な扇子。日本の職人が竹を削り布を張った扇子は、さらりと開きピシリと閉じる、使うたびに繊細な技術を感じられる逸品です。京都で手染めし箔をほどこした涼しげなテキスタイルと、伊賀正絹組紐の小さな房をあしらった「遊 中川」オリジナルです。
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●夏の小紋
伝統文様と季節のモチーフを組み合わせた、季節の情景を表すテキスタイルです。写真上から、雨粒が滴るあじさい、実と共に朱色に色づくほおずき、夜風に揺られる露芝をモチーフに描きました。手績み手織りの麻を晒した生地に、手捺染(てなっせん)で染めています。
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伝統的な小紋柄「麻の葉」を、富山県でレース刺繍を手掛ける「ルジャンタン」により、 エンブロイダリーレース機を用いて様々なステッチで表現したテキスタイルです。
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繊細な生地に合わせた、やや縦長のホタテ形の扇子は、女性の手でも持ちやすい収まりの良いサイズです。しっとりとした大人の織りも、強い日差しに映える鮮やかな染めも、それぞれにおすすめです。今年はほどよい風を片手に、夏を迎えてみるのはいかがでしょう。
扇子(袋付き、箱入り)
3,780円~
1716年(享保元年)創業以来、手績み手織りの麻織物を扱い続ける奈良の老舗。「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに掲げ、「中川政七商店」「遊 中川」「日本市」「2&9」「motta」「花園樹斎」などのオリジナルブランドを展開。日本全国、その土地ごとに受け継がれてきた職人の技や想い、暮らしの知恵が息づく生活雑貨を数多く生み出している。300周年を機に、全国の工芸産地と読者をつなぐウェブメディア「さんち ~工芸と探訪~」をスタート。
中川政七商店 表参道店
東京都渋谷区神宮前5-43-7 1F
TEL:03-3409-2260
営業時間:11:00~19:00
定休日:年末年始
http://www.yu-nakagawa.co.jp/p/2428
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