京都編 vol,18 暮らしを豊かにする上質なうつわのギャラリー「京都 やまほん」
京都在住ライター・大橋知沙さん
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photo&text:大橋知沙
三重県・伊賀市の田園の中に佇む、倉庫を改装したうつわと工芸のギャラリー「gallery yamahon(ギャラリーやまほん)」。工芸作家やスタイリストからの信頼も厚く、わざわざ訪れる人の多いこのギャラリーのもう一つの店が、京都にあります。
2011年にオープンした「京都 やまほん」は、昨年6月に寺町東に移転。骨董店や老舗の飲食・工芸店の多い寺町通りからも近く、より広々と多くの作品を楽しめる空間に生まれ変わりました。縦に長い空間に遊びを与えているのは、天井のアールのしつらえ。これによって、直線的な空間にアーチをくぐるような動きが生まれ、奥へ奥へと見る人を誘います。
京都 やまほんで扱う作家は、若手を中心に約50名ほど。城進(じょう・すすむ)さん、佃眞吾(つくだ・しんご)さんなどの人気作家をはじめ、白磁の江頭龍介さん、漆器の杉田明彦さん、唐津の若手作家らなど、オーナーの山本忠臣(やまもと・ただおみ)さんの審美眼で選ばれた品々が並びます。ふだんの食卓で使える陶磁器、木工、漆器などをはじめ、茶道具やオブジェ、大きな壺などの作品も。うつわを探しにいくだけではなく、アートを鑑賞するような気持ちで立ち寄りたい場所です。
「生活に近いところで、美しいものを見て感動できるのが工芸の魅力です。毎日使う飯碗や、いつものお酒を飲む酒器を手にとって、触れて、裏返してみたりして『美しいな』と感じてもらえたら、きっと生活が豊かになると思います」と語る山本さん。棚には、酒器や花器など鑑賞しても映える作品が多く並びますが、料理を盛り付けるお皿やカップなども実はたくさん。ストックの引き出しを開けると、色もサイズも質感もさまざまなうつわが次々と出てきます。探しているうつわのイメージや用途を相談すれば、ディスプレイされていないものでも色々と提案してくれるそう。
和にも洋にも使えそうなモダンなフォルムの漆器や、伊賀の名産でもある土鍋も揃います。
またオリジナルのアイテムも数多く並び、スタイリストの伊藤まさこさんが老舗のガラスメーカー・松徳硝子とコラボレーションしたグラスや、木工作家に作ってもらっているというシェーカーボックスなども。まず一つ、工芸を手元に置いてみるための、ステップになってくれそうなアイテムです。
うつわ選びのポイントとして、「新品の状態だけでなく、使っていくうちにどんな表情に変化するかということも考えて選ぶのがおすすめです。貫入が入ったり色合いが変わったりして、いい味に育てていくのもうつわの楽しみ。変化が出やすい素材と出にくい素材があるので、好みを相談してみてください」と山本さん。使う人の個性が入る余地があるのが、生活工芸のおもしろさだそう。
1月19日〜2月7日は、信楽で作陶する古谷宣幸(ふるたに・のりゆき)さんの個展を開催。常設の作品も合わせて見ることができます。京都のうつわ探しのコースに、ぜひ立ち寄ってみてください。
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