子育てがラクになるおへそとは? Vol.2 教育評論家・親野智可等さん
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「叱らないこと」、「ほめてあげること」
この2つで親子関係は劇的に変わります。
無理やり褒めると、なんだかわざとらしくなってしまいそうで心配。褒め上手になれるコツはありますか?
親野:褒め方がわからない場合は「部分」に注目してください。たとえば漢字の書き取り帳を見せられた時、全体的に汚い字であっても、偶然上手に書けた字、相対的にましな字を見つけてそれを褒める。同じく、そんなに上手ではない絵だなあと思っても、鮮やかな色が使われていたり、花の形が可愛かったりすればそこを褒める。もしも「もっときれいに書いて」と思っても、最初に「もっときれいに書きなさい!」と言うのと、まず褒めてから、その後に一言添えるのでは、全く印象は違ってきますから、なにか言いたくてもまず褒める。さらに有効なのは、チームで褒めること。まずお母さんが「最近字がきれいになったね」と褒めたら、今度は時間差でご主人が褒める。最後に担任の先生にもお願いして褒めてもらう。そうすると、子供は自分が字が上手だと思い込み、不思議と字を丁寧に書くようになります。褒めていればウソが誠になるということもあります。親の言葉というのは、環境そのものです。子育て中のお母さんには、ぜひ言葉の工夫をしてほしい。同じことを伝えるのも、「〇〇しなきゃダメよ!」というのと、「〇〇したほうがいいよ」というのでは、言を受け取る子供の気持ちは全く違ったものになります。
色々工夫して、叱らずに優しく諭しても、子共の態度が全く改善されないときは心が折れそうになります。
親野:もちろんそういう場合もあります。子どもですから。そういうときはあきらめてください。あきらめるというのは見放すということではありません。親がやってあげるということです。着替えが遅かったら着替えさせてあげる。宿題が出来ないなら手伝ってあげてください。苦手なことは叱ってまでなおさなくていい。スローペースな子、片づけが苦手な子、どちらも生まれ持った性質で、短所ではありません。そもそも子供というのは自分を変えられない生き物なんです。鉄は熱いうちに打てということわざが示すように、子供のうちに矯正すれば散らかし癖も、頑固な性格も直る、と思いがちですがこれが大きな間違いです。確かに、子どもの脳は乾いたスポンジのように、抜群の吸収力があります。でも、将来を見据えて、持っている性質を改善することは大の苦手です。英語を覚える、音楽を覚えるなどの吸収力と、自己改善力は全く違う脳の働きなんです。子どもたちを“良い子”に矯正するのが子育てではないし、むしろそれは子どもにとって不幸です。それよりも、ありのままを受け入れて、愛してあげてください。そうすればいつか自分がやりたいことを見つけた時に、受け入れてもらった、愛されたという自信が、夢に向かって走る力になります。やりたいことが見つかったときに時にはじめて、挨拶ができなきゃはじまらない、片づけができないと支障がある、ぐずぐずしていたら実現できない、と、今までできなかったことにスイッチが入り、改善しようという意志が生まれます。今、良い子にしなければ、きちんとしつけなければという呪縛を捨てて、子供との時間を愛おしんで過ごせば、親子関係はきっと、信頼で結ばれた温かいものになっているはずです。
子育てがときに苦しく感じてしまうのは “できないこと”ばかりに目を向けているからかもしれません。“子育てが楽になるおへそ”とは、叱るより工夫すること、ダメならあきらめて、ありのままのわが子でいいじゃない! と愛おしむこと。叱ってばかりの毎日よりもなんだかずっと楽しそうです。
『暮らしのおへそ』vol.21 photo:亀和田良弘
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親野智可等
長年の教師経験をもとに著書、メルマガ、ブログ「親力講座」などで勉強法や子育て法を提案。全国各地の小・中学校・保育園のPTA市町村の教育講演会で大人気。講演依頼とメルマガ登録は「親力」で検索してHPから。
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