食べたときに感情が揺れないものがいい Vol.1 「フードムード」主宰 なかしましほさん
甘さを抑え、しみじみおいしい。
それが、なかしましほさんが作る焼き菓子です。
バターではなく、菜種油を使うのがその特徴。
「フードムード」とは、食べたときに、お腹だけでなく、
気持ち=「ムード」も気持ちよくなるように、
という願いを込めた造語だそう。
幼い頃からお菓子作りが大好きで、
「ノンノ・ケーキブック」を買ってもらい、
毎日寝る前に眺めては妄想をふくらませていました。
オーブンを買ってもらってからは、
ケーキやクッキー作りに没頭。
「最初はスポンジがふくらまなかったり、
シュークリームがぺちゃんこになったり。
でも、楽しかった。
私にとって、お菓子作りは”実験”だったんです」。
そんななかしまさんの毎日は、
規則正しくてとても穏やか。朝は6時に起き、
コーヒーと共に試作のお菓子を食べるのが、朝食代わり。
仕事をこなし、スーパーで買い物をして帰宅。
ご主人と一緒に夕食をとり10時に就寝。
今でこそ、マイペースの暮らしですが、
ここへたどり着くまでは、ずいぶんハードに働いてきました。
中学生の頃から音楽が大好きで、
専門学校卒業後はレコード会社に就職。
毎日終電で帰る日々でした。
その後、出版社を経てベトナム料理店で働いていた頃は、
朝9時に店に入って仕込みを始め、
終わるのは夜中2時頃。
「でも、料理を覚えたくて必死でしたね」となかしまさん。
当時はコンビニでお弁当を買って帰る日々
だったというから驚きです。
そんな無理がたたって体調を壊し、店を辞めました。
「ある人から、『白い砂糖と乳製品をやめてみたら?』
とアドバイスされ、食生活を変えたら、
たちまち具合がよくなりました。
食べ物で体が変わることを実感しましたね」
Vol.2に続く
text:一田憲子 photo:有賀傑
『暮らしのおへそVol.23』より
Profile
なかしましほ
レコード会社で洋楽部門を担当。音楽雑誌の出版社を経て、編集プロダクションへ。ベトナム料理店、オーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を経て、菜種油を使った焼き菓子を販売する「フードムード」を立ち上げる。
2015年カフェを併設する新店舗をオープン。
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