平松洋子さん vol.2「様々な料理に展開できるストックを作っておく」

大人暮らし これからの食卓
2019.02.19

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平松さんが、最近特に気に入って、繰り返し作る料理がいくつかあります。そのひとつが、釜玉そうめん。仕事で忙しい時期は、料理に手間も時間もかけられないし、冷蔵庫に何も入っていなかった! ということも多いもの。そんな時は、常備しているそうめん、卵、海苔を使って手軽に作り、素早くやさしくお腹を満たします。

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また、塩玉子や酢キャベツ、ゆで豚も、冷蔵庫に途切れることなくある平松さんの定番。作りおきというより、先を見越して作っておく、様々な料理に使える素材のような、下ごしらえ的な品々です。

塩玉子は、塩水にゆで卵を浸けておくもので、必ず4個ずつ作ります。ゆで卵を食べたいと思った時、そのつどゆでる手間もなく、煮玉子ほど濃い味でもないので汎用性があり、ほかのものと合わせやすいのもいいところ。酢キャベツは、お好み焼きやサラダ、サンドイッチにと使い勝手がよく、日ごとに酢がなじんでいくため進化する味わいも楽しめます。ゆで豚は、塩豚ではなく、ただ水から豚のかたまり肉をゆでただけのもの。それを作っておけば、厚く切って焼いたり、そのまま食べたり、ゆで汁でスープを作ったりも。

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「忙しい時、疲れている時、さっと作れて、スープなどのおまけがあるものはいいですよね。『冷蔵庫にあのおいしいものがある』と思うと、あ、あれができるなと、見通しもつきますし」

そうやって、ちょっと先まわりして準備するようになったことで、忙しくて余裕がない時は特に、体的にも気分的にもラクできるようになりました。

さらに平松さんの食卓は、それらの素材を使って変幻自在に展開されています。たとえば酢キャベツをたっぷり加えて、朝からお好み焼きを焼くこともあれば、夜を軽くしておき、翌朝、温野菜とともにステーキを食べることも。朝ごはん、夜ごはんの固定観念にとらわれず、何を食べるかは体の調子に合わせて決めたい、と平松さん。食に対し、どこまでもシンプルで貪欲。考え方もとらえ方も、しなやかで自由なのです。食べることは、自分自身を作ること。平松さんの自由な食卓は、先進的なようでいて、実はとても自然で当たり前の姿なのかもしれません。

 

「“これから”の暮らしと食卓」より
photo:齋藤圭吾 text:赤澤かおり


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Profile

平松洋子

エッセイスト。日本とアジアを中心に、世界各地の食文化と暮らしを取材、
執筆している。『週刊文春』『GINZA』『dancyu』『北海道新聞』などに連載を持つ。著書も多く、最新刊は『そばですよ』(本の雑誌社)。

肩の力を抜いた自然体な暮らしや着こなし、ちょっぴり気分が上がるお店や場所、ナチュラルでオーガニックな食やボディケアなど、日々、心地よく暮らすための話をお届けします。このサイトは『ナチュリラ』『大人になったら着たい服』『暮らしのおへそ』の雑誌、ムックを制作する編集部が運営しています。

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