【ひとり暮らしリノベvol.4】壊せない壁を活かした、メリハリのある住まい
連載「大人の住まい替え」では、これからの暮らしを見つめ直した先輩方の住まいをご紹介します。今週お届けするテーマは「大人のひとり暮らし」。今回登場する先輩方の多くが「リノベーションが本当に楽しかったので、また挑戦したいくらい!」と口を揃えます。リノベーションをするに至ったそれぞれの方の物語や、賃貸では叶えられなかったこだわりを実現させた住まいをたっぷりとご紹介しますよ。
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都内在住Nさんの場合
今回は「壊せない壁を活かした、メリハリのある住まい」を紹介します。たまたま見学した中古マンションが気に入り、リノベーションをして暮らすことを即決したNさん。購入した物件は、構造上撤去できない壁がいくつかありました。どのようにしてその壁をプラスに活かしたのか、Nさんの住まいが完成するまでのストーリーをお届けします。
最初は全く考えていなかったリノベーション
以前からリノベーションをしたいと考えていたわけではなく、単純に引っ越しをしようと思っていたNさん。ただ、賃貸ではなかなか希望通りの物件が見つからず苦労をしていたそう。そんな時に偶然、友人から今のマンションを紹介され見学をしたところ、日当たりや交通アクセスが良く、住みやすそうな環境だったこともあり、購入を即決しました。「下調べをほとんどしていなかったので、わからないことばかりだった」というNさんでしたが、設計担当者に色々教えてもらいながら、リノベーションをスタートさせました。
壁を活かし、メリハリのある空間に
「リノベーションといえば、柱や梁以外は解体し、間取りや内装をすべて変え、全く新しい住まいに生まれ変わらせるというイメージだったので、撤去できない壁をどうしようか悩みました」というNさん。壁式構造というマンションの性質上、壊せない壁がいくつもあり、ダイニングキッチンとリビングの間の壁もその一つでした。
設計担当者と相談した末、決定したコンセプトは「壊せない壁をプラスに活かした、メリハリのある空間」。2つに分かれた空間のうち、広いほうを人が集まることが多いダイニングキッチンに、コンパクトなほうを一人で過ごす場所としてのリビングに。それぞれ全く異なる雰囲気を楽しむことができます。
ゆったりとしたダイニングキッチン
約45㎡のコンパクトな部屋ですが、キッチンは造作のカウンターもあり、広々と余裕のあるつくりとなっています。
「友人たちが来た時は話しながら料理ができ、また一緒にキッチンに立つこともできるので、広めにつくって正解でした。使い勝手もいいので、普段の食事づくりも面倒に感じず、楽しんでできるようになりました」
キッチンカウンターから連なるようにあるキッチンと通路の間の壁は、部屋の中のアクセントとなるように、あえて新しくつくったもの。ただの壁ではなく、開口があり上部が抜けているので、狭さや圧迫感はありません。「まるで、オブジェのようでとても気に入っています」とNさんは話します。
真っ白な空間で、リラックスした雰囲気が漂うリビング
二つに分かれた空間の内、もう一つのコンパクトなほうはリビング。真っ白な空間に植物がたくさん置かれ、リラックスした雰囲気です。床はもともとダイニングと同じオークのフローリングでしたが、入居後にDIYで白のフロアタイルに張り替えました。
「一人でくつろぐことが多いリビングは、自分が最も落ち着く、白を基調とした無機質でクリーンなテイストに。壁式構造で壊せない壁があったことで、結果的にダイニングキッチンとリビングの様子が異なり、オンオフの切り替えができるメリハリのある家になったと感じています」
カーテンで仕切られた寝室
寝室は、思い切ってドアをつけずにカーテンで仕切っています。カーテンは、海外のカフェで見かけていいなと思った「バンブーカーテン」をネットで探して購入。
各スペースは壁で区切られていますが、全体的にゆるやかにつながっているワンルームのような感覚で暮らせるそう。ダイニングキッチン、リビング、寝室とそれぞれ雰囲気が異なっていますが、全体のテイストにはまとまりがあります。その秘密は、好きなイメージの空間の写真を集めて、設計担当者ととことん話し合ったこと。
「白をベースに、黒、グレーなどをポイントで使って、木の雰囲気も少し入れて、トータルでバランスを整えました。色と素材のセレクトや組み合わせは、自分の好きなテイストがはっきりしているのでスムーズに決めることができました」
こだわりはしっかり実現、予算もコントロール
予期せずスタートしたリノベーションだったこともあり、最初は予算のことを具体的に考えていなかったというNさん。
「色々やるとやっぱりお金はかかるということもわかり、できるだけ予算をかけない方向で調整していくことに。ただ、予算的に難しいことも前向きに他の方法を考えることで、自分のこだわりは我慢せずに実現することができました」
具体的には、壁・天井は塗装風クロスに、浴室やトイレの設備・鏡などは既存のものを活用することで、コストをカット。床は幅広のオークで白っぽいものという希望は叶え、元々あった床の上から張ることで予算を抑えました。
キッチンはtoolboxのもの。シンクと造作のカウンターの下部はオープンになっています。カウンター下には、Nさんが以前の住まいで使っていた食器用シェルフを活用。ダイニングから中身は見えないので、食器やキッチンツールなど物が多くてもスッキリとした印象に。
収納スペースはきちんと確保したいと希望から、ウォークインクロゼットは広めに設計されました。
「設計担当の方と一緒に様々な工夫を考えながら、大事なこだわりはちゃんと実現することができたので、妥協したという感覚は全然ありません」
リノベーションを終えてみて……
「“マンションを買うのは大変なことだ”とイメージしていましたが、実際に体験してみるとそれほど重く考えなくてもいいのかなと思いました。将来的には賃貸や売却という選択肢もあるという前提で、気軽に考えられたのが良かったです」
選択の連続で何かと迷うことが多いリノベーションですが、Nさんは「心地よく暮らすために楽しんで行う」をモットーに取り組んでいたといいます。直感やインスピレーションを大事に、自分の希望をしっかり具体的に伝え、迷った時は周囲の人に助けてもらうことで、予期せず始まったリノベーションも大成功で終了したのでした。
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出典:Rebita
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