弘前編 vol.1 暮らしに根ざした工芸品や服が並ぶ「THE STABLES（ステーブルズ）」　～「yourwear」佐藤孔代さん～

地方在住のおしゃれさんに、地元のとっておきの場所を案内していただく人気連載「地元のおしゃれさんが案内する小さな旅」。今月、青森・弘前編を担当してくださるのは、ニットブランド「yourwear（ユアウェア）」の佐藤孔代さん。佐藤さんのつくり出す素敵なニットは、デイリー連載「今日のひとしな」でも、レクトホールの廣田佐知子さんが紹介してくれていますよ。合わせてご覧くださいね。
歴史ある城下町・弘前には、おしゃれなお店がたくさん並んでいるわけではないけれど、じつは知る人ぞ知る素敵なお店やスポットがけっこう潜んでいるんです。今月の連載では、佐藤さんのアンテナにビビビとヒットしたスポットを紹介していただきます。この連載に登場する穴場スポットはもちろん、弘前には桜が有名な弘前城や、津軽富士とも呼ばれる岩木山の雄大な姿、ル・コルビジェの弟子・前川國男によるモダニズム建築などなど見どころがいっぱい。１泊のんびり旅に、絶対おすすめですよ～！

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初めまして。yourwearの佐藤孔代です。
一昨年に北東北に帰郷し、田舎暮らしをしながらニットの仕事をしております。そんな私が時間を見つけてはちょこちょこ出かける街は、青森県の弘前。

桜の名所「弘前城」やりんご、こぎん刺しなどで知られる城下町です。お城を中心に古い建物が残り、風情ある街並みは「東北ふらり旅おすすめスポット」のひとつ。その中でも特におすすめをご案内させていただきます。どうぞおつきあいくださいませ。

ほぼ二十年ぶりに故郷に戻ってきたのですが、しばらくは山だの畑だの温泉だのに夢中になり、半年以上も街に出かけない日々。そんな私が久しぶりに出掛けた場所が、小田原史典さんと長谷川裕子さんご夫婦が営むお店「THE STABLES」。久しぶりに、街でのお買い物の楽しさを思い出させてくれたお店です。

弘前のメインストリート、土手町の大通りから少し入った場所にあります。2007年オープンですが、四年前までは弘前城近くの古いビルの二階にありました。そのビルが、オーナーの小田原さんが昔過ごしていたイギリスで目にしたSTABLE（馬の厩舎）とい名前のバーに雰囲気が似ていたことから、お店は「THE STABLES」という名前に。お店の看板、店内には小さな馬のモチーフがちらほら。
 

器、生活雑貨、ウエア、アクセサリー、ステーショナリー、食品と、様々なアイテムが並びます。アイテムは違えど、どれも凛とした佇まいの、それでいて人の手の気配をさりげなく残すようなセレクト。ゆっくり、じっくり、ものと向き合えるようなお店の空気感は、小田原さんと長谷川さんの雰囲気そのものだなーと、お店に伺うたびに感じます。

写真のヒバのカゴバックは、青森在住のこぎん刺しブランド「lite」のもの。青森むつ市のカゴ作家さんと作ったものだとか。

東北のものが充実しているのも嬉しいところ。竹カゴ、アケビカゴはもちろん、地元・津軽焼の「津軽千代造窯」の器、山形の蜜蝋などなど、作り手と近い距離でお買い物ができるのは地方のお店ならではです。
あっ、秋には「yourwear」の商品も並びますよ。（宣伝、失礼いたしますー）

私の大大大好きな「四季のひとさじ」のジャムも定期的に入荷しますー！ その季節ごとのフルーツを使ったジャムは二ヶ月に一度の入荷。でも、すぐに売り切れてしまうのでタイミングが合わなければ買い逃すことも（涙）。

取材をお願いした日は、島根で活動する安部太一さんの個展が開催されていました。深いトルコブルーが美しく映えるディスプレイは長谷川さんが担当。

「バイイングも全て長谷川さんが？」とお尋ねしたところ、バイイングはそれぞれ作家さんやブランドを見つけてきたスタッフ自身が担当するのだとか。そんな自由さも、お店がなぜだか居心地の良い理由なんですね。きっと。

なんというか、「THE STABLES」は私にとって「基本」みたいなお店です。ふらりと寄って、そういえば小皿が欲しかったなあ、フライパン用のブラシが欲しかったなあ、と思い出して、「そう、これこれ」というものがきちんとある。

今はネットで色々なものが買えるけれど、やっぱり「そう、これこれ」と思えるものが買えて、時には日常に美しい刺激を与えてくれるお店が近くにあるのは、とっても安心できることなのです。

これからも、弘前に着いたらまずは「THE STABLES」に寄ってから、という私の弘前コースは変わらずです。

photo：船橋陽馬

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