【自分を癒す部屋リノベvol.1】二人の時間も一人の時間も大切に、程よい距離感が生まれる住まい
連載「大人の住まい替え」では、これからの暮らしを見つめ直した先輩方の住まいをご紹介します。今週お届けするテーマは「自分を癒す部屋リノベ」。お気に入りの景色をいつでも眺められる場所をつくったり、家族それぞれの時間を大事にできる工夫があったり。“自分たちにとって最高に心地いい”をとことん考えて完成した住まいには、その人ならではの暮らしのこだわりがたっぷり詰まっていました。
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Uさん夫妻の場合
本日はUさん夫妻の「二人の時間も一人の時間も大切に、程よい距離感が生まれる住まい」をご紹介します。物件と周辺環境の良さに魅了され即決で購入を決めた部屋の広さは、なんと100㎡。家族それぞれの時間を大事にしたいという想いから、一人の時間はとことん集中、しかし互いの気配もしっかり感じることができる住まいが完成しました。部屋の広さを活かしてつくられたライブラリーは、Uさん夫妻のいちばんのお気に入りスペースとなっています。
「駅から遠い・周りは坂道・エレベーター無し」の物件に一目惚れ
結婚を機に物件購入を考えていたUさん夫妻。新築マンションの購入よりも費用を抑えられ、自分らしい住まいも叶えることができることから、中古マンションを購入しリノベーションをすることに決めました。物件探しをしている間、二人は休日を使って気になる街へ出かけ周辺を散歩。実際に行ってみるとイメージが変わり、意外な発見もあり楽しかったそう。その街歩きの中でたまたま見かけて「いい雰囲気だな」と思ったのが、購入を決めた中古マンションでした。
「内見で部屋の中に入ってすぐ二人で目を見合わせる程、ビビッと来ました」とUさん夫妻は振り返ります。他と比べてどうと言うより、最初に見に来てもここを選んだと言うくらい魅力的に感じたそう。
「賃貸で駅近の物件や夜景が楽しめるタワーマンションも住んだことはあるのですけど、なんだか落ち着かなくて……。夫婦ともに地方出身である私たちにとっては、緑と土と風を感じることができる環境に憧れがありました。駅から遠く、周りは坂道で、マンション内にはエレベーターが無く4階まで階段を上らなければなりませんが、そんなことは全く気にならないほどに、なだらかな丘陵地帯を眺めることができるこの開けた景色が気に入りました。階段を上った後に一息つくのが、とても気持ちいいんです」
程よい距離感が生まれる、ゆるやかな区切り
物件購入はスムーズに終わり、リノベーションが始まりました。Uさん夫妻が考えたコンセプトは「二人の時間も一人の時間も大切にできる、程よい距離感」。夫妻が大事にする想いをくみ取り100平米という部屋の広さも活かし、設計担当者が提案したのは、過ごし方によって二人の距離感を調整できる、各ゾーンがゆるやかにつながっている間取りでした。例えば、ワークスペースとダイニングスペースに別々にいると、お互いの姿は見えず作業に集中できるのですが、気軽に声をかけすぐ会話することも可能に。
「二人とも一人で過ごす時間が好きなので、読書をしたり考え事をしたりして、それぞれの時間を過ごしています」
そして、普通の住宅には中々ないライブラリーや書斎を設けたことで、心地いい居場所が更に増えました。自宅で仕事をすることが多いご主人は、本棚横のワークスペースやその時の気分に合わせた場所を選んで過ごすことが多いそう。一方、都内に勤める奥様は、平日は仕事が終わるのが遅く家でゆっくりできないのですが、休日はダイニングやライブラリーで読書を楽しんでいます。家には集中して作業できる場所が多い為、持ち帰った仕事も捗るそう。
居心地が良く、お気に入りのライブラリー
「ライブラリーの居心地が良すぎて、気づくと長時間ここで過ごしています。ソファやTVがあるリビングには、映画やサッカーを見るときぐらいしかいないですね」と笑って話すUさん夫妻。生活の中心の丸テーブルは、デンマークのインテリアブランド「HAY(ヘイ)」のもの。コペンハーゲン大学の為にデザインされており、雰囲気もライブラリーにぴったりいうことでと購入しました。
そして、壁一面の本棚はインテリアブランド「マルゲリータ」のもの。読書家であるUさん夫妻の本がびっしり詰まっています。奥行きがあるので文庫本を3列に収納しても、スペースにまだ余裕があるそう。本棚の背面と横のワークスペースの壁は、コンクリート仕上げに。
「他の壁や天井をきれいに塗装しているので、コンクリートの壁面が際立ち、部屋のいいアクセントになってよかったです。ライブラリーの雰囲気にぴったり合い、またコストダウンすることもできました」
居場所によって気分を変えるための工夫
寝室と書斎の間には扉がなく、ひとつづきの空間になっています。この2部屋は、床の素材をカーペットにし、建築用ペイントブランド「ベンジャミンカラー」でこだわって選んだ色を壁のアクセントにしたおかげで、他の部屋とは雰囲気が異なります。
「仕事柄、家で過ごす時間が長いので、場所を移動することで気分をガラリと変えたかったんです。書斎はリラックスして作業したい時に使うようにしています」
広い部屋もメリハリをつけることで、賢くコストダウン
部屋が広くなるとリノベーションの費用もかかりますが、Uさん夫妻は大切にしたい部分と特にこだわらない部分の優先順位を明確にしていたため、予算を極力抑えることができました。例えば、システムキッチンはリーズナブルなものを採用していますが、後ろの壁一面に続く棚は造作したもの。当初はキッチンの後ろだけを棚にする予定でしたが、壁面いっぱいまで延ばしたことで食器や食料品、料理本までも収納でき、とても使い勝手がいいそう。
洗面所は、部屋の構造上広くできない制約があったため、玄関を入ってすぐの廊下に面したオープンなつくりに。
「洗面所が丸見えなので、かえって“きれいに使おう”という風に意識できるので良かったです。また帰宅後すぐに手洗いができ、動線もばっちりなんです」
物件探しからリノベーションまで、スムーズに進んだ秘密
物件探しからリノベーションまで、設計担当者も驚くほどスムーズに進んだのですが、その裏にはUさん夫妻のしっかりとした準備があったといいます。
「たくさんの時間をかけ、自分たちの暮らしについて深く考え、二人の想いをしっかりとすり合わせることを心がけました。物件探しでは実際に二人で街を歩いたり、リノベーションの雑誌や画像を見て“これは好き”“これはちょっと違う”というようにイメージを共有したり。その結果をコンセプトにし、リノベーションにしっかり活かしてもらえたので、大満足の住まいを完成することができました」
入念な準備とUさん夫婦の強い想いがあったからこそ、こだわり空間を実現した住まいがスムーズに完成したのでした。
居住者構成:ふたり暮らし
面積:約100㎡
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