大分編vol.1【立ち寄り湯・前編】絶景の「明礬温泉 山の湯」

地元のおしゃれさんが 案内する 小さな旅
2017.09.02

~コーディネーター・工藤まやさん~

ハワイ在住で、数々のTVや雑誌のコーディネートを手掛け、著名人からの信頼も厚い工藤まやさん。大分出身ということもあり、帰国のたびに別府や湯布院、日田などを訪れ、温泉やおいしいものに癒されているそう。そのお気に入りスポットの中には、この夏の集中豪雨で被害にあったところもありますが、すでに復興しお客さんを受け入れているところも多く、少しでも大分を応援できれば! という思いから、この連載「地元のおしゃれさんが案内する小さな旅」で大好きな大分を紹介してくれることになりました。9月は立ち寄り湯&ご当地ヌードル、11月にはカフェ&宿&秘境を中心に案内してもらいますので、この気持ちのいいシーズン、ぜひ旅計画の参考にしてくださいね。
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別府にいると、普通に会話に登場する「地獄」。私たち大分県民にとって「地獄」とは噴気、熱泥、熱湯などが噴出している温泉の素(もと)みたいなところのこと。

近所のおばちゃんはかけっこをする子供に「地獄に気をつけてな」とか、道案内をする時には「この先の地獄を右に曲がって」とか、「地獄」と密接した生活を送る。耳で聞くと恐ろしいけれど、言う本人たちはいたって普通で、愛をもって使っている方が多い。それは「地獄」の恩恵にあずかる生活が長く続いてきたからなのかもしれない。

別府湯けむり
町のいたるところから出ている湯けむりのある景色は、初めて見た人には自然の神秘を、長く見ている人には自然の優しさを感じさせる。なんだかとてつもなくあったかいものに包まれたこの町は、もしかするとこの世のものではなく、きっと天国に近い場所なんじゃないか、と思わずにはいられない。地獄に恵まれた町の、天国へと続く階段は、ゆるりとつかる温泉からスタート。

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「山の湯」があるのは、明礬(みょうばん)温泉の上の方。ざっくりとした言い方になってしまうけれど、この辺一帯はたいそうな温泉場で、いわば掘ればどこだって出てきちゃうわけで……。山の中に穴を掘っただけのような温泉もあれば、小さな旅館に、立ち寄り湯、お賽銭で入る公衆浴場もある。

明礬ミルキーブルー
そして、どこもそれぞれに違うお湯の色を持っているから面白い。「明礬」と聞けば、温泉通の方ならミルキーブルーのお湯を思い浮かべるであろう。

山の湯1
でも、ここ「山の湯」は、大きな湯の花がゆらゆらとゆれる透明とゴールドの中間のようなお湯が、なんともしっとりで女性に人気。名前の通り、山の上のようなところにあるから、景色も抜群。

山の湯3
まずは入り口にいるお地蔵さんに手を合わせ、引き戸をがらがらと開けて靴を脱ぐ。まあ、ここまでは普通です。裸足になって入り口に立てば、もうそこは郷愁。7畳の小上がりにちゃぶ台がひとつ。その上には茶色い地獄蒸しの温泉卵がころんと数個置かれ、食卓塩に広告で折られたくず入れ。お好きにどうぞ、と書いてないところにぐっとくる。

山の湯4
先にお風呂か、先に卵か。毎回悩んでしまうこの小さな愛すべき空間。だいたいの場合、お風呂からあがってごろんとしたいので、まずはお湯をいただく。

1
こちらは、マイお風呂セット。実は「山の湯」の女将にプレゼントしていただいた別府特産品の竹籠。いつでも立ち寄り湯を楽しめるよう、 大分帰省の際は常に車に乗っているかわいい相棒です。中身はこざっぱりと温泉タオルに、オーガニックの石鹸のみ。

山の湯5
古いけれど清潔感がある脱衣所のレトロな雰囲気もいい。すっかり気分があがったところでお風呂場へ。

山の湯2
明礬橋が大きく架かる空、その先には別府湾を一望する眺め。思わず両手両足を広げて、大の字でどすんとお湯につかる。自然とそんな流れになるんです、させてくれるんです。「あ~、極楽極楽」って言うかどうかはご自由に。

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明礬温泉 山の湯

MAP:
大分県別府市明礬1組
0977-66-5881
営業時間:13:00~20:00 (19:00最終受付)
火曜定休
大浴場 入浴料金:大人500円、小人300円
*家族風呂もあり

Profile

工藤まや

Maya Kudo

大分出身。ハワイ在住で、TVやラジオ、雑誌などで幅広く活躍するコーディネーター。インスタグラム「@mayahawaii325」から生まれたハワイのガイドブック『Hawaii Days 365』(扶桑社)が好評。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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